本記事では、脳卒中後の痙縮に対する電気刺激について、システマティックレビュー論文をもとに体系的に見たときの効果について検証しています。

最初に本記事のまとめです。

  • 電気刺激は脳卒中リハビリテーションで幅広く使われる
  • 上肢(肘・手関節)の痙縮に対しては電気刺激は他の療法よりも改善させるとは言えない
  • 下肢の痙縮に対しては他の療法よりも効果的
  • “とりあえず痙縮には電気!” を避けたい

脳卒中リハビリにおける電気刺激の役割

脳卒中リハビリテーションにおいて、電気刺激は運動障害の改善、感覚障害の改善、痙縮の改善、関節可動域の改善、痛みの改善などを目的に、幅広く使用されます。

それぞれの後遺症に対し効果があるのか、そして効果を期待するためにはどのような条件で行えば良いかということが研究されてきています。

本記事では痙縮の改善に焦点を当てています。

上肢(肘関節・手関節)の痙縮に対する電気刺激の効果

Stein Cら(2015)はシステマティックレビューにて、脳卒中患者さんに対する電気刺激はそれ以外の介入方法と比べて、上肢(肘関節・手関節)に対して有益とは言えないという結果を報告しています。

<手関節への電気刺激>
MD 0.12(-0.41, 0.64) I2=81%
<肘関節への電気刺激>
MD -0.39(-0.89, 0.11) I2=54%

Stein C, 2015

肘関節や手関節の痙縮で困る患者さんは多いですが、このような結果になっています。

注意しなければいけないのは、電気刺激は効かないということではない、という点です。

あくまでも他の介入方法と比べて効果があるとは言えないということです。

電気刺激の実施前後で痙縮が改善するケースもありますが、他の介入方法でも同様に改善するでしょう、ということです。

下肢の痙縮に対する電気刺激の効果

一方、下肢に対しては有益という結果になっています。

<下肢へのNMES>
MD -0.78(-1.02, -0.54) I2=48%

Stein C, 2015

下肢への電気刺激は、他の介入方法と比べて効果があるようです。

とりあえず痙縮には電気!を避けたい

脳卒中診療ガイドライン2015では痙縮に対するリハビリテーションとして電気刺激はグレードBとなっています。

グレードAにはボツリヌス毒素や薬物療法などリハビリの専門外の介入であり、電気刺激はリハビリで取り扱える介入の中では推奨グレードが高い介入方法になります。

でもだからと言って “痙縮→電気!” と考えてしまうのではなく、患者さんの状態に合わせて適用を検討した方が良さそうです。

参考文献

Stein C, Fritsch CG, Robinson C, Sbruzzi G, Plentz RD. Effects of Electrical Stimulation in Spastic Muscles After Stroke: Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Stroke. 2015 Aug;46(8):2197-205.