集団リハビリといえば、デイサービスで行われているイメージが強いのではないかと思います。

理学療法士が一人で、利用者の方が複数名で実施する集団体操です。

病院では個別リハビリを行うので集団リハビリには馴染みがないかもしれません。

ただ、もし集団リハビリが個別リハビリと同じような効果を期待できるのであれば、集団リハビリの方が効率的と言えるかもしれません。

本記事では、集団リハビリの有効性について紹介します。

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English C (2017) のコクランレビューの概要

まず研究のリサーチクエスチョンは「脳卒中患者さんに対するGroup circuit class therapyは何もしない場合や他のリハビリをする場合などと比べて、歩行能力を改善させるか」でした。

Group circuit class therapyというのが集団リハビリになるのですが、主要な構成要素として2つ挙げられています。

①理学療法がグループで提供されること(セラピストごとに3人以上の参加者)
②参加者の機能が向上するにつれて継続的に進行する機能的タスクとエクササイズの反復練習に焦点が当てられていること

この要素を含んだリハビリがGroup circuit class therapyとして想定されています。

2017年1月までに出版されたランダム化比較試験を対象にし、複数のデータベースを利用してエビデンスを集取しました。

結果として17件の研究が取り込まれました。

メタアナリシスの結果について紹介します。

集団リハビリは歩行能力を向上させるという結果に

結果として、「脳卒中患者さんに対するGroup circuit class therapyは何もしない場合や他のリハビリをする場合などと比べて、歩行能力を向上させる」という結果になりました。

歩行能力なのですが、幅広いアウトカム指標で向上が報告されています。

①6分間歩行試験
②歩行速度
③Timed up and go test
④Functional Ambulation Categories
⑤Activities-specific Balance Confidence Scale

歩行距離、歩行速度、バランス、自立度、歩行の自己効力感という幅広いアウトカムに良好な結果であると報告されました。

集団リハビリもちゃんとやれば効果がありそう

個別リハビリであれば患者さんがよくなるイメージが湧くと思うのですが、集団リハビリでは改善するイメージが湧かない、という方は多いのではないでしょうか。

ただ単に集団リハビリをやるだけでは意味がないかもしれませんが、Group circuit class therapyの2つ目の要素として、「参加者の機能が向上するにつれて継続的に進行する機能的タスクとエクササイズの反復練習に焦点が当てられていること」があります。

対象者の状況に合わせて課題の難易度調整をすることで、集団リハビリであっても効果が期待できそうです。

なかなか病院で集団リハビリをする機会はないと思いますし、昨今の情勢ではデイサービスでも集団リハビリは中止になっているかもしれません。

デイサービスの集団リハビリが再開されることになったら、Group circuit class therapyの導入を検討してみてはいかがでしょうか!

参考文献

English C, Hillier SL, Lynch EA. Circuit class therapy for improving mobility after stroke. Cochrane Database Syst Rev. 2017 Jun 2;6:CD007513.