脳卒中を発症された患者さんから、「自動車って運転できるの?」と聞かれたことはないでしょうか。
私の場合は、病院に勤めていたとき、現役世代の患者さんから聞かれることが多かったです。
当時は「保険が下りないことがあるらしいので、自動車センターに相談に行ってください」と伝えていました。
その後、自費リハビリ施設に勤めることになったのですが、そこで自動車運転再開に向けた必要事項について色々調べる機会があったので、「脳卒中発症後の自動車運転は “法的” に問題あるのかどうか」について、こちらでも紹介させていただこうと思います。
千葉県、埼玉県など首都圏近郊の自動車センターや警察などに確認した情報ですが、あくまでも私の経験としてお聞きいただければと思います。
脳卒中発症後の自動車運転は “法的” に問題あるの?
結論から言うと、免許証の有効期限が切れていなければ、脳卒中を発症していても自動車を運転することは法的に問題ありません。
一方で、免許証の有効期限が切れていたら、脳卒中を発症された人であっても発症していない人であっても運転してしまうのは法的にアウトです。
また、後述していますが免許更新などのタイミングで免許センターへ行った際、検査を行って免許剥奪になる場合があります。
このように “運転免許が有効でない状況” になれば、法的にアウトです。
この “法的にどうか” という側面であればこれで終わりですが、もう一点、任意保険について紹介します。
任意保険会社には連絡すべき
脳卒中を発症した後は、何か事故を起こした時に任意保険による補償金が下りないことがあります。
それがどういう場合かというと、任意保険の契約に「契約したときの健康状態の場合に有効」とか「契約時の心身状態と相違がある場合は無効」とか、そういった記載がされているケースがあります。
患者さんが病前に任意保険の契約をしていた場合、こういった記載がされていると、脳卒中発症後は任意契約が無効になってしまう可能性があります。
ですので、まず契約書を確認すること、続いて任意保険会社へ連絡して、脳卒中発症後に自動車運転を行っても保険が下りるかどうか確認していただくと良いと思います。
適切な手続きを踏もう
なお、免許証の有効期限が近づいてくれば免許証の更新に行くと思いますが、そのタイミングで運転免許を剥奪されてしまうことがあるようです。
私が担当させていただいていた患者さんの場合ですと、自動車免許はそのまま更新できましたが、自動二輪(バイク)の免許は剥奪になってしまいました。
ちなみに、バイクの簡単な検査があったそうです。
剥奪になるくらいなので、免許センターの方々が危険だと判断されたのだと思います。
法的に、また任意保険的に運転できる、という状態だったとしても、「安全に運転できる」とは限らないので、「安全に運転できるかどうか」の評価は必要だと思います。
セラピスト個人で評価を行うこともできなくはないですが、個人的には専門の機関にお任せしてしまった方が患者さんにとっても安心なのではないかと思います。
千葉県の話ですが、千葉市には千葉リハビリテーションセンターという施設があります。
私が担当させていただいていた患者さんはこちらに通われていたのですが、医師による高次脳機能検査やドライブシュミレーターを用いた評価を行なったり、作業療法士の先生が自動車に同乗して近くの教習所で自動車運転を行わせてもらったりと、包括的な評価をしてくれるそうです。
私たちもセラピストであり高次脳機能の評価を行うことは可能ですが、自動車運転については患者さんの命に直結する大事なことでもあるので、千葉リハビリテーションセンターのような、ノウハウがある専門機関にお任せしてしまうのも良いのではないかと思います。
▶︎千葉リハビリテーションセンター
https://www.chiba-reha.jp/
本日は「脳卒中発症後の自動車運転は “法的” に問題あるの?」というテーマでお話しさせていただきました。
BRAINでは脳卒中EBPプログラムというオンライン学習プログラムを運営しております。
2021年前期はおかげさまで満員御礼となりましたが、後期は10月から開始、募集は7月〜8月ごろから開始する予定です。
ご興味がある方はよかったらホームページを覗いてみてください。
それでは今日もリハビリ頑張っていきましょう!