FMALEというのは、Fugl-Meyer Assessmentの下肢項目のことです。

Fugl-Meyer Assessment(以下、FMA)といえば上肢項目が有名ですが、下肢項目もあり、世界的に使われています。

なお、本来はFMAは運動機能(上肢・下肢)、感覚、バランス、関節可動域、関節痛、の5つの項目からなる最大226点の検査です。

世界のリハビリ研究では上肢項目のみ、下肢項目のみが抽出され、使用されることが多いです。

バランスや歩行、下肢機能などの理学療法領域においては、ランダム化比較試験などでFMALEが使用されていることが多いです。

そのため、ランダム化比較試験などの研究論文をもとにリハビリを進めていく場合、FMALEを理解しておくと、「このリハビリは目の前の患者さんに適応できるか?」とか「このリハビリを行った場合、患者さんはどれくらい良くなるか?」といった判断がしやすくなります。

まずは世界基準の評価を自分も使うことが大事です。

本記事では、FMALEのカットオフ値について紹介します。

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FMA-LE(下肢)のカットオフ値の目安。0〜34点のうち、21点=高いレベルの移動、27点=在宅生活・限られた外出、27.6点=外出範囲が広がる。点数が高いほど移動能力が高い目安。
FMA-LE(下肢)のカットオフ値の目安

脳卒中リハの評価で使われるFMALEの3つのカットオフ

最初に結論ですが、FMALEのカットオフ値として3つ紹介します。

① 21点/高レベルの移動 (Kwong PWH, 2019)
② 27点/在宅生活レベルと大きく制限された外出 (Fulk GD, 2017)
③ 27.6点/制限された外出と制限されない外出 (Fulk GD, 2017)

① 21点/高レベルの移動 (Kwong PWH, 2019)

こちらは慢性期の脳卒中患者さん、平均年齢62歳前後、平均歩行速度0.77m/sくらいの人たちを対象にし、導き出された値です。

FMALEは0点(最低点)〜34点(最高点)で評価しますが、21点を上回る点数であれば高レベルの移動が可能であるというカットオフ値です。

高レベルの移動というのは、歩行速度が1.01m/sくらい、6分間歩行距離が294.9mくらい、Timed Up and Go testの成績が13.6秒くらいで移動できる、ということを示します。

そして歩行速度や歩行距離がこれくらいの状態であるというのは、他の研究を参考にすると、ほぼ制限のない外出を行えるレベル(ショッピングセンターに行けたり、遠出したりできる)になります。

② 27点/在宅生活レベルと制限された外出 (Fulk GD, 2017)

こちらは慢性期の脳卒中患者さん、平均年齢 61.4歳前後、FMALE 24.9点くらいの人たちを対象にし、導き出された値です。

この研究では移動能力について4つのカテゴリに分けていて、1つ目が在宅制限レベル、2つ目が大きく制限された外出、3つ目が少し制限された外出、4つ目が制限されない外出、です。

それぞれのレベルについては1日の歩数で次の通り定義されています。

在宅生活レベル:100 ~ 2499 歩/日
大きく制限された外出:2500 ~ 4499 歩/日
少し制限された外出:4500〜7499 歩/日
制限されない外出:≧7500 歩/日

27点というカットオフ値は、1つ目の在宅生活レベルと大きく制限された外出レベルとを分けるものです。

ですので、27点を上回れば在宅生活レベルから脱し、自宅周辺の屋外歩行が可能になる可能性が高いことを示しています。

③ 27.6点/制限された外出と制限されない外出 (Fulk GD, 2017)

こちらは先ほどのFulk 2017の研究内で報告されている別のカットオフ値です。

4つの移動カテゴリを紹介しましたが、27.6点というカットオフ値は、制限された外出と制限されない外出とを区別するカットオフ値になります。

そのため、27.6点(事実上の28点)を上回れば、制限されない外出を行うことができる可能性が高いことを示しています。

FMA-LE(下肢)3つのカットオフ早見表

カットオフ意味するレベル対象(出典)目安となる移動能力
21点高レベルの移動(≒制限のない外出)が可能慢性期・平均62歳・歩行速度0.77m/s(Kwong 2019)歩行速度 約1.01 m/s/6分間歩行 約294.9 m/TUG 約13.6秒
27点在宅生活レベル ↔ 大きく制限された外出(自宅周辺の屋外歩行)慢性期・平均61.4歳・FMA-LE 24.9点(Fulk 2017)在宅100〜2499歩/日 → 大きく制限された外出2500〜4499歩/日
27.6点(事実上28点)制限された外出 ↔ 制限されない外出慢性期・平均61.4歳(Fulk 2017)少し制限4500〜7499歩/日 → 制限されない外出 ≧7500歩/日
原典:Kwong PWH, Arch Phys Med Rehabil. 2019; Fulk GD et al., Stroke. 2017。点数だけでなくカットオフをチームで共有すると、退院後の生活レベルの見通しを患者さん・ご家族に伝えやすくなります。

カットオフ値がわかれば検査結果が意味のあるものになる

検査結果を患者さんに説明するとき、「FMALEが○点から○点になっていました」と伝えても、患者さんはピンとこないですよね。

「先月より良くなったんだ」ということは伝わると思いますが、その改善が生活にどういう影響を与えるのかまではわかりません。

そんなとき、セラピストがカットオフ値が分かっていれば、患者さんへの説明もしやすくなります。

また、医師や看護師さんも含めたリハビリチームでカンファレンスをすることがあると思いますが、そのときにこういったカットオフの値を参考に、患者さんの病棟内移動の自立可否を判断したり、退院調整の方針を定めたりしやすくなります。

今回はFMALEのカットオフ値を紹介しましたが、特に理学療法領域においては、歩行速度、6分間歩行試験、Berg Balance Scaleなど様々な検査でカットオフ値の研究がたくさんされています。

各種検査のカットオフ値を把握しておくことで、検査間のつながりも見えてきます。

またFMALE以外の検査のカットオフ値も紹介しますので、お待ちいただけたら嬉しいです。

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参考文献

Kwong PWH, Ng SSM. Cutoff Score of the Lower-Extremity Motor Subscale of Fugl-Meyer Assessment in Chronic Stroke Survivors: A Cross-Sectional Study. Arch Phys Med Rehabil. 2019 Sep;100(9):1782-1787.

Fulk GD, He Y, Boyne P, Dunning K. Predicting Home and Community Walking Activity Poststroke. Stroke. 2017 Feb;48(2):406-411.

最終更新:2026年7月1日