患者さんから、「このリハビリって効果あるの?」と聞かれたことありますよね。
そういうとき、なんて説明されてますか?
自分が新人の頃は「うーん、人によりますねー」という返していたことが多かったと思います。
だけど、それって専門家の返事としては微妙ですよね。
リハビリ効果が人によって異なるのは、間違った説明ではないと思いますが、それならばどういう人に効果があって、どういう人に効果があるとは言えないのか知っておき、説明して差し上げないといけないですよね。
今になってはもうちょっとちゃんとした説明ができれば良かったなーと思うので、本日は説明するときに知っておけば良かったと思う2つの視点について紹介します。
患者さんにリハビリ効果を説明するときに知っておきたい2つの視点
ひとつ目は、「一般的にそのリハビリが効果があるかどうか」という視点、ふたつ目は「その患者さんに効果があるかどうか」という視点、です。
例えば脳卒中の患者さんに「トレッドミルトレーニングって効果あるの?」と聞かれたときを想定します。
まずは「脳卒中患者さんに対してトレッドミルが効果があるかどうか」そして、「目の前の患者さんがトレッドミルを行った場合何がどれくらい向上するか」を伝えられるようにしておく、というイメージです。
では、どうすればそれぞれを説明できるようになるのか、説明します。
2つの視点について説明
まず「一般的にそのリハビリが効果があるかどうか」です。
これは診療ガイドラインやシステマティックレビューの情報から得られます。
脳卒中であれば、脳卒中治療ガイドライン2015というものが発刊されていて、おそらくどの病院や施設にも一冊はあると思いますので、そちらを参考に、各種リハビリの効果を把握しておけばよいと思います。
ガイドラインの中で推奨されていれば、多くの脳卒中患者さんに対して効果的であると考えられるので、「一般的にそのリハビリが効果があるかどうか」という説明をする上では有益です。
また、もうちょっと解像度を上げた説明をする上では、システマティックレビューという研究を実施した論文を読むといいと思います。
システマティックレビューというのは、世界中で報告された研究結果をもとに、特定のリハビリの効果について、効果があるかどうか検証する研究です。
「脳卒中患者さんに対するトレッドミルトレーニングは効果があるかどうか」調べたシステマティックレビューを読むことで、説明できるようになります。
続いて、「その患者さんに効果があるかどうか」です。
こちらについては、システマティックレビュー・メタアナリシスのサブグループ解析とか、ランダム化比較試験の情報から得られます。
ざっくり説明すると、ランダム化比較試験というのは、「特定のリハビリ方法の効果を調べる研究」です。
例えば、患者さんから「トレッドミルトレーニングって効果あるの?」と聞かれる場合は、脳卒中患者さんに対するトレッドミルトレーニングの効果を調べたランダム化比較試験を読んでおけばOKです。
ランダム化比較試験を読んでおくと、「○歳くらいの重症度が○○くらいの患者さんに対してトレッドミルトレーニングを週○回、○週間実施した場合、歩行能力が○○くらい向上する」という情報を得ることができます。
このように、ガイドライン、システマティックレビュー、ランダム化比較試験の論文を読んでおくことで概ね患者さんの疑問に答えることが可能になります。
トレッドミルトレーニングの実例
実際、脳卒中患者さんに対するトレッドミルトレーニングは、ガイドラインや大局的に見たときのシステマティックレビュー・メタアナリシスでは歩行能力の向上に効果があるとされていますが、もう少し解像度を上げて重症度別に見たときは、「歩行が自立している患者さんには効果的であると言えるものの、歩行が自立していない患者さんには効果的であると言えない」というエビデンスがあります。
「トレッドミルトレーニングって効果あるの?」と聞かれた患者さんが歩行が自立していない人だった場合、「一般的には効果がありますが、○○さんのようにまだおひとりで歩くことが難しい患者さんの場合は効果があるとは言えないので、別の方法を考えましょう」という説明ができるようになります。
「うーん、人によりますねー」という返事も間違ってはいないのですが、リハビリの専門家であれば、もう少し詳しい説明をして差し上げられるようになりたいですね。
そのために、ガイドライン、システマティックレビュー、ランダム化比較試験の論文を読んでおくことをお勧めします。
本日は「患者さんにリハビリ効果を説明するときに知っておきたい2つの視点」というテーマでお話しさせていただきました。
BRAINでは脳卒中EBPプログラムというオンライン学習プログラムを運営しております。
2021年前期はおかげさまで満員御礼となりましたが、後期は10月から開始、募集は7月〜8月ごろから開始する予定です。
ご興味がある方はよかったらホームページを覗いてみてください。
それでは今日もリハビリ頑張っていきましょう!