バランス練習はどのように実施されていますか?
王道は、立位や座位でリーチ動作をするとか、重心を左右前後に移動させるとか、障害物を跨ぎながら歩くなどの応用歩行動作練習になるのではないかと思います。
できればバランス練習も、最新のエビデンスに基づき、アップデートしたいですよね。
BRAINの脳卒中EBPプログラムで、近々、PTさんコースでバランス練習のエビデンスをお伝えします。
自分ひとりで、ということにはなるのですがシステマティックレビューを直近10年分のランダム化比較試験を対象に行い、情報収集をしています。
今回は、直近10年でどのようなバランスリハビリが研究されているのか、ということをお伝えします。
脳卒中EBPプログラム【歩行障害コース】
歩行障害やバランス障害に対する検査から、トレッドミルトレーニングや電気刺激療法などのリハビリの実際までを総合的に学ぶオンライン学習プログラムです。週1回、6ヶ月にわたって集中的に学習します。海外の最新エビデンスをもとに脳卒中リハビリテーションを提供できるようになりましょう!
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直近10年で研究されているバランスのリハビリ5選:臨床で再現しやすい編
バランスを向上させるためのリハビリは多岐に渡ります。
その中には「これ日本のリハビリでは無理だな」というものもあります。
まずは日本のリハビリで再現可能なリハビリを5つ紹介します。
①体幹トレーニング
名前の通り、体幹のトレーニングです。
背臥位でブリッジ動作をしたり、座位で骨盤の前後傾運動、体幹の側屈運動、回旋運動などをすることで体幹の運動性を強化する方法です。
②立ち上がり動作練習
こちらも名前の通り、立ち上がり動作の中でバランスを強化する練習です。
例えば、立ち上がり動作を100回実施するとか、座位で麻痺側下肢を後方に引いた状態で立ち上がり練習を行うとか、低い座面から立ち上がり動作練習を行うなどです。
③二重課題歩行練習
歩行練習に加え、別の課題を加えるものです。
例えば、トレッドミルトレーニングにリーチ動作を加える方法があります。
トレッドミルマシンの左右両側にポールと輪っかをセットしておき、トレッドミルトレーニングをしている中、麻痺側立脚期のタイミングで右から左、もしくは左から右へ輪っかを移動させる、という方法です。
④聴覚キューイング歩行練習
聴覚のキューを頼りに歩く練習をするもので、いくつかパターンがあります。
例えば、歩行練習中にメトロノームをセットし、患者さんにメトロノームの音に合わせて歩いてもらうという方法があります。
また、杖に荷重しすぎると音がなる圧センサーをセットしておき、杖ではなく下肢に荷重して歩けるように促すというものです。
⑤全身振動刺激
パワープレートのようなマシンの上に乗り、マシン自体が振動することで身体に振動刺激を与えるというものです。
複数の研究で全身振動の効果が検証されていますが、バランス能力に対しては有効でないという見方が強いです。
直近10年で研究されているバランスのリハビリ7選:臨床で再現しにくい編
その他にもバランス障害へのリハビリとして研究されているものがあります。
ただ、これらは日本では簡単に再現することができないものです。
さらっと紹介しますが、Virtual Reality(以下、VR)、水治療法、太極拳、ヨガ、ゲーム、非侵襲性脳刺激、ロボットアシストトレーニング、の7つです。
特にVR、ゲーム、水治療法は多く研究されていました。
バランス練習もエビデンスに基づき進めていこう
歩行練習であればトレッドミル、免荷式トレッドミルがあります。
上肢のリハビリであれば課題指向型訓練やCI療法があります。
このようにリハビリの一部は有効性についてコンセンサスが得られているリハビリが自然に行われるようになってきていますが、まだ全体がそうなってはいません。
バランス練習なんかはその代表格だと思います。
経験的に、立位で左右の重心移動をするとか、リーチ動作をするとか、そういったリハビリが行われているケースが多いのではないでしょうか。
今回紹介した6つのリハビリは多くのものでバランス能力の向上が報告されていますので、これらのリハビリをぜひ臨床で使うことを検討してみてください!