本記事では、脳卒中後の下肢の感覚障害に対するリハビリ方法について研究で報告されている方法を6つ紹介します。
最初に本記事のまとめです。
- 脳卒中後は体性感覚障害が表れることがある
- 脳卒中後の感覚障害に対する6つの感覚トレーニング
- 時間・頻度・期間の条件設定が大事
脳卒中後の感覚障害
ヒトは視覚、聴覚、体性感覚、味覚、前庭覚といったいくつかの感覚を持ち合わせています。
身体が何かに接触したことを知らせたり、関節がどのように動いているかを伝えてくれる感覚を体性感覚と言います。
脳卒中を発症すると、体性感覚が鈍くなってしまうことがあります。
これを体性感覚障害と言います。
体性感覚障害が下肢(脚・足)に生じると、歩いているときにどこに体重が乗っているのかわからなくなったり脚が伸びているのか曲がっているのかわかりにくくなるため、バランスが悪くなったり、歩きにくくなります。
運動障害(手足が動かしにくくなる)に対するリハビリテーションと比べるとまだ数少ないですが、体性感覚障害に対するリハビリテーション方法についても世界中で研究されています。
本記事では、Chia FSら(2019)、Serrada Iら(2019)のシステマティックレビュー論文をもとに、感覚障害へのリハビリテーションを6つ紹介します。
脳卒中後の感覚障害に対する6つの感覚トレーニング
① 麻痺側への荷重
② 識別課題
③ 他動・自動反復運動
④ 運動イメージ+固有感覚トレーニング
⑤ 電気刺激
⑥ 振動刺激
その他、水治療法やWiiなどの方法も報告されていますが、現実的に利用できる介入は上記の6つになるかと思います。
時間・頻度・期間の条件設定が大事
6つのリハビリ方法があるというのは患者さんへ情報として伝えることはできますが、リハビリで実際にどうやるか、どれくらい効果が期待できるかについてはそれぞれの方法によって異なります。
感覚トレーニングは即時的に効果が得られるものもありますが、他のリハビリ方法と同様、基本的には継続して実施し効果を期待します。
継続して実施する上では介入の条件(時間・頻度・期間など)も大事な情報になります。
それぞれの方法によって異なりますので、改めて別記事でまとめます!
参考文献
Chia FS, Kuys S, Low Choy N. Sensory retraining of the leg after stroke: systematic review and meta-analysis. Clin Rehabil. 2019 Jun;33(6):964-979.
Serrada I, Hordacre B, Hillier SL. Does Sensory Retraining Improve Sensation and Sensorimotor Function Following Stroke: A Systematic Review and Meta-Analysis. Front Neurosci. 2019 Apr 30;13:402.