英語論文を読めるようになるための4つのステップとして、「自分が知りたい情報を臨床疑問として整理する」、「情報を得るためにどの英語論文を読むか決める」、「英語論文の中のどの情報を得るべきか知る」、「ひたすら読み続ける」を紹介させていただきました。
本記事ではステップ4「ひたすら読み続ける」を紹介します。
結局、英語論文を読めるようになるためには英語論文を読まないといけません。
昨日まで、読み方のテクニックをお伝えしてきましたが、テクニックだけ知っていても実際に読もうとしないと読めるようになりません。
野球で素振りだけしてても、打席に立たなければボールを打てるようにならないのと同じです。
ですので、英語論文をどんどん読んでいきましょう。
とは言え、英語論文を最初からスラスラ読めることはないと思います。
正直、何回か挫折すると思います。
挫折する原因はいくつかありますが、主な原因は「読むのが大変なわりに得られる情報が少ない」ということです。
例えば1編の論文を読むのに1週間とかかかってたら、「1週間かけてこれだけしか情報が手に入らないのか。なら日本語の教科書とか論文を読んだ方がいいな」となるでしょう。
私も何回かそうなりました。
特に、新人の頃は経験不足を知識で補うために、知識を大量に求めていたので、英語論文から情報を得るのは効率が悪かったのです。
でも、今は優秀な翻訳ツールがあるので、情報収集の速度が上がり時間効率も良くなってきてきます。
本記事ではこの翻訳ツール、そして英語論文を読むことの習慣化について取りあげます。
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押さえておくべき翻訳ツール3選
最初に、押さえておくべき翻訳ツール3選ということで3つのツールを紹介させていただきます。
「Google Chrome」「DeepL翻訳」「Shaper」の3つです。
Google Chrome
Google Chromeというのは、ブラウザの一種です。
WindowsならInternet Explorerが標準装備だと思います。
MacならSafariが標準装備だと思いますが、Google Chromeをダウンロードして基本ブラウザにしてしまうことをお勧めします。
Google Chromeは画面の右上のところに翻訳ボタンがついていて、「日本語に翻訳」を選択すると、開いているWebページ全文をGoogle翻訳を使って日本語にしてくれます。
つまり英語論文が日本語で全文読めるようになります。
ただし、日本語に変換できるのはWebページだけで、PDF書類などを日本語に変換することはできないというデメリットがあります。
DeepL翻訳
続いて、DeepL翻訳です。
最大5000文字まで、英語を入力するとそれを日本語に直してくれます。
英語論文をPDFで読もうとするときはGoogle Chromeの翻訳機能が使えないので、文章をコピペしながらDeepL翻訳を使い、日本語に直していくと良いです。
コピペの手間がかかりますが、英語をひたすら読んでいくよりは早く読み切れると思います。
また、Mac用のアプリをダウンロードしておくと、翻訳したい英文を選択し「Command +C」を2回連続で押すだけで、自動翻訳してくれます。
Shaper
最後にShaperです。
Shaperというのは、英語の文章の改行とかスペースを整えてくれるツールです。
英語論文をPDFで読むときに、DeepL翻訳が良いのですが、コピペするときに変なところで改行されてしまったり変なところにスペースが入ってしまったりするのですね。
そうするとDeepL翻訳を使うときにも変な日本語になってしまいます。
そのため、変な改行や変なスペースを自分で消していかないといけないのですが、それが結構面倒です。
Shaperは名前の通り、文章の形を整えてくれるツールです。
変な改行や変なスペースを自動で取り除いてくれます。
なお、Shaperには「DeepL翻訳する」というボタンもついていて、形を整えた後の文章をそのままDeepL翻訳で日本語に直すことができます。
まとめると、英語論文をWebページで読むならGoogle Chrome、PDFで読むならShaperとDeepL翻訳を押さえておくと便利です。
英語のスキルが必要ないわけではない
翻訳ツールがあれば英語のスキルが低くても英語論文を読むことができますが、英語のスキルが全く不要なわけではないです。
優秀な翻訳ツールを使っても違和感のある日本語になってしまうことはありますので、そういう時は英語の文章を確認して、ニュアンスを把握する必要があります。
また、英語の勉強をするなら基本的には単語の勉強よりも長文読解の勉強を優先した方がいいと思っています。
リハビリの論文では、一般的な英単語ももちろん使われるのですが、医学用語が使われることが多いので、単語帳などには載っていない単語がたくさん出てきます。
例えば、痙縮のことをspasticityと言いますが、痙縮なんて一般的な英語の単語帳の中には出てきません。
でも英語論文の中では頻出単語です。
なので “長文読解能力” はテキストなどを購入して勉強しつつ、”単語” は論文で出てきたわからない単語の単語帳を作って勉強していくというのが最も効率的なのではないかと思います。
英語論文を読むことを当たり前にしていく
今回もまたスキルの話になっていますが、冒頭にお伝えした通り、英語論文を読めるようになるためには英語論文を読むしかありません。
1日15分は英語論文を読むとか、通勤時間の電車の中で英語論文を読むとか、そういう風に毎日の習慣の中に仕組みとして組み込んでしまうことをお勧めします。
これは個人的な意見ですが、ポイントは「週3回」とかにするよりも「毎日」にした方が楽ということです。
週3回とかにすると「今日は英語論文やる日だっけ?やらない日だっけ?」と曖昧になり流れてしまったり、「よしやるか」とスイッチを入れないといけなくなるので大変です。
毎日やるとルーティンになって自然とスイッチが入るようになるので、こちらの方が継続できると思っています。
10年前は、臨床家で英語論文を読んでいるだけで希少性がありました。
でも、翻訳ツールが充実してきている現代では英語論文を読んで世界最先端の情報を入手するのは当たり前になりつつあります。
近い将来、英語論文を読めていないとセラピストはダメなセラピスト、とされてしまう日が来るかもしれません。
少なくとも、英語論文を読んで最新の情報を得ておくのは患者さんのためになりますので、積極的に英語論文に挑戦していきましょう!