Aachen Aphasia Test(以下、AAT)は世界で標準的に使われている失語症の検査です。
これは失語症領域に限らず、理学療法領域、作業療法領域でも同じですが、Evidence Based Practice(以下、EBP)やEvidence Based Medicine(以下、EBM)を進める上では、世界で使用されている検査を使うことが大事です。
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https://brain-lab.net/2021/07/05/1-77/
日本国内では失語症の検査として、Standard Language Test of Aphasia(以下、SLTA)やWestern Aphasia Battery (以下、WAB)の日本語版、そして機能的コミュニケーションのアウトカムとしてCommunicative Abilities of Daily Living (以下、CADL)がよく使われていると思います。
ただ、CADLは、世界の失語症リハビリの研究(ランダム化比較試験)では近年ほとんど使われていないですし、SLTAについては全く使われていません。
SLTAについては日本人のための検査なので、世界で使われていないのは当たり前ですが…
一方、海外では失語症の検査としてWAB以外に、本日紹介するAATがよく使われています。
AATを知っておくと、海外の失語症のリハビリ研究論文を読むときに、AATスコアの変化を見て何がどれくらい良くなるのかがわかるようになります。
私が知る限り、AATは日本語訳がないので、調べるのが大変だと思います。
先日、脳卒中EBPプログラムの嚥下・高次脳機能コースの中で私が調べる機会がありましたので、調べたことを共有させていただきます。
失語症リハビリに携わる先生のお役に立てれば嬉しいです。
脳卒中の失語症検査:Aachen Aphasia Test
AATは、失語症の重症度を見るための検査です。
下記の6つのテストパートに分かれています。
①自発的な言語
②トークンテスト
③復唱
④書字
⑤呼称
⑥理解度
①自発的な言語、②トークンテストについては採点方法が特殊ですが、それ以外の項目は30点が満点になります。
①自発的な言語については0〜5の6段階で評価し5が一番良い状態を示します。
②トークンテストについてはエラー数でカウントし、0〜50で点数をつけます。
エラー数は少ない方がいいので、0がもっとも良い状態を指します。
Aachen Aphasia Testの規範的データ
Miller K (2000) がAAT英語版の規範的データを報告しています。
在宅生活を送っている失語症がない人の場合、各検査でほぼ満点になります。
一方、失語症がある患者さんは各検査で点数が下がります。
世界で使われている検査を知っておこう!
これは言語聴覚療法の領域に限らないのですが、EBPやEBMをちゃんとやっていこう、高いレベルでやっていこうとするなら、まずは検査を世界基準にしておくことが大事です。
失語症の検査ではWABやAAT、以前紹介したAmsterdam-Nijmegen Everyday Language Test(以下、ANELT)が使用されていることが多いです。
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https://brain-lab.net/2021/07/14/1-84/
まずはこれらを理解しておくことが、患者さんへより良いリハビリを提供することにつながります!
皆様のリハビリに役立つ情報になれば幸いです。
本日は「脳卒中の失語症検査:Aachen Aphasia Test」というテーマでお話しさせていただきました。
BRAINでは脳卒中EBPプログラムというオンライン学習プログラムを運営しております。
2021年前期はおかげさまで満員御礼となりましたが、後期は10月から開始、募集は7月〜8月ごろから開始する予定です。
ご興味がある方はよかったらホームページを覗いてみてください。
それでは今日もリハビリ頑張っていきましょう!
参考文献
N. Miller, K. Willmes & R. De Bleser (2000) The psychometric properties of the English language version of the Aachen Aphasia Test (EAAT), Aphasiology, 14:7, 683-722,