ミラーセラピーやメンタルプラクティス、運動観察療法などのいわゆる “運動イメージ系” のリハビリは、手軽に行えるため、やり方を覚えてしまえば患者さんご自身でも実施することが可能です。

実際、病棟でのリハビリ空き時間に患者さんに運動観察をやってくださいとiPadを渡したり、ミラーセラピーのセットを渡したりする方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ミラーセラピーは世界的に有効性についてコンセンサスが得られているリハビリです。

脳卒中治療ガイドライン2015では上肢機能障害に対するリハビリテーションのところで推奨グレードB、つまり「行うよう勧められる」とされています。

また、Thieme H (2018) のコクランレビューでは、「脳卒中患者に対するミラーセラピーは、何もしない場合などと比較すると運動パフォーマンス、運動障害、ADLを向上させる」と報告されています。

ミラーセラピーをセラピストがいないとき、患者さんひとりで行うことができれば、より改善が期待できそうです。

ただ、ホームエクササイズとして実施することに意味があるかどうかについては、検証しないといけません。

以前、ホームエクササイズとしてのミラーセラピーの効果を検証した研究を紹介しました。

結果としては、慢性期の脳卒中患者さんであってもFugl-Meyer Assessmentの上肢スコア(以下、FMAUE)が向上した、ということが報告されています。

つまり、麻痺側の上肢機能に対して有効であったことが報告されています。

今回も、ホームエクササイズとしてのミラーセラピーの効果を検証した、他のランダム化比較試験を紹介します。

Hsieh YW (2018) のランダム化クロスオーバー試験の概要

まず、Hsieh YW (2018) のランダム化クロスオーバー試験の概要を紹介します。

この研究では、慢性期脳卒中患者さんに対する、ホームエクササイズとしてのミラーセラピーとクリニックでのミラーセラピーの効果を比べています。

もし、この研究でどちらも同じくらいの効果だった、ということになれば、ミラーセラピーは外来リハビリなどでやらなくても、ホームエクササイズでいいじゃないか、という話になります。

対象になったのは慢性期の脳卒中患者さん24人、FMAUEのスコアはおよそ41点と、中等度の運動障害を持っていた方々でした。

対象者を2つのグループに分けています。

ひとつは「ホームエクササイズとしてミラーセラピー」を行うグループです。

こちらではミラーセラピーを30〜45分、さらに課題指向型訓練を45〜60分、自宅で実施しています。

もう一つのグループは「クリニックでのミラーセラピー」を行うグループです。

こちらもリハビリ内容は変わらず、ミラーセラピーを30〜45分、さらに課題指向型訓練を45〜60分なのですが、クリニックで実施しています。

リハビリは週3回、4週間実施されました。

クリニックでのエクササイズと同様の効果があった

結果として、ホームエクササイズ・ミラーセラピー群はFMAUE平均スコアがおよそ43点から47点になり、クリニック・ミラーセラピー群はおよそ41点から45点になったことを報告しました。

両グループともに、4週間でおよそ4点の改善を示し、両グループの間に統計的な有意差はなかったとのことです。

ホームエクササイズとしてのミラーセラピーも、クリニックでのミラーセラピーも上肢の運動機能に対しては同じような効果があることを報告しました。

慢性期の患者さんであればホームエクササイズでOKか

まとめます。

● ミラーセラピーは世界的に効果が報告されている
● ホームエクササイズとしてもミラーセラピーの有効性が報告されている
● クリニックでのミラーセラピーと同等の効果が報告された

日本では慢性期の脳卒中患者さんに対してリハビリを行える機会が少ないです。

回復期リハビリ病院では週7回、毎日3時間はリハビリを行えますが、慢性期だと介護保険の訪問リハビリでは最大でも週2回・1時間ずつか、週3回・40分ずつのいずれかになります。

世界的には慢性期の脳卒中患者さんでも身体機能が改善するという報告がたくさんされていますが、ほとんどの研究で週3回・60分以上の介入がされています。

つまり、「本当はもっとよくなるのにリハビリを提供する時間が足りないせいで患者さんがよくならない」という問題がある可能性があります。

※改善には個人差があります。

今回はホームエクササイズとしてのミラーセラピーが、クリニックでのミラーセラピーと同等の効果があることが報告されました。

リハビリの量を増やすことに貢献できるので、ぜひ導入を検討してみてください!

本日は「ホームエクササイズとしてミラーセラピーの効果②」というテーマでお話しさせていただきました。

BRAINでは脳卒中EBPプログラムというオンライン学習プログラムを運営しております。

2021年前期はおかげさまで満員御礼となりましたが、後期は10月から開始、募集は7月〜8月ごろから開始する予定です。

ご興味がある方はよかったらホームページを覗いてみてください。

それでは今日もリハビリ頑張っていきましょう!

参考文献

脳卒中治療ガイドライン2015

Thieme H, Morkisch N, Mehrholz J, Pohl M, Behrens J, Borgetto B, Dohle C. Mirror therapy for improving motor function after stroke. Cochrane Database Syst Rev. 2018 Jul 11;7:CD008449.

Hsieh YW, Chang KC, Hung JW, Wu CY, Fu MH, Chen CC. Effects of Home-Based Versus Clinic-Based Rehabilitation Combining Mirror Therapy and Task-Specific Training for Patients With Stroke: A Randomized Crossover Trial. Arch Phys Med Rehabil. 2018 Dec;99(12):2399-2407.