英語論文の読解に挑戦されたことはあるでしょうか。

学生時代は教科書を中心に読んでいたと思います。

そこから一歩抜け出して日本語の論文を読む、というだけでも大きな一歩だと思います。

なぜ論文を読もうと思うかというと、より専門的な、最新の知識を得たい、そしてその情報を臨床に活かし、患者さんのリハビリをもっとよくしたい、という想いがあるからだと思います。

リハビリの論文を執筆している研究者の先生は日本だけでなく世界中にいて、皆さん日夜研究されたり、執筆されたりしています。

より専門的な、最新の知識を得たいのであれば、英語の論文を読むことをお勧めします。

日本語の論文は日本人の研究者が執筆したものですが、英語の論文は、日本の研究者も、アメリカの研究者も、中国の研究者も、スペインの研究者も、世界各国の研究者が執筆しているからです。

世界共通言語の英語はやっぱり強くて、どの国の人もまず英語で執筆しようとします。

論文というのは研究雑誌に掲載されることで世界中の人たちに届けることができるのですが、国際的に権威のある研究雑誌は皆、英語の研究雑誌です。

なので世界各国の研究者は基本的にまず英語で論文を執筆しようとします。

なので、基本的には英語で執筆された論文の方が母国語で執筆された論文よりも良い情報であることが多いです。

※必ずしもこの限りではありませんが、あくまでもそういうケースが多い、ということでご承知おきください。

勉強熱心な先生方に向けて、英語論文を読めるようになるための近道をお伝えするのが今回のテーマになります。

また、最初にお伝えしておきたいのですが、今回のテーマは「最新の、専門的な情報を得たいから英語論文を読んでいる」という人に向けた記事になっています。

英語論文を読む人には2タイプいると思っています。

ひとつは「英語を読みたい人」。

学生時代から英語の授業が好きで、英語の小説を読むのにチャレンジしていたような人です。

文法の勉強とか単語の勉強とか好きで、英語を読むことに喜びを感じる人です。

このタイプの人たちには英語の文法の話とか単語の話が喜ばれると思うのですが、こちらの方々にはあまり喜ばれる内容になっていません。

もうひとつは「最新の、専門的な情報を得たい人」です。

リハビリに役立つ情報を得たいから英語の論文にチャレンジしている、という人です。

今回の内容は後者の方へ向けた内容になっています。

英語論文から、リハビリを行う上で必要な情報を抜き出すためのテクニックです。

英語論文を読めるようになるための4つのステップ

最初に結論ですが、3つのステップは「自分が知りたい情報を臨床疑問として整理する」、「情報を得るためにどの英語論文を読むか決める」、「英語論文の中のどの情報を得るべきか知る」、「ひたすら読み続ける」です。

まず「自分が知りたい情報を臨床疑問として整理する」、です。

英語論文は、論文の種類によって得られる情報が異なるのですが、そもそも自分がどういう情報を知りたいのかを把握していないと、読むべき論文の種類が定まらず、有益な情報を得るまでに時間がかかってしまいます。

なので、まずは自分が知りたい情報を臨床疑問として整理する、というのが大事なファーストステップになります。

続いて、「情報を得るためにどの英語論文を読むか決める」、です。

自分が知りたい情報を知るために、どの種類の英語論文を読むべきか判断します。

英語論文にはいくつか種類があります。

総説論文とか、介入研究とか、観察研究とか、色々あります。

論文に何が書いてあるかという論文の “内容” ではなく、論文の “種類” によって得られる情報がそもそも異なっていたりします。

次に「英語論文の中のどの情報を得るべきか知る」、です。

論文に記載されている文章量はとても多いので、全部を読んでいたら効率が悪いです。

自分の臨床疑問と論文の種類によってはほとんど読み飛ばしながらでも得たい情報を得られることもあります。

ちなみに、私が臨床疑問(特にForeground Question)の解決のために情報収集するときはランダム化比較試験やシステマティックレビューを読みますが、必要な情報を抜き取るだけなので1編につき5〜10分で読み終わります。

最後に「ひたすら読み続ける」、です。

結局、英語論文を読めるようになるためには英語論文を読むしかありません。

数を大量にこなしていくことで圧倒的に読みやすくなっていきます。

私は会社員時代、通勤の電車の中で1日5本は論文を読むと習慣化させて、ひたすら読んでいました。

これらのステップについて、シリーズにして解説します。

今回は「自分が知りたい情報を臨床疑問として整理する」、です。

自分が知りたい情報を臨床疑問として整理する

「なんとなく論文を読む」となると、タイトルやアブストラクトで気になった論文を手に取り、読み進めることになると思うのですが、それをやると不必要な情報も入手することになり、効率が悪いです。

最初に「自分がどの情報を得たいのか」を知ることが大事な最初のステップです。

これは臨床疑問(Clinical Question)といい、後景疑問(Background Question)と前景疑問(Foreground Question)に分けられます。

そして臨床疑問の種類によって、効率的な調べ方が異なります。

まず、Background Questionというのは、基礎知識のことです。

例えば、「脳卒中って何?」、「嚥下障害って何?」、「トレッドミルって何?」、「課題指向型訓練って何?」のような疑問のことです。

Background Questionを解決したい場合は、教科書や参考書、インターネットのサイトを見ることが一般的です。

また、後ほど紹介しますが “総説論文“ で体系的な情報を得ることもあります。

一方、Foreground Questionというのは、2つ以上の概念を組み合わせたもので、臨床判断そのものです。

例えば、「脳卒中患者さんの歩行の自立度を上げたいけど、患者さんをベッドで寝かせてストレッチをするよりもトレッドミルトレーニングをやった方がいいのかな?」とか、「病院で新しく電気刺激買ったから、CI療法する時に電気刺激を併用してみようかな。でも脳卒中患者さんにCI療法と電気刺激を合わせてリハビリすることは、CI療法だけをやる時よりも運動障害をよくするのかな?」といった疑問です。

Foreground QuestionはPICOやPECOに定式化することが可能です。

PICO・PECOというのは、4つの言葉の頭文字をとったものです。

PはPatient(患者)、IはIntervention(介入)、CはComparison(比較)、OはOutcome(起結)、です。

例えばさっきのForeground Questionだと、

P: 脳卒中患者さん
I: トレッドミルトレーニング
C: ストレッチ
O: 歩行の自立度

とか、

P: 脳卒中患者さん
I: 電気刺激を組み合わせたCI療法
C: CI療法
O: 上肢の運動障害

のように定式化することができます。

これは研究論文を読むことで情報を得るのが一般的です。

このように、自分が知りたい情報を臨床疑問にまとめることが第一歩になります。

この臨床疑問を抽出するということと、PICO・PECOへの定式化というのはトレーニングすれば誰でもできるようになります。

日々の臨床で感じる疑問があると思うので、それがBackground QuestionなのかForeground Questionなのか分けること、そしてForeground QuestionであればPICO・PECOに直す、ということを繰り返していれば誰でもできるようになります。

本日は「英語論文を読めるようになるための4つのステップ Part.1」というテーマでお話しさせていただきました。

次回はPart.2をお話しさせていただきます。