
「PubMedの使い方を知りたいけれど、英語だらけで何から始めればいいのか分からない…」
臨床で生じた疑問を自分で調べたいPT・OT・STにとって、PubMedの最初のハードルは決して低くありません。
PubMedはアメリカ国立医学図書館(NLM)が無料で公開している、世界最大級の医学文献データベースです。リハビリテーション領域の臨床研究も大量に収録されており、セラピストが根拠ある臨床判断を行うための「最初に開くべき入り口」になります。
本記事では、PubMedの使い方を「臨床疑問を立てる」段階から「論文を絞り込む」段階まで、初心者向けにワークショップ形式で解説します。
本記事の内容をざっくり紹介します。
- PubMedの基本機能とセラピストが押さえるべきポイント
- 文献検索に必要な「臨床疑問」「PICO」など事前準備の知識
- PubMedを使った基本的な検索のしかた
- 検索結果画面から読むべき論文を絞り込む方法
以下の内容は本記事の対象外です。
- PubMedの応用機能(Single Citation Matcher、Clinical Queries、検索タグの組み合わせ等)
- スクリーニングを効率化するソフト(Rayyan等)の紹介
- 文献管理ソフト(Mendeley、Endnote等)の紹介
普段から文献検索を行っている方には、内容が易しめに感じられるかもしれません。
初めてPubMedに触れる方は、ぜひ手を動かしながら最後まで進めてみてください。
本記事の内容をより深く理解したい方は、拙著『文献検索の超基本』をお読みください。

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- 本記事の結論
- PubMedとは?セラピストが知っておくべき3つの基本機能
- 【取扱説明書】本記事の使いかた
- 文献検索全体の流れ
- 文献検索の “準備” が大事な理由
- STEP1. 臨床疑問を立てる
- STEP2. PICOへ定式化する
- 寄り道:研究デザインを知っておこう
- STEP3. 取り込み基準・除外基準の設定
- STEP4. 検索に使用するデータベースの決定
- STEP5. 検索式をつくる
- STEP6. 検索する
- STEP7. スクリーニング
- STEP8. シートにまとめる
- 文献検索におけるAI活用術
- まとめ
本記事の結論
- PubMedはアメリカ国立医学図書館(NLM)が運営する、無料で使える世界最大級の医学文献データベース
- セラピストが押さえるべき基本機能は「キーワード検索」「MeSH(メッシュ)用語検索」「フィルター」の3つ
- 本記事は「臨床疑問を立てる → PICOに定式化 → 取り込み・除外基準 → データベース選定 → 検索式の作成 → 検索 → スクリーニング → シートにまとめる」の8ステップでPubMedの使い方を初心者向けに解説
- 各ステップにワークショップを設けてあり、手を動かしながら身につけられる構成
以下、詳しく解説していきます。
PubMedとは?セラピストが知っておくべき3つの基本機能
PubMedは、アメリカ国立医学図書館(NLM)の国立生物工学情報センター(NCBI)が運営する、無料の医学文献データベースです。
収録文献数は3,800万件以上(2026年現在)、世界中の医学・看護学・リハビリテーション・公衆衛生分野の研究を網羅しています。
セラピストが押さえておきたいPubMedの基本機能は、次の3つです。
基本機能①:キーワード検索
検索窓に英単語を入力するだけで、関連論文を一覧表示できる、最も基本の機能です。
例:「stroke rehabilitation」と入力 → 脳卒中リハビリテーションに関する論文がヒットします。
ただし、キーワードだけでは検索結果が膨大(数万件〜数十万件)になりがちなので、複数キーワードを組み合わせて絞り込むのが基本になります(詳細は後述のSTEP5・STEP6)。
基本機能②:MeSH(メッシュ)用語検索
MeSH(Medical Subject Headings:医学件名標目表)は、PubMedの論文1本1本に付けられた「テーマ別タグ」です。
NLMの索引担当者が、論文の内容を読み込んで「この論文は〇〇についての研究」とラベル付けしているため、表記の揺れ(例:stroke / cerebrovascular accident / CVA)に左右されずに、テーマで一括検索できます。
MeSH用語を活用した検索戦略は、検索の感度(取りこぼしの少なさ)と特異度(ノイズの少なさ)を両立させることが、複数の検証研究で示されています(PMID: 31945170)。
基本機能③:フィルター機能
検索結果の画面左側にある「Filters」を使うと、出版年・論文タイプ(ランダム化比較試験/システマティックレビュー等)・言語などで結果を絞り込めます。
セラピストが臨床判断に使う論文は「直近10年以内」「ランダム化比較試験以上のエビデンスレベル」を目安にすると、効率的に質の高い研究を抽出できます。
※ 検索結果を絞り込むコツの詳細は、別記事「PubMedにおける検索タグとは?ーキーワード検索とフィールド検索ー」で解説しています。
これら3つの基本機能を踏まえた上で、次のセクションから具体的な検索手順に入っていきます。
【取扱説明書】本記事の使いかた
本記事はワークショップ形式です。
記事を見ながら、ワークショップを行ってください。
実際に手を動かすことで、文献検索がスキルとして身につきます。
ホームページやnoteなどのインターネット上の利用であれば、画像、文章の転載OKです!ただし、その場合は必ず転載するnoteやブログ記事に本記事のリンクを貼り付けてください!
https://brain-lab.net/evidence/for-therapist/ebp-basic/search-pubmed/
文献検索全体の流れ
全体の流れは下記の通りです。
- STEP1. 臨床疑問を立てる
- STEP2. PICOへ定式化する
- STEP3. 取り込み基準・除外基準の設定
- STEP4. 検索に使用するデータベースの決定
- STEP5. 検索式をつくる
- STEP6. 検索する
- STEP7. スクリーニング
- STEP8. シートにまとめる
STEP1〜5までが文献検索の準備です。
文献検索は “準備” で成功するかどうか決まります。
ですが、文献検索に悩んでいるほとんどの人が準備をやっていません。
準備よりも『PubMedの機能を使いこなす』情報を得ようとします。
どれだけPubMedを使いこなせても、そもそも自分が何を知りたいのか明確に分かってなければ文献検索はうまくいきません。
どれだけ高性能なカーナビを使っても、目的地が決まってなければ目的地には行けません。

文献検索も同じです。

あなたが目指すのは『必要な情報にアクセスして、臨床の疑問を解決できるセラピスト』ですか?
それとも『PubMedに詳しい人』ですか?
文献検索の “準備” が大事な理由
こういう経験ありませんか?

一方で、こういう経験もありませんか?

このように、『この文献がほしい!』というゴールがあると文献検索はあっという間に完了します。
文献検索の “準備” とは『自分が読むべき論文はこれだ!』とゴールをはっきりさせる作業です。
そして、STEP1〜5を完了することで、文献検索の準備は完了します。
ひとつずつ解説します。
STEP1. 臨床疑問を立てる
臨床疑問とは?
『臨床で感じる疑問』のことです。
リハビリをしている中で感じる疑問ありますよね?

それらは “すべて” 臨床疑問です。
ワークショップ①【臨床疑問を挙げてみよう】
あなたが直近1週間で感じた臨床疑問を5つ挙げてみましょう。
ここで挙げた臨床疑問は次のワークショップでも使いますので、取り組んでみてください。
- 解答例(タップ/クリックで表示されます)
臨床疑問は後景疑問と前景疑問の2つに分かれる

後景疑問(Background question)とは?
基礎的な疑問です。
後景疑問には、下記のようなものが当てはまります。
- 脳卒中とは?
- 運動麻痺とは?
- 課題指向型訓練とは?
- トレッドミルとは?
- 集中的言語聴覚療法とは?
後景疑問は、文献検索ではなく、参考書やGoogle検索で解決することが多いです。

そのため、ほとんどのケースで文献検索が必要ありません。
後景疑問を解決したい場合は、本記事を閉じていただいてOKです。
前景疑問(Foreground question)とは?
臨床的で、患者さんの問題解決につながりやすい疑問です。
前景疑問には、下記のようなものが当てはまります。
- 脳卒中患者さんの運動麻痺に対して課題指向型訓練は有効か?
- 脳卒中患者さんの歩行自立度を上げるためにトレッドミルは有効か?
- 脳卒中患者さんの自然発話を増やすために集中的言語聴覚療法は有効か?
前景疑問を解決するためには文献検索が必要です。

後景疑問と前景疑問の見分けかた
本質的に見分ける
後景疑問は『基礎的な知識を求めるもの』、前景疑問は『臨床的な知識を求めるもの』です。
- 脳卒中とは?
- 運動麻痺とは?
- 課題指向型訓練とは?
- トレッドミルとは?
- 集中的言語聴覚療法とは?
後景疑問は基礎的で、教科書とか用語集を調べればわかりそうですよね?
基礎的な疑問なら後景疑問、そうでないなら前景疑問です。
キーワードの数で見分ける
含まれているキーワードが『1つ』か『2つ以上』かで見分ける方法もあります。
含まれるキーワードが1つなら後景疑問、2つ以上なら前景疑問、です。
例えばさっきの後景疑問は全てひとつのキーワードに関する疑問です。
- 脳卒中とは?
- 運動麻痺とは?
- 課題指向型訓練とは?
- トレッドミルとは?
- 集中的言語聴覚療法とは?
一方、前景疑問は全て2つ以上のキーワードを含む疑問です。
- 脳卒中患者さんの運動麻痺に対して課題指向型訓練は有効か?
- 脳卒中患者さんの歩行自立度を上げるためにトレッドミルは有効か?
- 脳卒中患者さんの自然発話を増やすために集中的言語聴覚療法は有効か?
あなたの臨床疑問はどちらですか?
前景疑問の解像度を上げよう
不慣れな人が陥りやすいポイントとして、『疑問が曖昧』があります。
ケース1
- 脳卒中患者さんに対して課題指向型訓練は有効か?
『何に対して』有効なのか曖昧です。
あなたが知りたいのはどれですか?
- 上肢の運動機能への効果
- 下肢の運動機能への効果
- 歩行自立度への効果
- バランスへの効果
- 痙縮への効果 など
ケース2
- 脳卒中患者さんの予後は?
『何の予後』を知りたいのか曖昧です。
あなたが知りたいのはどれですか?
- 発症6ヶ月後の上肢の運動機能の予後
- 発症3ヶ月後の下肢の運動機能の予後
- 発症1年後の歩行自立度の予後
- 発症3年後のADLの予後
- 10年以内の再発率 など
疑問が曖昧だと、読むべき文献を絞り込むことができません。
まずは『自分が何を知りたいのかはっきりさせる』ことが大事です。
ワークショップ②【臨床疑問を前景疑問と後景疑問に分けてみよう】
さっき挙げたあなたの臨床疑問を、前景疑問か後景疑問かに分けましょう。
- 解答例(タップ/クリックで表示されます)
臨床疑問のカテゴリーを判断しよう
前景疑問は、検査(Assessment)、治療(Therapy/Treatment)、予防(Prevention)、予後(Prognosis)、害(Harm)、患者の経験(Patient Experience)の6つのカテゴリーに分類されます。

あなたの臨床疑問も、この6つのうちのいずれかに該当するはずです。
6つのカテゴリーと、対応する研究デザイン・PICO/PECO形式の関係をまとめます(拙著『文献検索の超基本』2026年, 金芳堂 表2より)。
| カテゴリー | 対応する研究デザイン | 対応するPICO/PECO形式 |
|---|---|---|
| 検査(Assessment) | 検証研究、診断精度研究 | PECO、PICOT |
| 治療(Therapy/Treatment) | ランダム化比較試験、準実験研究 | PICO |
| 予防(Prevention) | ランダム化比較試験、準実験研究 | PICO |
| 予後(Prognosis) | コホート研究、ケースコントロール研究 | PECO、PO |
| 害(Harm) | ランダム化比較試験、準実験研究、コホート研究、ケースコントロール研究 | PICO、PECO |
| 患者の経験(Patient Experience) | 質的研究(聞き取り研究、参与観察) | PEO、SPIDER |
各カテゴリーの考えかたを、セラピストの臨床例で簡単に押さえておきましょう。
1. 検査(Assessment)
「どの検査・測定法を使えばよいか」「現在使っている評価が適切か」を知りたいときの疑問です。例:脳卒中後の上肢機能をFMAで評価するとき、担当が変わっても同じ点数になるか(評価者間信頼性)。
2. 治療(Therapy/Treatment)
「どのようなリハビリテーションプログラムを行えばよいか」「今のプログラムが合っているか」を知りたいときの疑問です。例:脳卒中の患者さんに対するリハビリは、回数や時間を増やして集中的に行うほうが、通常の頻度で行うよりもADLの自立につながりやすいか。
3. 予防(Prevention)
「ある疾患や状態の発生を防ぐ方法は何か」を知りたいときの疑問です。例:高齢者にバランストレーニングを続けてもらうと、実際に転倒が減るか。
4. 予後(Prognosis)
「退院時にどのような状態になっているか」「1年後にどう推移するか」など、ある病状や治療法に対する予後を知りたいときの疑問です。例:脳卒中のあと、どれくらい歩けるようになりそうかを考えるとき、最初に見ておくと参考になるポイントは何か(例:発症からの時期、麻痺の重さ、立ち上がりやバランスの状態など)。
5. 害(Harm)
「介入や治療法が患者さんに与える可能性のある有害な影響は何か」を知りたいときの疑問です。例:脳卒中患者さんにトレッドミル練習をすると、歩きかた(歩容)が崩れる/癖が強くなることはあるか。リハビリでつめの運動を行うとき、心臓に負担がかかりすぎるなど、安全面で気をつけるべきリスクは何か。
6. 患者の経験(Patient Experience)
「患者さんが治療や病状をどのように感じ、経験しているか」を知りたいときの疑問です。例:脳卒中のリハビリ中、患者さんが『ここが一番つらい/困る』と感じやすいことは何か。慢性疾患のある人が日常生活で抱えやすいストレスは何か。患者の経験カテゴリーには、聞き取り研究や参与観察などの質的研究を用います。
あなたの臨床疑問がどのカテゴリーに該当するかを判断できると、検索すべき研究デザインのタイプも自ずと決まります。これが文献検索のスピードを大きく上げるポイントです。
ワークショップ③【臨床疑問のカテゴリーを判断しよう】
あなたの臨床疑問(前景疑問)をそれぞれカテゴリーごとに分けましょう。
- 解答例(タップ/クリックで表示されます)
STEP2. PICOへ定式化する
臨床疑問をPICOの形へ変換します。

臨床疑問のうち、前景疑問はPICO/PECO/PICOT/POのいずれかに直すことができます。
PICOとは?
Patients、Intervention、Comparison、Outcomeそれぞれの頭文字をとったものがPICOです。
- Patients…患者、対象者
- Intervention…介入、治療、リハビリ方法
- Comparison…比較
- Outcome…結果、帰結
PICOは介入の効果を知りたいときによく使われます。
例えば、『脳卒中患者さんに対する課題指向型訓練は上肢の運動機能向上に有効か?』といった臨床疑問は下記のように直せます。
- Patients…脳卒中患者に対する
- Intervention…課題指向型訓練は
- Comparison…課題指向型訓練をしない場合と比べて
- Outcome…上肢の運動機能向上に有効か?
PECOとは?
Patients、Exposure、Comparison、Outcomeそれぞれの頭文字をとったものがPECOです。
- Patients…患者、対象者
- Exposure…曝露
- Comparison…比較
- Outcome…結果、帰結
PECOは要因と結果を知りたいときに使います。
例えば、『脳卒中患者さんに認知機能低下があると、ADL自立は下がるか?』といった臨床疑問は下記のように直せます。
- Patients…脳卒中患者さんに
- Exposure…認知機能低下があると
- Comparison…認知機能低下がない場合と比べて
- Outcome…ADLの自立度が下がるか?
PICOとの違いは『意図的な介入か否か』です。
PICOのIには『課題指向型訓練』『トレッドミル』などセラピストが意図的に行う患者さんへの介入が入ります。
PECOのEには『運動障害』『痙縮』『嚥下障害』など第三者が意図的に与えたものではない『症状』や『状況』などが入ります。
PICOTとは?
Population、Index test、Comparison、Outcome、Target conditionそれぞれの頭文字をとったものがPICOTです。
- Population…セッティング、症状
- Index test…調べようとしている検査
- Comparison…比較対象になる他の検査
- Outcome…診断の結果指標
- Target condition…診断したい疾患
PICOTは評価指標の性能を調べるときによく使われます。
例えば、『脳卒中患者さんの転倒リスクを推定するにはBerg Balance ScaleとBESTestどっちがいいか?』といった臨床疑問は下記のように直せます。
- Population…脳卒中患者さんに対して
- Index test…Berg Balance Scale のカットオフは
- Comparison…BESTest のカットオフと比べて
- Outcome…感度・特異度が高いか?
- Target condition…6ヶ月以内の転倒を予測するために
POとは?
Population、Outcomeそれぞれの頭文字をとったものがPOです。
- Population…セッティング、症状
- Outcome…調べようとしている診断
POは診療の実態を知りたいときによく使われます。
例えば、『脳卒中患者さんのうち運動障害を有する人はどれくらいいるんだろう?』といった臨床疑問は下記のように直せます。
- Population…脳卒中患者さんのうち
- Outcome…運動障害を有する人の割合は?
臨床疑問のカテゴリーとの対応
臨床疑問のうち、前景疑問は評価、治療、予防、予後のいずれかのカテゴリーに分類されるとお伝えしました。
PICO/PECO/PICOT/POはこのカテゴリーに対応してます。
全てがこの通り当てはまるわけではないですが、ざっくりと
- 治療…PICO
- 予後…PECO
- 予防…PICO
- 評価…PICOT、PO
の対応のしかたをします。
つまり、あなたの臨床疑問(前景疑問)が治療に関することならPICOに直せます。
また、あなたの臨床疑問(前景疑問)が予後に関することならPECOに直せます。
ワークショップ④【臨床疑問のカテゴリーに合わせてPICOに定式化しよう】
あなたの臨床疑問(前景疑問)のカテゴリーに合わせて、PICO/PECO/PICOT/POのいずれかに直しましょう。
- 解答例(タップ/クリックで表示されます)
寄り道:研究デザインを知っておこう
寄り道と言っても、とても大事です。
研究デザインとは?
研究の『型』のことです。
ランダム化比較試験とか、コホート研究とか、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
臨床疑問のカテゴリーに合わせた研究デザイン

あなたの臨床疑問のカテゴリーに合わせて、検索すべき研究デザインが変わります。
治療や予防の効果を知りたいならランダム化比較試験や準実験研究、予後を知りたいならコホート研究やケースコントロール研究、患者の経験を知りたいなら質的研究、というように、カテゴリーごとに適した研究デザインがあります。
研究デザインを知らないといけない理由はここにあります。
※以下、基本的な研究デザインについてとても簡単にお伝えします。さらに詳しく知りたい方は日本理学療法学会連合のEBPT用語集などをご参照ください。
ランダム化比較試験
治療の効果や予防介入の効果を調べるときに使われます。
つまり、PICOに定式化された臨床疑問はランダム化比較試験を読むことで解決することが多いです。
例えば…
- 脳卒中患者さんへのCI療法はリハビリをしない場合と比べて手の運動機能の向上に有効かどうか調べる研究
- 脳卒中患者さんへのトレッドミルトレーニングは屋外歩行練習と比べて歩行距離の向上に有効かどうか調べる研究
- 脳卒中患者さんへの集中的言語聴覚療法が通常の言語聴覚療法と比べて失語の改善に有効かどうか調べる研究
…などがあります。
コホート研究
予後について調べるときに使われます。
つまり、PECOに定式化された臨床疑問は、コホート研究を調べることで解決することが多いです。
例えば…
- 脳卒中患者さんの発症1週間の痙縮の有無で6ヶ月後の上肢運動機能は違うか?
- 脳卒中患者さんの発症3日以内の座位保持の可否で6ヶ月後の歩行自立度は違うか?
…などがあります。
横断研究
実態を明らかにする研究で、評価や病態、診療の実態に関することについて調べるときに使われます。
つまり、PICOTやPOに定式化された臨床疑問は、横断研究を調べることで解決することが多いです。
例えば…
- 運動障害の重症度と痙縮の重症度に関係はあるか?
- バランス障害の有病率は?
- 被殻出血の大きさと運動障害の重症度に関係はあるか?
…などがあります。
システマティックレビュー
情報をまとめる研究です。
- ランダム化比較試験をまとめる研究
- コホート研究をまとめる研究
- 横断研究をまとめる研究
…などさまざまなものがあります。
『木を見て森を見ず』という格言がありますが、上記の一つ一つの研究は『木』、システマティックレビューは『森』です。
準実験研究
準実験研究は、ランダム化比較試験のような厳密なランダム割付を行わずに、介入の効果を検証する研究デザインです。介入前後の比較や、別群との比較を行いますが、対象者を無作為に割り付けない点でランダム化比較試験とは異なります。
リハビリの臨床現場ではランダム化が倫理的・実務的に難しいケースもあるため、「治療」や「予防」のカテゴリーでは、ランダム化比較試験に加えて準実験研究も重要な情報源になります。
ケースコントロール研究
ケースコントロール研究は、ある結果(例:転倒した/していない)が起きた人と起きていない人を比較して、過去にどんな要因が違っていたかを調べる研究デザインです。「予後」や「害」のカテゴリーで使われます。
例えば「脳卒中後に転倒した患者さんと転倒しなかった患者さんを比較したら、転倒した群はバランス機能の評価点が低かった」というようなデータから、予後予測の手がかりを得られます。
質的研究(聞き取り研究・参与観察)
質的研究は、患者さんへの聞き取り(インタビュー)や、現場での観察(参与観察)を通じて、患者さんが治療や病状をどのように感じ、経験しているかを調べる研究デザインです。「患者の経験(Patient Experience)」のカテゴリーで中心的に用いられます。
数値で測れない患者さんの主観的な体験を扱うため、ランダム化比較試験などの量的研究とは方法論が大きく異なります。患者さんの「困りごと」や「リハビリで一番つらい瞬間」を理解したいときには、質的研究が大きな手がかりになります。
ワークショップ⑤【探すべき研究デザインを判断しよう】
臨床疑問を解決してくれる研究デザインを判断しましょう。
PICO/PECO/PICOT/POと研究デザインの基本的な対応は以下の通りです。
- PICO…ランダム化比較試験、システマティックレビュー
- PECO…コホート研究、システマティックレビュー
- PICOT…横断研究、システマティックレビュー
- PO…横断研究、システマティックレビュー
- 解答例(タップ/クリックで表示されます)
STEP3. 取り込み基準・除外基準の設定
取り込み基準・除外基準とは?
『この論文を読むか読まないか』を判断するために予め定めておく基準です。
まずイメージをつかんでもらうために、例を出します。
取り込み基準
- 成人脳卒中患者を対象にしている研究
- 慢性期の患者さんを対象にしている
- 電気刺激としてTENSを使用している
- 比較の「何もしない」には研究以外のリハビリを含める
- FMAUEを使用している など
除外基準
- リハビリ開始時に重度運動障害(FMAUE 20点以下)がある患者さんを対象にした研究
- 1セッションしか介入が行われていない
- 自分の病院で再現不可能なアウトカムを使用している など
取り込み基準・除外基準を設ける理由
PubMedで検索するとたくさんの論文がヒットします。
ヒットした論文を全て読むわけにはいかないので、後で『スクリーニング』という作業を行い、読むべき論文を絞り込みます。
スクリーニングをするときに、『読むべき論文』『読まなくていい論文』を分けるために取り込み基準・除外基準が必要です。

取り込み基準・除外基準はPICOに合わせて設定しよう
最初は『どうやって基準をつくればいいの?』と不安になると思います。
基本的にはPICOに合わせて作ればOKです。
例えばさっきの例だと…
取り込み基準
- 成人脳卒中患者を対象にしている研究(P)
- 慢性期の患者さんを対象にしている(P)
- 電気刺激としてTENSを使用している(I)
- 比較の「何もしない」には研究以外のリハビリを含める(C)
- FMAUEを使用している(O) など
除外基準
- リハビリ開始時に重度運動障害(FMAUE 20点以下)がある患者さんを対象にした研究(P)
- 1セッションしか介入が行われていない(I)
- 自分の病院で再現不可能なアウトカムを使用している(O) など
取り込み基準・除外基準を設定するコツ
『自分の臨床疑問を解決できるように絞り込む』イメージです。
例えば、臨床疑問が『急性期の脳卒中患者さんの歩行自立に対し、長下肢装具を使った歩行練習は有効か?』だとします。
急性期で務めている理学療法士さんが、自分の担当患者さんに長下肢装具が有効かどうか知りたいケースです。
このとき、
- 長下肢装具ではなく短下肢装具を使った研究
- 自分の病院に置いていない機器(例えばロボットアシストつき長下肢装具)を使って歩行練習をした研究
- 歩行自立に関するデータをとっていない研究
…を読んでも、臨床疑問の解決にはならないですよね。
このような『臨床疑問を解決できなさそうな研究』を除外するために、除外基準を設けます。
一方、
- 長下肢装具を使った研究
- 特殊な機器を使わないで歩行練習をした研究(普通の長下肢装具を使った)
- 歩行自立に関するデータをとっている研究
…なら臨床疑問の解決につながりそうですよね。
このような『臨床疑問を解決できそうな研究』を取り込むために、取り込み基準を設けます。
ワークショップ⑥【取り込み基準・除外基準を設定しよう】
臨床疑問を解決できそうな取り込み基準・除外基準を設定しましょう。
- 解答例(タップ/クリックで表示されます)
STEP4. 検索に使用するデータベースの決定
データベースとは?
インターネット上に存在する図書館のようなものです。
データベースに『こういう文献をください』とお願いすると『1,000件ヒットしました』のように該当する文献情報を教えてくれます。

代表的なデータベースを解説
以下、リハビリに関する文献がたくさんあるデータベースです。
PubMed
米国国立医学図書館に搭載されている、医学、歯学、薬学、介護、ヘルスケア、生物学など広範囲にわたる分野を取り扱う。リハビリの文献を調べるならPubMedが第一選択。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/
Cochrane Library
治療・予防・診断など、医療上の介入の有効性に関する質の高いシステマティックレビュー(コクランレビュー)を検索できる。システマティックレビューを調べるときにとても有効。
https://www.cochranelibrary.com/
PEDro
理学療法に関するランダム化比較試験、システマティックレビュー、ガイドラインなど、厳密な研究手法を用いた研究のみが登録されている。PEDro scaleを用いたバイアスチェックがある。
まずはPubMedを!
3つ紹介しましたが、まずPubMedが使えればOKです。
PubMedで文献検索の練習をしましょう。
STEP5. 検索式をつくる
検索式とは?
検索するときのキーワードの組み合わせのことです。
何か調べものをするとき『脳卒中 リハビリ』とか『沖縄 観光 オススメ』とかで調べますよね?
それです。
以下、検索式を作るときに役立つ基本的な知識です。
その他にもいろいろありますが、ひとまずこれを知ってればOKです。
AND検索

『脳卒中 AND リハビリ』のような形です。
“脳卒中” という用語と “リハビリ” という用語を含んだ文献がヒットします。
ちなみに『脳卒中 リハビリ』のようにANDではなくスペースで区切った場合もAND検索になります。
OR検索

『脳卒中 OR リハビリ』のような形です。
“脳卒中” という用語か “リハビリ” という用語を含んだ文献がヒットします。
() で囲む

『(脳卒中 OR 脳梗塞) AND 歩行練習』のような形です。
() で囲むとひとつのまとまりを作れます。
上記の検索式だと、『脳卒中 AND 歩行練習』でヒットする文献も、『脳梗塞 AND 歩行練習』でヒットする文献もどちらも見つけてくれます。
“” (クォーテーション)
『脳卒中 AND “Treadmill Training”』のような形です。
英語論文の検索ではよく使います。
“”で囲った複数の単語は、ひとつのフレーズとして認識されます。
『Treadmill Training』だと『Treadmill』と『Training』の2つの単語だと認識されます。
『”Treadmill Training”』だと『Treadmill Training』という1つのフレーズだと認識されます。
参考
その他、『NOT検索』『*(アスタリスク)』、『?』、『$』などを使って検索する方法がありますが、まずは上記のものを使いこなせるようになってください。
検索語を決めよう
まずは検索式に入れる検索語を決めます。
- 脳卒中
- 運動障害
- 短下肢装具
- トレッドミル
- 課題指向型訓練
…など、臨床疑問に関連する用語を思いつく限りたくさん挙げましょう。
参考
類語辞典や既存のシステマティックレビュー研究を参考にすることで検索語を増やせます。学びはじめの方にとっては難しいと思うので、まずは自分の頭の中で思い浮かぶ用語を入れられればOKです。
検索語を英語に直そう
まずGoogle翻訳やDeepL翻訳を使って、日本語を英語に直してください。
▶︎ Google翻訳

https://translate.google.co.jp/
▶︎ DeepL翻訳

https://www.deepl.com/translator
PubMedのMesh
検索語を洗練させます。
Mesh(Medical Subject Headings)とは?
各論文に与えられたハッシュタグのようなものです。
![Twitterのハッシュタグ「#脳卒中」とPubMedのMeSH用語「"Stroke"[Mesh]」を対比したイラスト。MeSHはPubMedにおけるハッシュタグのような役割を持つことを示す概念図 class=](https://brain-lab.net/wp-content/uploads/2022/05/脳卒中って何だっけ?-9-1024x576.png)
『Strokeなど』というのがポイントで、Strokeと同じような用語、そしてStrokeに包括される用語を一緒に検索してくれます。
例えば『Cerebrovascular Accident(脳血管疾患)』も脳卒中と同じような用語です。
Meshを使うと、『Stroke』で検索しているのに『Cerebrovascular Accident』と記載されている文献も引っ張ってきてくれます。
また、『Stroke(脳卒中)』 は『Brain Infarction(脳梗塞)』や『Hemorrhagic Stroke(脳出血)』を含んだ用語ですよね。
Meshを使うと、『Stroke』で検索しているのに『Brain Infarction』や『Hemorrhagic Stroke』と記載されている文献も引っ張ってきてくれます。
つまり、『Stroke』という用語でMesh検索を行うと、同じような意味を持つ言葉(Cerebrovascular Accidentなど)も包括される言葉(Brain InfarctionやHemorrhagic Stroke)も合わせて検索してくれます。
参考
その他にもMeshには色々な役割がありますが、そちらについてはまた別の記事で紹介します。
Mesh検索の流れ
まず、下記のWebページからMesh用語を確認します。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/mesh/

英語に翻訳した検索語を入力し、検索します。

検索結果画面が表示されます。

適当そうな言葉を選んでリンクからMesh用語のWebページへジャンプします。

定義が示されているので、自分の調べたい用語と一致しているか確認します。

Mesh用語の同義語・類義語を確認します。
そのMesh用語を使って検索した場合、ここに記載されている同義語・類義語で書かれた論文も引っ張ってきてくれます。

Mesh用語に含まれる用語を確認します。

そのMesh用語を使って検索した場合、ここに記載されている含まれる用語で書かれた論文も引っ張ってきてくれます。
このMesh用語を採用するなら、このボタンを押します。

検索できる形になって出てくるので、これをコピーしておきましょう。
![PubMed Search Builderに「"Stroke"[Mesh]」が追加された状態を赤い破線で強調したスクリーンショット class=](https://brain-lab.net/wp-content/uploads/2022/05/Mesh.009-1024x576.jpeg)
これを繰り返して、さっき挙げた検索語をMesh用語に直します。
ただし、全ての検索語がMesh用語になるわけではありませんので注意してください。
例えば、『脳卒中(Stroke)』は『”Stroke”[Mesh]』になりますが、評価のひとつである『Fugl-Meyer Assessment』はMesh用語になりません。

Mesh用語にならないものは検索式にそのまま入れます。
MeSHでの検索手順をさらに深く学びたい方は、拙著『文献検索の超基本』(金芳堂, 2026年)の第5章「PubMedを使った文献検索のしかた【検索フィルター編】」で動画つきで実演解説しています。
本記事で紹介したMeSHの一連の流れ(MeSH用語の検索→Subheadingsの選択→Search Builderへの追加→PubMed検索)を、書籍では画面操作の動画つきで一つずつ確認できます。

書籍|文献検索の超基本
「先輩に聞けばいい」から卒業しませんか?
本書は、PT・OT・STが最短で文献検索を身につけるための一冊です。172ページ+40本の動画で、PubMed検索からAI活用まで実践的に学べます。ChatGPT、Elicit、Semantic ScholarなどのAIツールを”なんとなく使う”のではなく、正しく臨床に活かす方法を体系的に解説。文献検索は、早く身につけた人が圧倒的に伸びます。エビデンスを自分で調べられるセラピストになりませんか?
検索式を作ろう
上記の知識を全て使いながら検索式を作っていきます。
下記のように複雑な検索式になるのが普通です。
“Stroke”[Mesh] AND “Upper Extremity”[Mesh] AND (“task oriented training” OR “task related training” OR “task specific training”) AND (“fugl-meyer assessment” OR “action research arm test” OR “box and block test”)
ワークショップ⑦【検索式を作ろう】
臨床疑問を解決してくれる文献を探すための検索式を作りましょう。
- 解答例(タップ/クリックで表示されます)
初めてちゃんと文献検索する人は、ここまで1時間くらいかかったかもしれません。
でも、慣れてくると5分くらいでここまで書き出せます。
頭の中でまとめるだけなら30秒でできちゃいます。
早くできるようになるまで繰り返し練習してみてください。
STEP6. 検索する
検索のしかた
PubMedの検索窓にコピペするだけ。
![PubMed.govのトップページで、検索窓に完成した検索式「"Stroke"[Mesh] AND "Upper Extremity"[Mesh] AND ("task oriented training"…」を入力した状態を赤い破線で強調したスクリーンショット class=](https://brain-lab.net/wp-content/uploads/2022/05/PubMed1.001-1024x576.jpeg)
簡単ですね。
検索にフィルターをかける
フィルターをかけると、欲しい情報に効率よくたどり着くことができます。
発行年

左上のつまみを移動させれば絞り込めます。
研究デザイン

ARTICLE TYPEのチェックボックスにチェックを入れます。
例えば、『Randomized Controlled Trial』にチェックを入れると、ランダム化比較試験の論文だけに絞り込んでくれます。
無料論文
無料で入手できる論文に絞り込むこともできます。

TEXT AVAILABILITYの『Free full text』にチェックを入れると、PMC(オンラインジャーナル公開プラットフォーム・データベース)で無料公開されている論文だけに絞り込むことができます。
また、チェックボックスは追加することができます。


ヒット件数が多すぎて絞り込みたい人は、フィルターを追加してみましょう。
ワークショップ⑧【検索してみよう】
検索式を検索窓に入れ、検索してみましょう。
状況に合わせて、検索にフィルターをかけてみましょう。
PubMedの検索結果画面が表示されたらOKです。
STEP7. スクリーニング
スクリーニングとは?
『情報をふるいにかける』作業です。
検索のヒット件数が1,000件を超えるケースもあると思います。
1,000件の文献全てを読み通すのは無理ですよね。
なので、『自分が読むべき文献』をこの1,000件の中から見つけ出す作業をします。
それがスクリーニングです。

一次スクリーニング
タイトルとアブストラクトを読んで、『自分が読むべき文献』かどうかを判断します。
自分の臨床疑問・PICO(PICO/PECO/PICOT/PO)・取り込み基準/除外基準を使います。
文献のタイトルをクリックします。

文献の詳細ページが表示されます。

タイトルとアブストラクトを読んで、『自分が読むべき文献』かどうかを判断します。
補足【文献はPICO/PECO/PICOT/POに直せる】
基本的に、文献はPICO/PECO/PICOT/POのいずれかにまとめることができます。そして、タイトルとアブストラクトを読むことでその文献のPICO/PECO/PICOT/POを読み取ることができます。一次スクリーニングでは、タイトルとアブストラクトから読み取った文献のPICO/PECO/PICOT/POと、自分の臨床疑問のPICO/PECO/PICOT/POが一致しているか確認します。
ひとつ前のページに戻り、『自分が読むべき論文』もしくは『読むべき文献かもしれない』と判断したらチェックを入れます。

これを繰り返して、ヒットした文献全てのタイトルとアブストラクトを全て確認し、チェックを入れ終わったら、『Save』ボタンを押します。

Create fileボタンを押します。

一次スクリーニングでチェックをつけた文献情報が一括で手に入ります。

なお、Formatのタブを操作し、CSVファイルでダウンロードすることも可能です。

一次スクリーニング後、1,000件あった文献が絞り込まれ、数十〜数百件になっているはずです。
絞り込まれた文献を使って、二次スクリーニングに移ります。
ワークショップ⑨【一次スクリーニングをしてみよう】
一次スクリーニングをしてみてください。
タイトルとアブストラクトを読んで絞り込めたらOKです。
二次スクリーニング
一次スクリーニングで絞り込まれた文献を、さらに絞り込んでいきます。
二次スクリーニングでは、本文を読んで『自分が読むべき文献』かどうかを判断します。
一次スクリーニング後に一括でダウンロードしたファイルのPMIDを入力すれば、文献のページへジャンプできます。



本文の『方法(Methods)』や『結果(Results)』に詳細なPICO/PECO/PICOT/PO情報が記載されているので読んで判断します。
本文はこちらから入手できます。

補足【無料で論文が手に入らない場合】
無料で入手できない場合は、購入しましょう。購入することが難しければ、①大学の図書館に行く②国立国会図書館に行く③著者へ連絡してPDFをいただけないか相談する、などの方法があります。
二次スクリーニングではメモ帳などを活用しながら文献のURLやPMIDをコピペし保存しておいてください。
数十〜数百件になった文献が絞り込まれ、数〜数十件になるはずです。
二次スクリーニング後に残った文献が、あなたが読むべき文献です。
スクリーニングの実演動画を見たい方は、拙著『文献検索の超基本』(金芳堂, 2026年)の第7章「PubMedを使った文献検索のしかた【スクリーニング編】」で実際の論文を例にステップバイステップで解説しています。
一次・二次スクリーニングそれぞれの判断プロセスや、文献を構成する10の項目の整理のしかたまで、動画つきで実演しています。

書籍|文献検索の超基本
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ワークショップ⑩【二次スクリーニングをしてみよう】
二次スクリーニングをしてみてください。
本文を読んで絞り込めたらOKです。
STEP8. シートにまとめる
最後、シートにまとめて完成です。
シートは自作のもので構いません。
よく『文献管理ソフトは何を使った方がいいですか?』と聞かれますが、ExcelやNumbersで十分です(研究論文を書くなら話は別です)。
私も、MendeleyやReadcubeなどいくつかの文献管理ソフトを使用してみましたが、結局Numbers(Appleの表計算ソフト)に落ち着きました。

シートのダウンロードはこちら(期限終了)
BRAINが使用しているランダム化比較試験用のNumbersファイルを置いておきます。
使用するにあたって、個別の許諾申請・使用料などは必要ございません。
ただし、著作権は全てBRAINに帰属しています。
シートの複製・譲渡・配布・販売に該当する行為や、著作権を侵害する行為については、固く禁止されていますので、ご注意ください。
【主な禁止事項】
● ダウンロードデータを販売したり、CD-ROM / DVD等に収録して配布する行為
● ダウンロードデータを再利用できる形でWeb上に公開したり、ダウンロードを可能にするなどの行為
● ダウンロードデータを利用した各種作成サービスでの使用
● ダウンロードデータを利用して商標登録するなどの行為
● ダウンロードデータを主要なコンテンツとした商品の制作・販売
文献検索におけるAI活用術
ChatGPTやGemini、ClaudeなどのAIツールの発展は、文献検索にも大きな影響を与えています。一方で、AIに文献検索を完全に依存するのは現時点では危険でもあります。半分は人の手、半分はAI、がベストです。
ここからは、拙著『文献検索の超基本』(金芳堂, 2026年)第9章の内容を踏まえて、PubMedによる文献検索にAIツールを組み込む方法を整理します。
AIに任せず、人間との共同作業ととらえる
最初に強調しておきたいのは、「AIに任せるのはあくまでも文献検索の”サポート”であり、本人の文献検索力があることが前提」ということです。
近年、いくつかの研究でAIによるシステマティックレビューの精度や時間効率について検証されてきていますが、部分的にAIと人間とでは同等の精度を示すものの、誤りや抜けが生じ得るため、人間による最終的な確認や補完が必要であることが報告されています。
また、無料プランか有料プランかによってもAIの性能は異なります。多くのセラピストが無料プランを使うことを考えると、まだまだAIに文献検索のすべてを任せられるようにはならないでしょう。
本記事の8ステップを通じて文献検索能力を身につけた状態で、AIを上手に活用してください。
文献検索に活用できる5分類のAIツール
文献検索に活用できるAIツールは、用途別に5つに分類できます。
| 分類 | 代表ツール | できること |
|---|---|---|
| ①検索式を設計・整理する | ChatGPT、Gemini、Claude | 臨床疑問の整理、検索式の作成、研究デザインの選定、取り込み・除外基準の草案づくり |
| ②文献を自動で拾って整理する | Elicit、Consensus | 臨床疑問を入力すると、自動で関連文献を検索し、抄録の傾向をざっくり把握できる |
| ③引用・共著ネットワークから辿る | ResearchRabbit、Connected Papers、Litmaps | 1本の文献を起点に、関連する文献をネットワーク図で可視化。抜け漏れチェックに有効 |
| ④検索式の意味や語彙の近さから文献を探す | Semantic Scholar | 自然なキーワードや短い文章で、意味的に関連性の高い論文を提示してくれる |
| ⑤文献の読解をサポートする | NotebookLM | PDFや文献URLをアップロードすれば、対象者・介入・評価項目・結果などを抽出してくれる |
ElicitやConsensusは便利ですが、「本当にすべての文献を検索できているのか(網羅性)」「どうやってその文献が選ばれたのか(選定の透明性)」が不明瞭です。あくまで、文献検索の”入口”や”補助”として使うのが現実的です。
著者が推奨する6ステップAI活用フロー
5分類のなかから、筆者が実際に文献検索プロセスに組み込んでいるのは ChatGPT、Elicit、NotebookLM、ResearchRabbit の4つです。具体的な6ステップのフローを紹介します。
- ChatGPT:PICO/PECOへの定式化・検索式の作成
臨床疑問を投げると、PICO/PECOへの分解と、PubMed用の検索式までを作ってくれる。出力は”たたき台”として受け取り、自分の意図と合うか吟味する。 - Elicit:関連文献の傾向をざっくり把握
自然な質問文を入力すると、関連文献の表(対象・介入・結果など)が自動で作成される。検索の方向性を定めるのに役立つ。 - PubMed:検索式に基づき厳密な文献検索
本記事の8ステップに沿ってPubMedで厳密な検索を行う。これが文献検索の本丸。 - NotebookLM:一次・二次スクリーニングの負担軽減
収集した文献をアップロードし、「対象者、介入、評価項目、結果を教えて」と指示すると、要点を抽出してくれる。スクリーニングの時間を大幅に短縮できる。 - ResearchRabbit:引用・共著ネットワークからの抜け漏れ確認
採択した文献を起点に、関連文献のネットワーク図を表示。検索式では拾い切れなかった重要文献を補完できる。 - NotebookLM:文献抄読・データ抽出
採択された文献を読み込んで、バイアスリスクの評価やデータ抽出を支援してもらう。最終確認は必ず人間が行う。
AIに任せきりにしてはいけない3つのリスク
ChatGPTやGeminiは便利な反面、AIが出力する検索式は「常に最適」とは限りません。代表的な失敗例を3つ紹介します。
- 取り込み・除外基準をそのままキーワードとして並べすぎて、検索式が過剰に複雑化しヒット件数がゼロになる
- AIが勝手に条件を追加する(例:「過去10年間の論文に限定」など)ことで、意図しない絞り込みが行われる
- 存在しないMeSH Termを生成し、ヒット件数がゼロになる
AIは検索式作成の補助にはなりますが、論文検索の精度は最終的には人間の判断に委ねられます。AIが生成した検索式はあくまでも”たたき台”ととらえ、「AIに文献検索を任せる」ではなく、「AIと人間の共同作業」としてとらえることが重要です。
さらに詳しい使いかたは、拙著『文献検索の超基本』(金芳堂, 2026年)の第9章「文献検索におけるAI活用術」をご参照ください。
本記事の8ステップを体系的に学びたい方は、拙著『文献検索の超基本』(金芳堂, 2026年)をご覧ください。
172ページ+40本のサポート動画で、本記事で紹介した臨床疑問の立て方からPubMed検索、スクリーニング、AI活用までを実践的に学べます。

書籍|文献検索の超基本
「先輩に聞けばいい」から卒業しませんか?
本書は、PT・OT・STが最短で文献検索を身につけるための一冊です。172ページ+40本の動画で、PubMed検索からAI活用まで実践的に学べます。ChatGPT、Elicit、Semantic ScholarなどのAIツールを”なんとなく使う”のではなく、正しく臨床に活かす方法を体系的に解説。文献検索は、早く身につけた人が圧倒的に伸びます。エビデンスを自分で調べられるセラピストになりませんか?
まとめ
文献検索は簡単そうで、実はちゃんと “型” があります。
型に沿った検索をしないと『いい文献が見つからない』…と困ることになります。
まずは型を身につけて、5分くらいで検索できるようになりましょう。
自分で調べられるセラピストへ。
オンライン/PT・OT向け/BRAINアカデミー

