CI療法についてはもはや説明するまでもないくらい有名なリハビリですが、一応簡単に説明させていただきますと、脳卒中患者さんの上肢に対するリハビリのひとつです。

世界的に上肢のリハビリとして有効性についてコンセンサスが得られています。

脳卒中治療ガイドライン2015では上肢機能障害に対するリハビリテーションのところでグレードAとされています。

グレードAというのは、「行うよう強く勧められる」ことを意味するので、強く推奨されているリハビリになります。

ミラーセラピーや反復促通療法が推奨グレードBですが、CI療法はグレードAとなっており、これらよりも強く推奨されているということになります。

CI療法の特徴は、リハビリの中で基本的に麻痺側上肢のみの運動を行い、非麻痺側は使わないという点です。

また、長時間リハビリを行うという点でも特徴的です。

他のリハビリ、例えばミラーセラピーや課題指向型訓練などは1回あたりのリハビリ時間が60分前後ですが、CI療法は5〜6時間行うものもあります。

また、適応があるというのも特徴的で、手関節の自動背屈が10°可能、手指伸展が10°可能、という患者さんに適応されます。

特に日本では保険適用内でCI療法を行う時間が確保できないという問題があり普及の難しさがあるのですが、時間制限のない自費リハビリではCI療法を行なっている施設もあります。

今回は、2015年に出版されたCorbetta D (2015) のコクランレビューを参考に、脳卒中患者さんへのCI療法の効果を紹介したいと思います。

Corbetta D (2015) のコクランレビューの概要

まず研究の概要について紹介します。

研究のリサーチクエスチョンは「脳卒中患者さんに対するCI療法、もしくは修正CI療法、麻痺側の強制使用(Foced use)はCI療法、修正CI療法以外のリハビリと比べて、日常生活動作(以下、ADL)の自立度、上肢の運動パフォーマンス、上肢の運動機能などに有効か」でした。

ざっくり言えば、CI療法は脳卒中患者さんのADLや上肢の運動性を向上させるか調べた、ということです。

CI療法の他に、修正版CI療法や強制使用も含まれています。

このレビューでは、CI療法は3時間以上の介入を行うもの、修正CI療法は3時間未満の介入を行うもの、と定義されています。

また、強制使用というのは、非麻痺側上肢の拘束を行うだけで、麻痺側上肢への治療介入を行わないものを指しています。

検索に使用された電子データベースはCENTRAL、MEDLINE、EMBASE、CINAHL、AMED、PEDroなど、複数のデータベースが使用されています。

検索の対象になったのは、ランダム化比較試験と準ランダム化比較試験でした。

最終検索日は2015年6月でしたので、今から6年前くらいまでに出版されていたランダム化比較試験や準ランダム化比較試験を集めたということになります。

それでは、検索された結果をお伝えします。

CI療法は麻痺側上肢の運動パフォーマンスや運動機能向上に効果あり

まず、最終的に取り込まれた研究数は42件でした。

うちCI療法を実施したのが9件、修正CI療法を実施したのが29件、強制使用を実施したのが4件、でした

つまり、ほとんどが修正CI療法の研究だったということになります。

また、各研究がどういった取り込み基準を設定していたか、というのが面白かったので紹介します。

自動関節可動域については、“MP関節とIP関節10°伸展、手関節20°伸展させることができる” が21件で最多、”少なくとも2指のMP関節とIP関節10°伸展、手関節10°伸展、母指を10°外転/伸展させることができる” が7件、でした。

また”痛みがない” を設定している研究が14件、”重度の痙縮がない” が15件と、ある程度自動運動が問題なく行える方に対してCI療法が行われていることがわかります。

また、治療期間で一番多かったのは2週間、次いで3週間、でしたのでCI療法を行うのであれば2〜3週間がひとつの目安になるかなと思います。

そして、メタアナリシスの結果です。

注意点としては、このメタアナリシスではCI療法、修正CI療法、強制使用の3つのリハビリを合わせて、効果を検証しています。

ですのでCI療法の効果として、とか修正CI療法の効果として、とかそれぞれを分けて説明することができないのでご了承ください。

結果として、脳卒中患者さんに対するCI療法、修正CI療法、強制使用は、CI療法、修正CI療法以外のリハビリと比べて、麻痺側上肢の運動パフォーマンス、日常生活での麻痺手の使用、運動障害に対して有効であるという結果になりました。

ちなみに、運動パフォーマンスというのはAction Research Arm TestやWolf Motor Function Testなどの検査、日常生活での麻痺手の使用というのはMotor Activity Log、運動障害というのはFugl-Meyer Assessmentなどの検査でみています。

一方で、ADLの自立度や、QOLについては有効であるとは言えないという結果になりました。

特にADLについては、要因を調整することでADLに対して有効であると言えるかどうか調べたのですが、病期や練習時間によるサブグループ解析をしても、有効であるとは言えないという結果になりました。

注意点としては、取り込まれた研究の選択バイアス、コンシールメントという項目なのですがこちらで75%近く-1の採点がされていたということです。

Cochraneのバイアスリスクツールではバイアスリスクが低い〜高いまで0〜-2で採点します。

このシステマティックレビューでは準ランダム化比較試験が含まれているので致し方ない結果かもしれませんが、75%近くが-1だったというのはコンシールメントにおいてはバイアスリスクが高いと判断せざるを得ず、解釈に注意を要する点になりそうです。

CI療法の立ち位置を考える

今回紹介したコクランレビューから、CI療法は麻痺側上肢の運動パフォーマンスや運動障害の改善に寄与することが明らかになっています。

また、上肢の運動障害に対する効果は、ミラーセラピーや課題指向型訓練と比べると大きいことが多く、運動機能を向上させる上では有効な選択肢だと思います。

ただ、CI療法は他のリハビリと比べると圧倒的に長時間であり、日本国内では実現可能性の問題があります。

CI療法を実施するのであれば1時間以内で行われているエビデンスを参考に修正CI療法を実施するか、自費リハビリで時間制限を取り払った上で実施するか、どちらかになると思います。

CI療法のシステマティックレビューはコクランレビュー以外にも数多く報告されているので、また別のシステマティックレビューも紹介したいと思います。

本日は「脳卒中リハビリのCI療法のエビデンスを紹介〜2015年のコクランレビュー〜」というテーマでお話しさせていただきました。

BRAINでは脳卒中EBPプログラムというオンライン学習プログラムを運営しております。

2021年前期はおかげさまで満員御礼となりましたが、後期は10月から開始、募集は7月〜8月ごろから開始する予定です。

ご興味がある方はよかったらホームページを覗いてみてください。

それでは今日もリハビリ頑張っていきましょう!

参考文献

Corbetta D, Sirtori V, Castellini G, Moja L, Gatti R. Constraint-induced movement therapy for upper extremities in people with stroke. Cochrane Database Syst Rev. 2015 Oct 8;(10)