本記事では、脳卒中患者さんに対する筋力トレーニングが筋力や歩行能力、バランス能力への効果について、システマティックレビュー論文をもとに大局的に見たときの効果について検証します。

最初に本記事のまとめです。

  • 筋トレは強度設定が肝
  • 筋トレは股関節や膝関節、足関節の筋力向上に効果あり
  • “とりあえず10回3セット” を卒業したい

筋トレは古い運動療法というイメージがあるかもしれませんが、筋力向上やバランス向上の効果が報告されています。

筋力トレーニングは強度設定が肝心!

筋トレの肝は強度設定です。

リハビリ現場で行われる筋トレは次のようなものが多いのではないでしょうか。

  • スクワット 10回3セット
  • 膝伸ばし 10回3セット
  • ブリッジ 10回3セット

筋トレは、ある程度筋肉に負荷をかけなければ効果を期待できません。

本記事で想定する筋トレとは次のようなものを指します。

  • レッグプレス 70% 1RM 8〜10回3セット
  • サイクリング 50% 1RM 60分
  • レッグエクステンション 80% 1RM 6〜8回2セット

しっかりと強度設定を行うことで、本来の筋トレの効果を期待できます。

ちなみに筋トレのランダム化比較試験では、介入群に ”レッグプレス 70% 1RM 8〜10回3セット” のような高強度のトレーニング、対照群に “負荷をかけないレッグプレス” などで設定されることが多いです。

リハビリ現場でよく行われる筋トレは、むしろ対照群で行われる介入方法に近いのかもしれません。

筋トレによって股関節・膝関節・足関節それぞれの筋力向上

Wist Sら(2016)のシステマティックレビューによると、脳卒中患者さんへの下肢の筋トレ(progressive resistance training)は、低負荷の運動療法と比べると股関節伸展、膝関節伸展、足関節背屈・底屈筋力の向上に有益であることを報告しています。

介入群の下肢の筋トレの内容は上記の通りですが、対照となる低負荷の運動療法とは、”負荷をかけない同じ運動(例えばレッグプレスを負荷なしで行う)” “他動運動でエルゴメーターを行う” などが含まれています。

注意点としては、歩行距離・歩行速度といった歩行能力へは効果があるとは言えないという点です。

こちらについては別の記事で紹介しますが、筋トレだけで完結させるのではなく、歩行練習など他のリハビリを取り入れる必要がありそうです。

“とりあえず10回3セット” を卒業

脳卒中患者さんにも筋トレによる筋力向上の効果がありそうですが、1RMを測定することだったり、70%1RMの負荷を設定することは現場ではなかなか難しいですよね。

しかし ”とりあえず10回3セット” のように負荷を考慮しない筋トレは効果が期待できなさそうです。

私も新卒の頃は “とりあえず10回3セット” に頼っていましたが、患者さんにメリットがないのであれば方法を考えないといけません。

患者さんにとって有益なリハビリプログラムになると良いですね!

参考文献

Wist S, Clivaz J, Sattelmayer M. Muscle strengthening for hemiparesis after stroke: A meta-analysis. Ann Phys Rehabil Med. 2016 Apr;59(2):114-24.