
脳出血とは、脳の血管が破れて脳の内部に血液が漏れ出すことで、脳の細胞が傷つく病気です。
ご家族が突然倒れて「脳出血と言われた」と聞くと、頭が真っ白になり、何を信じて、何を質問すればいいのかわからなくなる方が多いと思います。
「脳梗塞と何が違うのか」「どんな後遺症が残るのか」「リハビリでどこまで戻るのか」「再発しないためには何をすべきか」――この記事では、当事者とご家族が知りたい情報を1ページにまとめて解説します。
脳卒中専門リハビリ施設BRAINの代表で理学療法士の針谷が、臨床経験と研究論文に基づいて解説します。
・医学的情報は、米国心臓協会・米国脳卒中協会の2022年診療指針および査読付き国際誌の研究論文(記事末尾の参考文献を参照)を基に作成しています。
・診断・治療方針は必ず主治医にご確認ください。本記事は医学的助言を代替するものではありません。
1つでも当てはまれば、すぐに救急車を呼んでください(Time is brain)。
突然の激しい頭痛・嘔吐・意識障害は、脳出血やくも膜下出血のサインです。様子を見ずに119番してください。
脳出血とは?基本を解説
脳出血とは、脳の中を走る細い血管が破れて、脳の組織のなかに血液(血腫)がたまる病気です。
正式には「脳内出血」(intracerebral hemorrhage:ICH)と呼ばれます。
脳卒中全体のなかで、脳出血はおよそ15〜20%を占め、もっとも多い脳梗塞に次いで2番目に多いタイプです。
脳出血で起きていること
脳の血管が破れると、2つの問題が同時に起きます。
- ①血液が漏れたぶんだけ、その先の脳細胞に酸素と栄養が届かなくなる
- ②たまった血液(血腫)が周りの脳を押しつぶし、新たな脳のダメージが広がる
つまり脳出血は、「破れた瞬間のダメージ」だけでなく「血腫が広がるダメージ」も問題になる病気です。
このため、発症してから数時間以内に血圧を下げ、血腫がそれ以上大きくなるのを抑えることが重要になります。
「くも膜下出血」とは違うの?
同じ「出血する脳卒中」でも、脳出血と「くも膜下出血」は別の病気です。
くも膜下出血:脳の表面の太い動脈にできた「動脈瘤(こぶ)」が破れる。突然の激しい頭痛が典型症状。
本記事では「脳出血(脳内出血)」を中心に解説します。
脳出血と脳梗塞の決定的な違い
脳出血と脳梗塞は、どちらも「脳卒中」というグループに入る病気ですが、起きていることはまったく逆です。
脳梗塞は血管が詰まる病気、脳出血は血管が破れる病気です。
5つの観点で比較
脳出血:血管が破れて出血/脳梗塞:血管が詰まって血流停止
②症状の出方
脳出血:急激に進行。数十分〜数時間で症状が悪化することが多い/脳梗塞:数時間〜半日かけて悪化、または起床時に発覚
③典型的な随伴症状
脳出血:頭痛・嘔吐・意識障害が出やすい/脳梗塞:頭痛は比較的少ない
④画像(CT)所見
脳出血:発症直後から白く映る/脳梗塞:発症直後はCTで見えにくく、数時間後に黒く映る
⑤急性期治療
脳出血:血圧を下げる・必要なら手術/脳梗塞:詰まった血栓を溶かす(t-PA)・取り除く(血栓回収療法)
救急で運ばれた病院で最初にCTを撮るのは、「出血か梗塞かで治療が180度違う」からです。
たとえば、脳梗塞で使う「t-PA(血栓溶解薬)」を脳出血の方に投与してしまうと、出血をさらに広げてしまいます。
このため、診断確定までt-PAは投与されません。
予後(その後の経過)の違い
一般に、脳出血の方が脳梗塞より急性期の死亡率が高い傾向があります。
一方で、急性期を乗り越えた後の機能回復は、脳出血の方がむしろ良いことが報告されています。
脳梗塞は脳細胞が完全に死んでしまう(壊死する)のに対し、脳出血は血腫が脳を圧迫してダメージを与えるため、血腫が吸収されると周囲の脳が機能を取り戻すケースが少なくありません。
一方、脳梗塞のなかでも「アテローム血栓性」のタイプは血管そのものが傷んでいるため、リハビリの傍ら再発予防の薬物治療を続けることが非常に重要です。
「同じ脳卒中」とひとくくりにせず、ご自身がどちらのタイプかを正確に把握することが、その後の生活設計の出発点になります。
退院後の生活全般を整える方法は退院後の脳卒中リハビリ完全ガイドで詳しく解説しています。
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脳出血の原因|高血圧が最大のリスク
脳出血の最大の原因は、長年の高血圧です。
米国心臓協会と米国脳卒中協会が2022年に発表した脳出血の診療指針では、高血圧が脳出血の最も重要な修正可能なリスク要因と位置づけられています(Greenberg, 2022)。
なぜ高血圧で血管が破れるのか
長年血圧が高い状態が続くと、脳の細い動脈の壁が徐々に傷み、もろくなります。
そこに何かのきっかけ(強いいきみ・急な気温差・運動など)で一気に血圧が上がると、もろくなった血管が「風船のように」破裂します。
この「血管がもろくなる変化」は、自覚症状なくゆっくり進むため、「健康診断で血圧が高いと言われていたのに放置していた」というケースが圧倒的に多いのが現実です。
高血圧以外のリスク要因
- 加齢:年齢とともに血管がもろくなる
- 大量飲酒・喫煙:血圧上昇と血管障害を助長する
- 抗血栓薬(ワーファリン・DOACなど):脳梗塞の再発予防で飲んでいる薬が、脳出血リスクをわずかに上げる
- 脳アミロイドアンギオパチー(CAA):高齢者の脳の表面側に出血を起こす血管病変
- 脳動静脈奇形(AVM)・海綿状血管腫:先天的な血管異常。比較的若い方の脳出血の原因になる
- もやもや病:日本人に多い、脳の血管が細くなる病気
65歳未満で脳出血を起こした方は、AVMやもやもや病など「高血圧以外の原因」が隠れていないかを、脳血管撮影(カテーテル検査)で精査することがあります。
脳出血の発症部位による症状の違い
脳出血は、脳のどこで起きたかによって出る症状が大きく異なります。
同じ「脳出血」でも、被殻と小脳ではまったく違う症状が出るため、診断書や説明で混乱しないよう、代表的な部位ごとに整理しておきます。
① 被殻出血(ひかくしゅっけつ):もっとも多い
脳出血のうち、もっとも頻度が高いのが被殻出血で、全体の約40〜50%を占めます。
被殻のすぐ隣には、手足の運動を司る「内包」という重要な神経の通り道があります。
このため被殻出血では、反対側の半身の運動麻痺・感覚障害が中心的な症状になります。
- 反対側の手足が動かない・力が入らない
- 反対側の感覚が鈍い・しびれる
- 言葉が出にくい(左被殻出血では失語症が出やすい)
- 顔の半分が下がる
② 視床出血(ししょうしゅっけつ)
視床出血は脳出血全体の約20〜25%を占めます。
視床は感覚情報を中継する場所のため、反対側の半身の強いしびれ・感覚障害が出やすいのが特徴です。
「視床痛」と呼ばれる慢性的な痛み・違和感が後遺症として残ることがあり、リハビリでは触覚刺激への慣れや薬物治療を組み合わせて対応します。
③ 小脳出血(しょうのうしゅっけつ)
小脳出血は脳出血全体の約10%を占めます。
小脳は運動の調整と平衡感覚を司るため、症状の中心は「動かないこと」ではなく「動きがコントロールできないこと」です。
- めまい・嘔吐
- 立てない・歩くとふらつく(運動失調)
- 呂律(ろれつ)が回りにくい
- 手で物をつかむ動作がぎこちない
小脳は脳幹のすぐ隣にあり、血腫が大きいと脳幹を圧迫して命に関わるため、緊急手術になることがあります。
④ 橋出血(きょうしゅっけつ):もっとも重症化しやすい
橋は脳幹の一部で、呼吸・意識・運動・感覚の神経が密集しています。
このため橋出血は、意識障害・呼吸障害・両側の手足の麻痺と、もっとも重症化しやすいタイプです。
急性期を乗り越えても重度の後遺症が残りやすく、リハビリは長期戦になります。
⑤ 皮質下出血(ひしつかしゅっけつ)
皮質下出血は、大脳の表面近くで起きるタイプの脳出血です。
高齢者の皮質下出血は、脳アミロイドアンギオパチー(CAA)が原因のことが多く、再発しやすい点に注意が必要です。
症状は出血した部位によって異なり、視野の半分が欠ける(半盲)、文字が読めない・書けない、片側を無視するなどの高次脳機能障害が出ることがあります。
被殻出血の方は手足の運動麻痺が中心のため、装具と杖の調整→歩行スピード→手の使い方、という順でリハビリ目標を立てます。
視床出血の方は感覚障害やしびれが動作の質に影響するため、運動の再学習だけでなく「自分の体の感覚に慣れる」ためのアプローチを並行して行います。
「どこの脳出血だったか」を主治医のCTやMRI画像で確認しておくと、リハビリの優先順位が見えやすくなります。
脳出血の治療|手術と保存療法
脳出血の急性期治療は、「保存療法(手術せずに薬で管理する)」と「手術」の2本柱です。
どちらを選ぶかは、血腫の大きさ・部位・意識レベルなどで判断されます。
保存療法:血圧管理と全身管理
多くの脳出血は手術ではなく、集中治療室での血圧管理・脳のむくみ対策・全身管理で経過を見ます。
急性期に最も重要なのは血圧管理です。
2013年に発表された大規模な国際研究では、発症6時間以内の脳出血の方に対し、収縮期血圧を140mmHg未満に厳格に下げる治療が試されました(Anderson, 2013)。
この研究では3か月後の重度の後遺症や死亡を主要評価項目としており、厳格な降圧群と標準治療群で主要評価項目には有意差が出ませんでしたが、副次解析で機能予後の改善傾向が示されました。
さらに2023年に発表された大規模な国際研究では、脳出血の急性期に「血圧管理+血糖・体温・抗凝固管理」をパッケージで実施する集中ケアバンドルにより、6か月後に介助が必要な状態になる方が減少することが示されました(Ma, 2023)。
つまり急性期の血圧コントロールは、その後の生活の自立度を左右する決定的に重要な治療です。
手術:血腫の除去
以下のような場合は、緊急手術で血腫を取り除くことがあります。
- 小脳出血で血腫が大きく、脳幹を圧迫している
- 被殻出血や皮質下出血で血腫が大きく、意識障害が進行している
- 水頭症(脳脊髄液の流れが障害される状態)を合併している
近年は、頭蓋骨に小さな穴を開けて内視鏡で血腫を吸い出す「内視鏡下血腫除去術」が普及してきており、患者さんの体への負担が小さくなっています。
ただし、視床出血・橋出血など脳の深い場所の血腫は、手術しても予後が改善しにくいため、原則として保存療法で経過を見ます。
脳出血の後遺症
脳出血の後遺症は、出血した部位・血腫の大きさ・治療開始までの時間で大きく変わります。
① 運動麻痺(片麻痺)
もっとも頻度が高いのは、反対側の手足が動かしにくくなる片麻痺です。
軽い場合は「手の細かい動作がやりにくい」程度ですが、重度の場合は装具と杖を使っても歩けない・手をまったく動かせない状態になります。
歩行に関しては、麻痺の影響で膝が伸びたまま足を外側に振り回して歩く「ぶん回し歩行」になる方が多く、リハビリの大きなテーマになります(詳しくはぶん回し歩行の記事をご覧ください)。
② 感覚障害・しびれ
視床出血や被殻出血では、反対側の半身のしびれ・冷感・違和感が残ることがあります。
麻痺は改善しても、しびれだけが長く残る方も少なくありません。
③ 高次脳機能障害
大脳の皮質や、その内側の白質が傷つくと、記憶障害・注意障害・遂行機能障害・社会的行動障害などが出ます。
外見からはわかりにくく、ご家族から「人が変わった」「忘れっぽくなった」と気づかれることが多いタイプの後遺症です。
④ 失語症・構音障害
左脳の出血では失語症(言葉を話せない・理解できない)、橋出血では構音障害(ろれつが回らない)が出やすいです。
⑤ 嚥下障害・てんかん・うつ・疲労
飲み込みの障害(嚥下障害)、後遺症てんかん、脳卒中後うつ、強い疲労感(脳卒中後疲労)も、脳出血の後に少なからず起きる症状です。
特に疲労は外から見えにくく見過ごされがちですが、退院後の生活の質に大きく影響します(詳しくは脳卒中の疲労の記事をご覧ください)。
脳出血のリハビリの進め方
脳出血のリハビリは、入院から退院後まで3つの時期に分かれます。
① 急性期(発症〜2週間程度)
急性期病院で全身管理を受けながら、関節が固まらないよう動かす・ベッドの上で姿勢を整える・座る・立つといった基本動作からリハビリが始まります。
「まだ寝たままで早いのでは?」と思う方もいますが、早期から離床・座位訓練を開始した方が、肺炎・床ずれ・関節拘縮を防げることがわかっています。
② 回復期(2週間〜6か月)
急性期病院で全身状態が安定したら、回復期リハビリテーション病棟に転院します。
ここでは1日2〜3時間のリハビリを、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のチームで進めます。
脳出血の場合、2003年に発表された研究で、発症から6か月までの間に手の動きの回復が大きく進むことが報告されています(Kwakkel, 2003)。
このため、回復期の半年間が機能回復の「ゴールデンタイム」と考え、可能な範囲で集中的にリハビリに取り組むことが推奨されます。
③ 生活期(退院後〜長期)
退院後は、介護保険のデイケア・訪問リハビリ・外来リハビリ・自費リハビリなどを組み合わせて、生活のなかでリハビリを続けます。
生活期は「機能をできるだけ落とさない」「できる動作を増やす」「再発を防ぐ」の3つが目標です。
BRAINでは、発症から1年・2年・3年経過した方でも、歩行スピード・手の使い方・しびれの自覚が改善するケースを多く経験しています。
特に脳出血は脳梗塞より「血腫が引いた後の機能回復」の余地が残りやすいため、慢性期でも諦めずに継続したリハビリ刺激を入れることに価値があります。
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予後と再発予防(血圧管理が決定的)
脳出血の予後は、出血部位・血腫の大きさ・年齢・意識レベルなどで予測されます。
日本人の脳出血予後を予測するスコア
2025年に発表された日本人の脳出血の方を対象とした研究では、入院時の年齢・意識レベル・血腫量・血腫部位などの情報から、3か月後にどれくらい自立できるかを予測する「FSR ICHスコア」が提案されました(Kiyohara, 2025)。
この研究では、入院時の意識障害が軽く、血腫量が少ない方ほど、3か月後に自立して生活できる確率が高いことが示されています。
欧米のデータをそのまま日本人に当てはめるのではなく、日本人の臨床データに基づいた予後予測ができるようになった点が、当事者・家族にとって大きな意味を持ちます。
再発予防は血圧管理が決定的
脳出血を一度経験した方の再発リスクは、健康な方より高くなります。
再発を防ぐためにもっとも重要なのは、退院後の血圧管理です。
米国心臓協会と米国脳卒中協会が2022年に発表した脳出血の診療指針では、脳出血後の血圧目標として収縮期130mmHg未満・拡張期80mmHg未満を維持することが推奨されています(Greenberg, 2022)。
家庭で血圧を測る習慣をつくる
外来で月1回測るだけでは、「家での本当の血圧」はわかりません。
家庭血圧計を購入し、朝起きてトイレを済ませた後・夜寝る前の1日2回測って記録することを強くおすすめします。
- 毎日同じ時間・同じ腕で測る
- 5分以上座って落ち着いてから測る
- 朝晩の記録を主治医に見せる
食事面では減塩(1日6g未満)、生活面では禁煙・節酒・適度な運動も再発予防に重要です(詳細は脳卒中の再発予防の記事をご覧ください)。
BRAINからの臨床コメント
BRAINは脳卒中専門の保険外リハビリ施設として、脳出血の方を多くお受けしています。
現場で感じる「脳出血の方が抱えやすい3つの課題」をお伝えします。
課題1:血腫が引いた後の「機能の伸びしろ」を活かしきれていない
脳出血は、発症直後の血腫の圧迫で症状が大きく見えるため、「これだけ動かないなら一生このまま」と早期に諦めてしまうケースがあります。
しかし血腫が吸収されると、周りの脳が少しずつ機能を取り戻すケースは少なくありません。
「最初の重症度」と「半年後の機能」は同じではないことを、ぜひ知っておいてください。
課題2:血圧管理がリハビリのモチベーションと結びついていない
「再発したらリハビリの努力が全部リセットされる」というのは、現場で何度も目にする現実です。
家庭血圧の記録・服薬・減塩は、地味で続けにくいですが、「これまで積み上げてきた歩行スピードや手の使い方を守る」ための行動と捉えると続きやすくなります。
課題3:見えない後遺症(疲労・しびれ・高次脳機能障害)への対応が遅れがち
運動麻痺は外から見えるためリハビリの対象になりやすい一方、疲労・しびれ・高次脳機能障害は外見からわからず、本人だけが困っていることがよくあります。
「歩けるようになったのに復職がつらい」「人と話していると疲れる」「読書が続かない」――こうしたサインは、見えない後遺症のシグナルかもしれません。
遠慮せず、外来主治医・リハビリ担当者・ご家族に共有することを強くおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q1. 脳出血と脳梗塞は、どちらが治りやすいですか?
一般に、急性期の死亡率は脳出血の方が高い傾向があります。
一方、急性期を乗り越えた後の機能回復は、脳出血の方がむしろ良いことが多いです。
これは、脳出血では血腫が吸収されると周囲の脳の機能が戻りやすい一方、脳梗塞では脳細胞そのものが死んでしまうためです。
Q2. CTで脳出血と脳梗塞は、すぐに区別できますか?
はい、CTは脳出血の診断にきわめて優れています。
脳出血は発症直後からCTで白く映るのに対し、脳梗塞は発症直後はCTで見えにくく、数時間〜半日経ってから黒く映ります。
救急で運ばれた病院で最初にCTを撮るのは、まず脳出血かどうかを確認するためです。
Q3. 脳出血は手術が必要ですか?
多くの脳出血は手術ではなく、集中治療室での血圧管理・全身管理(保存療法)で経過を見ます。
ただし、小脳出血で脳幹を圧迫している場合や、被殻・皮質下出血で血腫が大きく意識障害が進行している場合は、緊急手術になることがあります。
視床・橋など脳の深い部位は、手術しても予後が改善しにくいため、原則保存療法です。
Q4. 退院後の血圧は、どれくらいを目標にすればいいですか?
米国心臓協会と米国脳卒中協会が2022年に発表した脳出血の診療指針では、収縮期130mmHg未満・拡張期80mmHg未満を維持することが推奨されています。
家庭血圧計で朝晩2回測り、主治医に記録を見せて服薬量を調整してもらうのが基本です。
Q5. 脳出血の再発率はどれくらいですか?
個別の数値は出血の原因・部位・年齢で大きく変わりますが、一度脳出血を起こした方は健康な方より再発リスクが高いことがわかっています。
特に脳アミロイドアンギオパチー(CAA)が原因の皮質下出血は再発しやすく、抗血栓薬の使用は慎重に判断されます。
再発予防の中心は血圧管理・禁煙・節酒・減塩・適度な運動です。
まとめ
- 脳出血とは、脳の血管が破れて脳の内部に血腫がたまる病気で、脳卒中全体の15〜20%を占めます。
- 脳梗塞は「血管が詰まる」、脳出血は「血管が破れる」病気で、急性期治療はまったく違います。
- 最大のリスク要因は長年の高血圧で、加齢・大量飲酒・喫煙・抗血栓薬・CAA・AVM・もやもや病なども関わります。
- 発症部位(被殻・視床・小脳・橋・皮質下)によって出やすい症状が異なります。
- 急性期は血圧管理+全身管理が中心で、血腫が大きい場合や小脳出血では手術になることがあります。
- 後遺症は片麻痺・感覚障害・高次脳機能障害・失語症・嚥下障害・疲労など多岐にわたります。
- リハビリは急性期→回復期→生活期の3段階で進み、回復期の半年は機能回復の重要な時期です。
- 退院後の血圧目標は収縮期130mmHg未満・拡張期80mmHg未満で、家庭血圧の記録が再発予防の鍵になります。
個別の診断・治療方針は必ず主治医にご相談ください。
本記事は医学的助言を代替するものではありません。
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参考文献
- Greenberg SM, Ziai WC, Cordonnier C, et al. 2022 Guideline for the Management of Patients With Spontaneous Intracerebral Hemorrhage: A Guideline From the American Heart Association/American Stroke Association. Stroke. 2022 Jul;53(7):e282-e361. PMID: 35579034
- Ma L, Hu X, Song L, et al. The third Intensive Care Bundle with Blood Pressure Reduction in Acute Cerebral Haemorrhage Trial (INTERACT3): an international, stepped wedge cluster randomised controlled trial. Lancet. 2023 Jul 1;402(10395):27-40. PMID: 37245517
- Anderson CS, Heeley E, Huang Y, et al. Rapid blood-pressure lowering in patients with acute intracerebral hemorrhage. N Engl J Med. 2013 Jun 20;368(25):2355-65. PMID: 23713578
- Kiyohara T, Matsuo R, Irie F, et al. Functional Outcome Prediction in Japanese Patients with Nonsurgical Intracerebral Hemorrhage: The FSR ICH Score. Cerebrovasc Dis. 2025;54(5):718-725. PMID: 39778543
- Kwakkel G, Kollen BJ, van der Grond J, et al. Probability of regaining dexterity in the flaccid upper limb: impact of severity of paresis and time since onset in acute stroke. Stroke. 2003 Sep;34(9):2181-6. PMID: 12907818
最終医療レビュー日:2026年5月15日

