自費リハビリが脳梗塞・脳出血の患者さんに有効な理由【退院後の第3の選択肢】

退院後のリハビリ、何を利用されていますか?

多くの方は病院の外来リハビリを受けるか、自宅での訪問リハビリ、もしくは施設でのデイケア・デイサービスで受けていると思います。

これらはいずれも医療保険や介護保険といった公的な保険制度を利用して行われるもので、一般的な選択肢と言えます。

一方で、近年ではこのような保険制度を利用したリハビリだけでなく、保険外(自費)リハビリを利用するという選択肢が生まれてきています。

保険外(自費)リハビリは、脳梗塞や脳出血(以下、脳卒中とします)の後遺症で悩まれる方にとって、有効な選択肢になります。

本記事では保険外(自費)リハビリと外来リハビリ、訪問リハビリのシステムの違いや、保険外(自費)リハビリが有効である理由を解説します。

EBP東京自費リハビリ
東京23区内を対象にした訪問型自費リハビリサービスです。世界的には標準的に行われているEvidence Based Practice(科学的根拠に基づく実践)という手法、そして独自に開発したリハビリアルゴリズムを用い、脳卒中/神経系に特化したリハビリを提供します。
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自費リハビリが脳梗塞・脳出血の患者さんに有効な理由

最初に本記事のまとめです。

  • 発症から6ヶ月以上経過した脳卒中患者さんでも身体や生活の改善は可能
  • 身体や生活の改善には週3〜5回の集中的なリハビリが必要
  • 保険制度下のリハビリでは、制度上の都合により集中的なリハビリを行うことができない
  • 自費リハビリでは週3回以上のリハビリが可能なため、身体や生活の改善を望める

ざっくりまとめると、「退院後の脳卒中患者さんの身体や生活を改善させるために必要な “集中的なリハビリ” は、自費リハビリを使うことで受けられる」ということです。

以下、詳しく解説します。

退院後のリハビリの選択肢

一般的に、脳卒中を発症すると、入院して集中的なリハビリを受けます。

入院中は基本的に毎日リハビリが行われ、身体や生活がよくなっていきます。

入院リハビリまでは、患者さんやご家族様が選択肢の中からメニューを選ぶ、ということはなく、基本的には「入院リハビリを受ける」の一択です。

一方、退院してからはいくつかの選択肢があります。

  • 医療保険を使った外来リハビリ
  • 介護保険を使った訪問看護リハビリ
  • 介護保険を使ったデイケア・デイサービス
  • 自費(保険外)リハビリ
  • 自主トレーニング

これらにはメリットとデメリットがあり、目的や状況に合わせて使い分けることが大事です。

本記事では、外来リハビリ、訪問看護リハビリ、自費(保険外)リハビリを中心に解説します。

外来リハビリ

外来リハビリは、医療保険を使ったリハビリです。

一般的には、入院していた病院の外来リハビリを利用することが多いです。

メリットデメリット
入院リハビリを担当していた主治医、セラピストからリハビリを受けられる外来リハビリには月毎に利用上限が定められている
費用が安い移動の手間がかかる
外来リハビリのメリットとデメリット

メリット①入院リハビリを担当していた主治医、セラピストからリハビリを受けられる

外来リハビリの最大のメリットは、入院していた病院の主治医やセラピストからリハビリを受けられる可能性があるという点です。

自分の価値観を理解してくれていたり、入院初期からの状況を把握してくれているスタッフにみてもらえるのは安心するでしょう。

もし入院担当のセラピストと外来担当のセラピストが違う場合でも、同じ病院にいればすぐ連絡を取ることができるため、情報のやりとりがスムーズにいき、入院→外来の連携したリハビリを提供してくれます。

メリット②費用が安い

また、医療保険を使うことができるので患者さんの自己負担費用を安く抑えられます。

本来、外来リハビリは20分で2,450円かかります。

60分なら7,350円です。

ただ、医療保険が使えるので自己負担金額は少なくなります。

60分受ける場合、1割負担の人なら735円、2割負担の人なら1,470円、3割負担の人なら2,205円です。

医療費の自己負担割合の詳細はこちら

デメリット①外来リハビリには月毎に利用上限が定められている

一方、外来リハビリには利用上限が定められています。

発症からの期間によりますが、基本的には月13単位が該当する人が多いです。

1単位は20分を意味しますので、月13単位というのは「1ヶ月あたり260分まで」を意味します。

したがって、1回あたり40分のリハビリであれば週1〜2回、1回あたり60分のリハビリであれば週1回程度しか受けられません。

後述しますが、身体や生活の改善を目指す場合、この利用上限が大きな障壁になります。

デメリット②移動の手間がかかる

普段からよく外出される方には特に問題に感じないかもしれませんが、外出のための着替えや準備、移動の手間がかかります。

また、感染症が流行している時期はこれが大きなデメリットに感じられるかもしれません。

訪問看護リハビリ

訪問看護リハビリは、介護保険を使って訪問看護ステーションから派遣されるセラピストに自宅でリハビリをしてもらうサービスです。

介護保険を使うリハビリサービスには訪問看護リハビリの他にデイケアやデイサービスなどがあります。

デイケアやデイサービスは人が集まって同じ時間を過ごし、その中にリハビリあります。

ですので、リハビリがメインにはなっていません。

セラピストとの1対1の個別セラピーの時間が短かったり、そもそも個別セラピーがなく集団リハビリになっていたりします。

一方、訪問看護リハビリはセラピストが自宅に来てくれて1対1の個別セラピーを行ってくれるため、介護保険のリハビリサービスの中では最も「入院中のリハビリ」に近いです。

メリットデメリット
生活環境でリハビリを受けるので生活がよくなりやすい「生活の維持」が目標になることが多い
費用が安い訪問看護リハビリにも利用上限が定められている
自宅でリハビリを受けるため外出の手間がかからない
訪問看護リハビリのメリットとデメリット

メリット①生活環境でリハビリを受けるので生活がよくなりやすい

リハビリには、「リハビリ室では身体の動きがよくなったけど、生活がよくなっていない」というケースがあります。

これは、入院リハビリや外来リハビリで散見される問題です。

自宅環境と、リハビリ室の環境は違います。

例えば、「食事動作をするときに麻痺した手でお椀を持てるようになる」ことを目標にリハビリを進めるとします。

訪問リハビリでは普段から患者さんが使っている食器やテーブルを使い、また普段からよそっている量のご飯をお茶碗に乗せて練習することができます。

このため、訪問リハビリでできるようになったことにより生活がすぐに変わります。

一方、外来リハビリなどでは自宅の環境を完全に再現することができないため、「リハビリ室のお椀を持てるようになったけど自宅のお椀を持てるようにならなかった」というケースがあります。

メリット②費用が安い

外来リハビリと異なり、訪問看護リハビリは介護保険を利用したサービスになりますが、保険が使えるので自己負担金額が安く抑えられます。

訪問看護リハビリの場合は住んでいる地域によって費用が変わりますが、東京都内であれば、本来60分で9,000円程度の費用がかかります。

ただ、介護保険を利用することで1割負担の人であれば900円程度、2割負担の人であれば1,800円、3割負担の人であれば2,700円になります。

メリット③自宅でリハビリを受けるため外出の手間がかからない

普段からよく外出される方には特にメリットに感じないかもしれませんが、外出の準備や手間がかからないのは時間・移動時間の削減になります。

デメリット①「生活の維持」が目標になることが多い

一方で、デメリットもあります。

これは訪問看護リハビリの担当セラピストや、担当ケアマネジャーの意向にもよりますが、「身体機能や生活の維持」がリハビリの目的になることが多いです。

訪問看護リハビリをすでに受けている人は、リハビリの実施計画書に目標が記載されていると思うので、一度読み返してみてはいかがでしょうか。

改善を期待していたのに、そもそも改善を目指したリハビリを受けられていなかった、というケースもあります。

デメリット②訪問看護リハビリにも利用上限が定められている

一方で、最大のデメリットは外来リハビリと同様、利用上限が定められていることです。

訪問看護リハビリの場合(訪問看護Ⅰ5)、1週間に120分が上限です。

従って、1回あたり40分で週3回か、1回あたり60分で週2回になる場合が多いです。

後述しますが、発症から6ヶ月以上経過した慢性期(生活期)脳卒中患者さんの身体や生活を改善するためにリハビリの “量” が必要です。

外来リハビリや訪問看護リハビリの1回あたり40分〜60分、週1〜3回では物足りないのです。

自費(保険外)リハビリ

自費リハビリは名前の通り、完全に自費のリハビリです。

5〜6年前から普及し、現在、東京23区内であればどこに住われていても受けることが可能です。

運営会社や施設のコンセプトによりますが、一般的には「身体や生活の改善」の希望に沿ってリハビリを進めてくれるケースが多いです。

メリットデメリット
慢性期脳卒中患者さんの身体や生活の改善を期待できる費用が高い
リハビリのことをよく知らない他業界からの参入もある

デメリット①費用が高い

先にデメリットの話をします。

医療保険や介護保険では保険を利用することができ、自己負担金額を抑えることができます。

一方、自費リハビリでは100%自己負担になり、患者さんの費用負担が大きくなってしまうのが最大のデメリットです。

患者さんの負担を少なくすることを優先して考えると、医療保険や介護保険と同様に60分あたり3,000円程度に抑えるべきなのですが、そうすると収益の問題でとても運営できません。

外来リハビリや訪問看護リハビリは、患者さんが負担する1〜3割以外の費用(つまり7〜9割の費用)を国や自治体から受け取ることによって運営できています。

そのため、次の考えとして、医療保険や介護保険に合わせて60分あたり7,000〜9,000円程度にするという考えがあります。

そうすると、外来リハビリや訪問看護リハビリと同様の収益が得られます。

しかし、こうすると自費リハビリを利用する患者さんの人数が少なくなるため、総合的な収益が下がります。

結果として、自費リハビリを運営することができなくなってしまいます。

※実際、東京都内で60分8,000円で提供していた施設がありましたが、その後値上げされたケースもありました。

こういった事情があり、「少ないご利用者様人数でも運営ができる」金額設定にされることが多く、東京都内の自費リハビリの相場は個人で行っているところを除き、60分あたり12,000円〜18,000円が相場になっています。

自費リハビリは「お金儲け」と揶揄されることがありますが、このような運営上の問題があり、やむを得ずある程度の値段設定にしているケースが多いのです。

低価格に設定すると運営者の生活を圧迫することになり、サービスを継続できなければ、結局ご利用者様に迷惑を掛けてしまうことになります。

デメリット②リハビリのことをよく知らない他業界からの参入もある

自費リハビリはここ5〜6年で急速に増えており、他業界で事業を行っていた会社がリハビリ業界への進出をチャンスと見て参入してくるケースがあります。

もちろん全てではないですが、リハビリのことをよく知らないで自費リハビリ店舗を出しているところがあり、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのいわゆる “セラピスト” がいない施設もあります。

リハビリは、単に運動をすればいいというものではなく、患者さんの状態や目標などに合わせてひとりひとりに合わせたプログラムを組む必要があります。

ですので、リハビリは国家資格を持つセラピストが行います。

自費リハビリは、現行の法律ではセラピスト以外が行っても違法にはならないためこのようなケースがありますが、患者さんにとっては損失になる可能性が高いので、ご利用される前にリハビリ担当者がどういう人なのかを確認することをお勧めします。

メリット:慢性期脳卒中患者さんの身体や生活の改善を期待できる

高額な費用を支払ってまで自費リハビリを受ける理由があるのか、疑問に感じる方もいらっしゃるのではないかと思います。

費用は高額でも自費リハビリが普及しているというのは、求めていらっしゃる方が多いためです。

自費リハビリにしかないメリットについて解説します。

慢性期の脳卒中患者さんの身体や生活が改善する条件

まず、前提として慢性期(生活期)の脳卒中患者さんの身体や生活が改善する条件について説明します。

「脳卒中6ヶ月プラトー説」がありますが、「発症から6ヶ月以上経過するとよくならない」というのは誤解です。

世界的には、発症から6ヶ月以上経過した脳卒中患者さんに対し特定のリハビリを行うことで身体機能や生活が改善したという報告は山ほどあります。

受けるリハビリ次第で身体や生活がよくなる、というのは紛れもない事実です。

ではどのようなリハビリを受ければ良いのか?ですが、2つ条件があります。

①リハビリの種類が適切である

リハビリは一括りにされがちですが、複数の種類があります。

例えば、課題指向型訓練、CI療法、ミラーセラピー、電気刺激療法、運動イメージ療法、運動観察療法、トレッドミルトレーニング、体幹トレーニング、サーキットトレーニング、ボバース・コンセプト、認知神経リハビリテーション、PNFなどです。

なぜこのようにリハビリの種類がたくさんあるかというと、「何にでも効く」万能なリハビリがないためです。

「何をよくしたいのか」「発症からどれくらい経過しているのか」「後遺症の重症度はどれくらいか」といった状況に合わせて、適切なリハビリが変わります。

例えば、発症から6ヶ月以上経過した患者さんに対して有効とされている腕・手のリハビリはCI療法、電気刺激療法、ミラーセラピーなどが挙げられます。

また、歩行のリハビリではトレッドミルトレーニング、課題指向型訓練、サーキットトレーニング、運動観察療法、ミラーセラピーなどが有効とされています。

これらのリハビリは、発症から6ヶ月以上経過した脳卒中患者さんに対して有効であるというデータが世界中で報告されており、退院後もこれらのリハビリを受けることによって身体や生活が改善する可能性が高いことを意味しています。

一方、これら以外のリハビリは「発症6ヶ月未満では有効だが6ヶ月以降は有効と言えない」とか、そもそも有効というデータがないという場合があり、注意が必要です。

このように、身体や生活の改善を目指す場合、受けるリハビリの種類が適切であることは大事な要素です。

②リハビリの量が十分である

先に紹介したリハビリによって、発症から6ヶ月以上経過した慢性期(生活期)の脳卒中患者さんの身体や生活がよくなったと報告している研究は山ほどあります。

しかし、適切なリハビリをやれば何でもよくなるというわけではありません。

例えば、月1回しかリハビリを受けなければどれだけ良いリハビリを受けてもよくなることは難しい、というのはお分かりいただけると思います。

適切なリハビリを受けることに加え、適切な “量” のリハビリを受けることも大事な要素です。

なお、適切な “量” は、多くの場合、1回あたり60分以上、週3〜5回、1〜3ヶ月程度であることが多いです。

世界のリハビリ研究を読んでみると、週2回以下で改善したと言えるデータはとても少なく、ほとんどの研究が週3回以上のリハビリを行っています。

注意事項
・適切なリハビリ量は、リハビリの種類や患者さんの状態、目指す目標などによって異なります
・週2回未満のリハビリで必ず改善しない、という意味ではありません

まとめると、慢性期(生活期)の脳卒中患者さんの身体や生活を良くするためには、適切なリハビリを適切な量受けることが望ましいということです。

外来リハビリや訪問看護リハビリでは “量” を満たすことができない

外来リハビリや訪問看護リハビリでもトレッドミルトレーニングや課題指向型訓練などの適切なリハビリを受けることは可能です。

しかし、1回あたり60分以上、週3〜5回のリハビリを受けることが制度上できません。

つまり、適切なリハビリの種類を選ぶことには問題ありませんが、適切なリハビリ量を確保できない、という問題があります。

これが脳卒中患者さんの改善を妨げる大きな障壁になっています。

自費リハビリは利用上限がないため “量” を満たすことができる

一方、自費リハビリは利用上限が設定されていないため、1回あたり60分以上、週3〜5回、1〜3ヶ月のリハビリを受けることが可能です。

また、合わせ技になりますが、外来リハビリや訪問看護リハビリに加えて自費リハビリを週1〜2回追加することで適切なリハビリ量を確保することも可能です。

注意事項
・このような合わせ技は外来リハビリ・訪問看護リハビリと自費リハビリとが連携できなければ難しいです。また、各セラピストに同様のリハビリを提供できる知識・スキルがあることが求められます。

このように、日本国内で慢性期(生活期)の脳卒中患者さんが身体や生活を良くするためのリハビリを受けることは制度上難しいという問題を抱えており、本来であればよくなるはずの潜在能力をお持ちなのに、よくならないまま止まってしまっている人がいます。

自費リハビリをうまく活用することで、適切なリハビリ量を確保し、身体や生活の改善を目指すことが可能になります。

第三の選択肢として自費リハビリの検討を!

自費リハビリは費用面の問題があり、誰もが受けるのは難しいです。

ただ、リハビリ量の問題から、外来リハビリや訪問看護リハビリだけでは身体や生活を改善させることが難しいのも事実です。

退院後に身体や生活の改善を目指される脳卒中当事者の方は、リハビリの選択肢に自費リハビリを加えてみてはいかがでしょうか!