脳卒中後の肩の亜脱臼に対し、電気刺激が有効であるというエビデンスが存在します(Lee JH, 2017)。

前回の記事では、亜脱臼に対して電気刺激を行う場合、どの筋をターゲットにすべきかについて紹介しました。

https://brain-lab.net/2021/07/27/1-95

ターゲット筋を間違ってしまうとそもそも効果が全く期待できないので、ターゲット筋の選定は大事です。

ただ、電気刺激はいくつも種類があり、またパラメータ設定、そして時間・頻度・期間の設定によっても効果が変わってきます。

つまり、ターゲット筋を正しく選定できていても、電気刺激のパラメータを間違ってしまうことで効果が得られない、というパターンもあります。

ですので、これらの条件を揃えていくことが電気刺激を使うリハビリでは大事になります。

でも、電気刺激のパラメータ設定をどうすればいいのか悩みますよね。

この問題を解決するために一番簡単な方法は、効果があったと報告された研究のプロトコルをなぞることです。

患者さんに対して効果的だった、という自分や同僚の経験に基づいてパラメータを決めるより、検証するためのデザインがしっかり組まれた研究を通して効果があったと報告したパラメータにした方が、患者さんが良くなる可能性は高いです。

そこで、今回は、Manigandan JB (2014) のランダム化比較試験で行われた電気刺激のプログラムを紹介します。

電気刺激のパラメータ設定、時間・頻度・期間設定に困っているセラピストの皆さんや、肩の亜脱臼で困っている脳卒中当事者の役に立つ情報になれば嬉しいです。

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脳卒中後の肩の亜脱臼に対するEMSのリハビリプログラム

Manigandan JB (2014) のランダム化比較試験で行われた電気刺激のプログラムです。

電気刺激の種類

神経筋電気刺激

神経筋電気刺激(Neuro Muscular Electrical Stimulation:NMES)
周波数は概ね20〜50Hz、パルス幅0.1〜0.4msとし、筋肉の収縮と弛緩を繰り返させるタイプの電気です。文献によって神経筋電気刺激、機能的電気刺激(Functional Electrical Stimulation:FES)、電気的筋刺激(Electric Muscular Stimulation:EMS)など様々な名称が用いられますが、いずれも周波数やパルス幅はほとんど同じなので、同じものと捉えて差し支えありません。

電極の装着部位

棘上筋+三角筋後部+上腕二頭筋長頭

電気刺激を行うときの対象者の姿勢

背もたれのある座った状態で、肩と肘をそれぞれわずかに外転、屈曲させた位置に保持(クッションの上に上肢を置く)

電気刺激のパラメータのおさらい

周波数

30Hz

周波数
刺激中に1秒あたりに生成されるパルスを指し、Hzで表されます。例えば40Hzは1秒間に40回のパルスが生成されることを指します。

パルス幅

0.3ms

パルス幅
1パルスあたりの電気刺激を与え続ける時間のことです。パルス幅が長いほど、電気の強度は高くなります。

刺激強度

筋収縮が目視できる強さ

刺激強度
1回あたりのパルスの強さです。刺激強度が強いほど、電気刺激の強度が高くなります。

オン/オフ時間

15秒/15秒

オン/オフ時間
オン時間とは、電気刺激が与えられている時間のことを、オフ時間とは電気刺激が与えられていない時間のことです。神経筋電気刺激では筋肉を収縮させます。筋肉を収縮させ続けると筋疲労を起こしてしまうので、休む時間が必要です。そのため、オン時間だけでなく、オフ時間が必要になります。

ランプアップ/ランプダウン時間

3秒/3秒

ランプアップ/ランプダウン時間
ランプアップ時間は、刺激がオンになってから実際に目的の周波数が始まるまでの期間を指します。痙縮が強い筋の拮抗筋に電気刺激を与えるとき、急激な刺激を与えると伸長反射を誘発することがあるので、ゆっくり刺激するために必要です。また、ランプダウン時間は、オン時間を終えてオフに切り替わるまでの期間を指します。ランプラン時間が長いほど、電気がゆっくり消えていくように感じます。

リハビリ時間

1週目は30分、2週目と3週目は45分、4週目と5週目は60分

頻度と期間

週5回、5週間

その他

従来のリハビリとして理学療法と作業療法を実施しています。

Manigandan JB (2014)の研究では、上記のプログラムを実施し、亜脱臼の距離が平均12.61 (5.62) から 6.06 (4.07) mmへ改善したことを報告しています。

電気刺激はパラメータ設定が鍵を握る

まとめます。

● 脳卒中後の肩の亜脱臼に対し電気刺激は有効であるというエビデンスがある
● 肩の亜脱臼に対して神経筋電気刺激を使う場合、Manigandan JB (2014)のプログラムは参考になる

冒頭でお話ししたことの繰り返しになりますが、電気刺激はパラメータ設定や時間・頻度・期間のセッティングが大事です。

電気刺激を行う上では「強さ−時間曲線(Strength-duration curve: SD曲線)」がとても大事なのですが、オリジナルのパラメータで刺激をするよりは、まず効果があったと報告されたパラメータを再現した方がいいです。

そういう意味で、ランダム化比較試験というのはとても有益な情報を提供してくれます。

皆様の役に立つ情報になれば嬉しいです。

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参考文献

Lee JH, Baker LL, Johnson RE, Tilson JK. Effectiveness of neuromuscular electrical stimulation for management of shoulder subluxation post-stroke: a systematic review with meta-analysis. Clin Rehabil. 2017 Nov;31(11):1431-1444.

Manigandan JB, Ganesh GS, Pattnaik M, Mohanty P. Effect of electrical stimulation to long head of biceps in reducing gleno humeral subluxation after stroke. NeuroRehabilitation. 2014;34(2):245-52.