https://youtu.be/DHob-lYSrEA

FMAUEというのは、Fugl-Meyer Assessmentの上肢項目のことです。

本来、FMAは運動機能(上肢・下肢)、感覚、バランス、関節可動域、関節痛、の5つの項目からなる最大226点の検査です。

世界のリハビリ研究では上肢項目のみ、下肢項目のみが抽出され、使用されることが多いです。

上肢の運動障害や運動パフォーマンスの研究においては、ランダム化比較試験などでFMAUEが使用されていることが多いです。

実際、Santisteban L (2016)の研究によると、2004年〜2015年に出版された上肢リハビリの効果を検証した研究の36%で使用されていた、と報告されています。

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ランダム化比較試験などの研究論文をもとにリハビリを進めていく場合、FMAUEを理解しておくと、「このリハビリは目の前の患者さんに適応できるか?」とか「このリハビリを行った場合、患者さんはどれくらい良くなるか?」といった判断がしやすくなります。

以前のラジオでもお伝えしましたが、まずは世界基準の評価を自分も使うことが大事です。

MCIDは、minimal clinically important differenceの略で、日本語だと臨床的に意義のある最小差、とされています。

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今回はFMAUEのMCIDについて、亜急性期、慢性期という病期別に紹介します。

脳卒中リハの評価で使われるFMAUEのMCID

亜急性期

Arya KN (2011) は、平均年齢52.41歳くらいの亜急性期の脳卒中患者さんを対象に、modified Rankin Scaleをアンカーにした時のMCIDとして “9” を、患者さんの主観的な変化(患者さんが主観的に変化したと感じるかどうか)をアンカーにした時のMCIDとして “10” をそれぞれ報告しています。

また、Hiragami (2019) は、平均年齢67.8歳くらいの亜急性期の脳卒中患者さんを対象に、患者さんの主観的な変化をアンカーにした時のMCIDとして “12.4” を報告しています。

脳卒中EBPプログラム 上肢の運動障害コース資料より抜粋

Arya KN (2011) の研究ではROC曲線を用いていますが、Hiragami (2019)の研究では変化群と不変化群の平均値の差を用いてそれぞれMCIDを算出していることや、対象者の年齢、重症度といった属性の違いがあるため、MCIDにも若干の違いが生じているものと思われます。

慢性期

Page (2012) は、平均年齢57歳くらいの慢性期脳卒中患者さんを対象に、上肢全体の運動機能に対する療法士の主観的な変化(療法士が主観的に変化したと感じるかどうか)をアンカーにした時のMCIDとして “5.25” を報告しています。

グラスプ能力の改善をアンカーにした時は “4.25”、リーチ能力の改善をアンカーにした時は”7.25” など、”何が変化したのか” によってMCIDも若干変化するのが興味深いところです。

脳卒中EBPプログラム 上肢の運動障害コース資料より抜粋

まとめると、次の通りです。

①亜急性期の脳卒中患者さんにおけるFMAUEのMCIDは9〜12.4
②慢性期の脳卒中患者さんにおけるFMAUEのMCIDは4.25〜7.25

病期別にMCIDを有効活用しよう

MCIDを決定づける要素として、サンプル(対象者)、方法、アンカーの3つがあります。

今回紹介したMCIDがそれぞれ異なる数値なのは、それはサンプルや方法、アンカーが異なるためです。

自分が担当する患者さんが、亜急性期の患者さんなのか、慢性期の患者さんなのか、また“どの能力の変化をみるか” によって参考にするMCIDを変えてみていただけたらと思います。

今回紹介した内容が臨床のセラピスト、患者さんに役立つ情報になれば嬉しいです。

本日は「脳卒中リハの評価で使われるFMAUEのMCID」というテーマでお話しさせていただきました。

BRAINでは脳卒中EBPプログラムというオンライン学習プログラムを運営しております。

2021年前期はおかげさまで満員御礼となりましたが、後期は10月から開始、募集は7月〜8月ごろから開始する予定です。

ご興味がある方はよかったらホームページを覗いてみてください。

それでは今日もリハビリ頑張っていきましょう!

参考文献

Santisteban L, Térémetz M, Bleton JP, Baron JC, Maier MA, Lindberg PG. Upper Limb Outcome Measures Used in Stroke Rehabilitation Studies: A Systematic Literature Review. PLoS One. 2016 May 6;11(5):e0154792.

Arya KN, Verma R, Garg RK. Estimating the minimal clinically important difference of an upper extremity recovery measure in subacute stroke patients. Top Stroke Rehabil. 2011 Oct;18 Suppl 1:599-610.

Hiragami S, Inoue Y, Harada K. Minimal clinically important difference for the Fugl-Meyer assessment of the upper extremity in convalescent stroke patients with moderate to severe hemiparesis. J Phys Ther Sci. 2019 Nov;31(11):917-921.

Page SJ, Fulk GD, Boyne P. Clinically important differences for the upper- extremity Fugl-Meyer Scale in people with minimal to moderate impairment due to chronic stroke. Phys Ther. 2012 Jun;92(6):791-8.