PICO/PECOという用語、お聞きになってことはあるでしょうか?
リハビリの情報を要約する上で使われるもので、知っておくと色々便利です。
特に、自分が知りたい情報へ行き着くまでの速度が上がります。
つまり、情報の検索効率がよくなるということです。
本記事は、若手のセラピストさん向けにPICOとPECOの基本と、臨床での活かし方について説明します。
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臨床家こそ知っておくべきPICOとPECO
最初に本記事のまとめです。
- PICOとPECOはリハビリの情報を要約したもの
- Patients(患者)、Intervention(介入)/Exposure(曝露)、Comparison(比較)、Outcome(結果)の頭文字を取ったもの
- 臨床の疑問を解決する上で有用
PICOとPECOは臨床家こそ知っておくべき知識です。
以下、詳しく説明します。
PICOとPECOはリハビリの情報を要約したもの
PICOとPECOはリハビリの情報を要約したものです。
PはPatients(患者)、IはIntervention(介入)/EはExposure(曝露)、CはComparison(比較)、OはOutcome(結果)、とそれぞれの頭文字を取ったものがPICO・PECOです。
全ての論文情報はPICOやPECOに要約できる
EBPを進める上では主に研究論文のエビデンスを参考にしますが、研究論文に書かれている情報はほとんど全てPICOやPECOに要約できます。
例えば、慢性期脳卒中患者さんに対してトレッドミルトレーニングが何もしない場合と比べて歩行の自立度向上に対して有効であることを報告した研究の場合は…
P:慢性期脳卒中患者
I:トレッドミルトレーニング
C:何もしない
O:歩行自立度
というように要約できます。
論文は何ページもわたって作成されていますが、原則的にはこの4行に要約できます。
自分の解決したい問題をPICOとPECOにする
PICOやPECOは自分(セラピスト)の解決したい問題を要約することもできます。
例えば、回復期のセラピストで、「入院されてきた脳卒中患者さんのバランス向上のためにどのようなリハビリがいいか?」と考えることがあるでしょう。
その場合、
P:回復期脳卒中患者
I:(なし)
C:何もしない
O:バランス能力の向上
と要約することができます。
Iが(なし)になっているのは、自分が知りたい情報だからです。
こちらについて後述します。
あるいは、「バランス向上のために筋トレよりも有効なリハビリはあるだろうか?」と考えることもあると思います。
その場合は、
P:回復期脳卒中患者
I:(なし)
C:筋トレ
O:バランス能力の向上
と要約することができます。
自分が臨床で感じる疑問をPICOやPECOに直しておくことで、何が知りたいのかはっきりしますし、後の情報検索に役立ってきます。
PICOとPECOは臨床の疑問を解決する上で有用
EBPの5ステップ
EBPの5ステップというものがあります。
5ステップとは、
- 患者の臨床問題や疑問点の抽出と定式化(PICOの設定)
- PICOに基づいた患者の臨床問題や疑問点に関する情報の検索
- 得られた情報の批判的吟味
- 得られた情報の患者への適用の検討
- 適用結果の評価
です。
この中で、PICOやPECOの知識はステップ1と2で役に立ちます。
情報の検索プロセス
まず、自分の知りたいことをPICOやPECOに直します。
例えば、上述の例です。
P:回復期脳卒中患者
I:(なし)
C:何もしない
O:バランス能力の向上
Iが(なし)になっているのは、自分が知りたい情報だからです。
例えばここに「バランス練習」を入れてしまうと、情報を検索するときにバランス練習以外のリハビリ情報が得られなくなってしまいます。
バランスの向上には歩行練習も有効であることが知られていますし、サーキットトレーニングなども有効です。
従って、「どういうリハビリが良いか?」を調べるときは基本的には空欄にしておいた方がいいでしょう。
続いて、PubMedやJ-stageなどのデータベースで論文を検索します。
検索結果が得られますが、何百件、何千件という数の論文がヒットすると思います。
その中から自分の欲しい情報が書いてある論文なのかどうかを判断する必要がありますが、全ての論文を全文読んでいたらとても時間が足りません。
ですので、論文の要旨を読んで、PICOやPECOに要約し、自分が知りたいことのPICOやPECOに合致している論文を選びます。
これができると、膨大に出てくる検索結果の中から、読むべき論文を素早く選べるようになります。
臨床家こそPICOやPECOの理解を
PICOやPECOを知っておくと、自分が求めている情報にたどり着くまでの時間が短くなります。
一見、研究用語のように思えますが、臨床で働いているセラピストがこのことを知っておくと、患者さんにとってより良いリハビリを選択できるようになることにつながります。
ぜひ、情報を検索するときに使ってみてください!