
リハビリ中の痛みは、続けていいものと続けてはいけないものの境界線を知ることが何より大切で、脳卒中を経験した方のおよそ50%が慢性的な痛みを抱えることが報告されています(Wang, 2025)。
「ストレッチで肩がズキッとした」「歩く練習のあと足が痛い」「我慢して続けていいの?」――。
そんな疑問は、脳卒中のリハビリを続けるご本人とご家族から最も多く寄せられる質問のひとつです。
リハビリの痛みには、続けてよい「使った後の自然な痛み」と、すぐ止めるべき「組織を壊している痛み」があります。
この記事では、脳卒中後のリハビリの痛みについて、ガマンしてよい痛みと止めるべき痛みの判断基準、痛みの種類、対処法、セラピストへの伝え方を、脳卒中専門リハビリ施設BRAINの代表で理学療法士の針谷が、臨床経験と研究論文に基づいて解説します。
・本記事の情報は、信頼性の高い研究論文から得られたデータを中心に引用しています。
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・顔のゆがみ(片側が下がる)
・片腕の脱力(腕が上がらない)
・言葉のもつれ(ろれつが回らない)
また、リハビリ中・リハビリ後に以下のような痛みが新しく現れた場合は、リハビリをいったん中止して主治医に相談してください。
・安静にしていてもズキズキ・ジンジン痛む
・電気が走るような鋭い痛みやしびれが新しく出た
・関節を動かすたびにバキッ・ゴリッと音がして強い痛みが出る
・発熱・関節の赤み・腫れを伴う痛み
・夜間に痛みで眠れない/鎮痛薬を飲んでも軽くならない
・手や足の色が紫がかり、冷たい・むくむ・触っただけで激痛が走る
リハビリ 痛みは普通のこと?どのくらいの人が経験するのか
結論からお伝えすると、脳卒中のリハビリの過程で痛みを感じることは決して珍しくありません。
2025年に公開された脳卒中経験者を対象にした研究では、およそ50%の方が慢性的な痛みを抱えていると報告されています(Wang, 2025)。
痛みの中で最も多いのが「肩の痛み(片麻痺肩痛)」です。
2024年に公開された脳卒中入院患者を対象にした研究では、入院中に肩の痛みを訴えた方は約4割でした(Neto, 2024)。
2023年に公開された複数の研究をまとめた分析でも、片麻痺肩痛の頻度は研究によって幅がありますが、おおむね20〜40%の方に起こるとされています(Rahmatian, 2023)。
つまり、「リハビリで痛い」と感じるのは、あなただけの問題ではなく、多くの脳卒中の方が同じ悩みを抱えています。
大切なのは、その痛みを「ガマンすべきか/止めるべきか」を見極めることです。
ガマンしてよい痛みと止めるべき痛みの判断基準
リハビリ中の痛みは、大きく分けて2種類あります。
ひとつは「使った後に自然と出る痛み」、もうひとつは「組織を壊しているサインの痛み」です。
この2つは、対応がまったく違います。
続けてよい痛みの特徴
- 運動中・直後に感じるが、休めばすぐ落ち着く
- 翌朝までに痛みが治まっている、または前日より軽くなっている
- 動かしたときだけ痛み、安静にすると痛まない
- 痛む場所が「使った筋肉やその周辺」とつじつまが合う
- 痛みの強さが少しずつ和らいでいく感覚がある
これらは、筋肉や関節を使ったことによる自然な反応であり、リハビリを続けるなかで徐々に慣れていくタイプの痛みです。
止めるべき痛みの特徴
- 動かしたときに「ズキッ」「ピリッ」と鋭い痛みが走る
- 安静にしていてもズキズキ痛む
- 翌日も痛みが残り、日に日に強くなる
- 関節を動かしたときにバキッ・ゴリッと音がする
- 痛む場所が赤く腫れる・熱を持つ・色が変わる
- 夜間痛で眠れない
- しびれ・電気が走るような痛みが新しく出た
これらは、関節や筋肉、神経のどこかに「組織を壊している」サインが出ている可能性があります。
無理に続けると炎症が悪化し、リハビリそのものを中断せざるをえなくなることがあります。
「痛みの数字(NRS)」で自己チェックする
リハビリ現場では、痛みを0〜10の数字で表す「NRS(数字評価スケール)」がよく使われます。
0が「痛みなし」、10が「これまでで最悪の痛み」です。
| NRSの目安 | 痛みの感覚 | リハビリ判断 |
|---|---|---|
| 0〜2 | 違和感はあるが痛みとは呼べない | 継続OK |
| 3〜5 | 気になるが会話や日常動作はできる | 継続可。セラピストに伝えて強度調整 |
| 6〜7 | 表情がゆがむ・会話が途切れる | いったん中止し、内容を変更 |
| 8〜10 | じっとしていられない・冷や汗 | 即中止。医師に相談 |
あくまで目安ですが、NRSが5を超えたら一度立ち止まり、6以上が続くなら内容を変更すると覚えておくと判断しやすくなります。
整形外科の領域では、運動による痛みに対して「翌朝に痛みが残らない範囲」を許容するという考え方が古くから提案されています(Silbernagel, 2007)。これはアキレス腱の研究で示された考え方であり、脳卒中のリハビリにそのまま当てはまるわけではありませんが、「翌朝に痛みが軽くなっているか」は判断材料のひとつとして役立ちます。
脳卒中後に起こる痛みの4つのタイプ
脳卒中後に起こる痛みは、原因によって4つのタイプに分けられます。
それぞれで「リハビリで続けてよいか」「医療的な対応が必要か」が変わります。
① 肩の痛み(片麻痺肩痛)
脳卒中後の痛みの中で最も多いのが、まひ側の肩の痛みです。
原因は、肩の関節がズレる「亜脱臼」、肩の腱や関節包の炎症、痙縮(筋肉のこわばり)による不自然な姿勢などが組み合わさって起こります。
2025年に公開された研究では、片麻痺肩痛がある方は睡眠の質・気分・生活の質が大きく低下することが報告されています(Khatooni, 2025)。
肩の痛みは、放置すると「動かさない→さらに硬くなる→もっと痛い」という悪循環に入りやすい痛みです。
詳しくは脳梗塞・脳出血の肩の痛み|原因と治し方を理学療法士が解説と脳梗塞・脳出血による肩の亜脱臼で解説しています。
② 中枢性の痛み(中枢性脳卒中後疼痛)
中枢性脳卒中後疼痛は、脳そのもののダメージによって起こる神経性の痛みです。
「ジンジン」「ピリピリ」「焼けるような」「電気が走るような」と表現されることが多く、触れただけで激痛が走ることもあります。
2025年に公開された脳卒中経験者を対象にした研究では、中枢性脳卒中後疼痛のある方の約半数で生活の質が大きく低下していると報告されています(Sekeon, 2025)。
2026年に公開された複数の研究をまとめた分析でも、中枢性の痛みは抑うつや不眠と深く結びつくことが指摘されています(Jin, 2026)。
このタイプの痛みは、ストレッチや運動で直接消すことは難しく、神経の痛みに使う薬・神経刺激療法・心理的アプローチを組み合わせるのが基本です。
「動かさないようにすれば治る」という性質の痛みではないので、リハビリそのものを中止する必要はありませんが、痛みのコントロールは医師との連携が欠かせません。
③ 痙縮(筋肉のこわばり)による痛み
痙縮は、脳卒中によって筋肉が勝手に強く緊張してしまう状態です。
長く続くと、関節が動きにくくなり、無理に動かそうとすると鋭い痛みが出ることがあります。
2026年に公開された脳卒中後の痙縮を対象にした研究では、痙縮を早期に治療すると、その後の上肢の痛みを減らせる可能性が示されました(Lindsay, 2026)。
痙縮による痛みは、強く伸ばすほど悪化することがあり、ゆっくり長めに、痛みが出ない範囲のストレッチが基本です。
必要に応じてボツリヌス療法・服薬・装具などの併用が検討されます。痙縮の治療全般は脳卒中後の痙縮エビデンスまとめでも解説しています。
④ 運動・装具による筋骨格の痛み
歩く練習・立ち上がりの練習を再開すると、ふくらはぎ・もも・腰・足の裏に痛みが出ることがあります。
2026年に公開された脳卒中経験者を対象にした研究では、歩ける方の下肢痛は、麻痺だけでなく姿勢や装具との相性も大きく関係することが示されました(Baratta, 2026)。
これは、まひ側に体重をかけにくいことで反対側の足や腰に負担がかかるためです。
装具・杖の高さや角度の見直し、姿勢の修正、休憩のとり方で軽減できることが多いタイプの痛みです。
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痛みを我慢し続けてはいけない3つの理由
「弱音を吐きたくない」「セラピストに悪い気がする」と、痛みを我慢して続ける方がいらっしゃいます。
しかし、痛みを抱えたままリハビリを続けると、回復そのものが遅れることが報告されています。
理由① 動きそのものが小さくなる
痛みがあると、人は無意識にその関節を守ろうとして動きが小さくなります。
動きが小さい状態で練習を重ねても、本来取り戻したい大きな動きの神経回路は育ちにくく、回復が頭打ちになりやすいです。
理由② 神経が痛みに過敏になる
強い痛みを長期間ガマンしていると、脳と神経が「痛みを感じやすい状態」に書き換わってしまうことが知られています。
2026年に公開された片麻痺肩痛を対象にした研究では、痛みが慢性化している方では神経の感度(中枢性感作)が高まっていると報告されています(Pasin, 2026)。
つまり、痛みを我慢し続けると、普段なら痛くない刺激でも痛みとして感じやすい体になってしまうのです。
理由③ 気分・睡眠・意欲が落ちる
痛みは、気分・睡眠・意欲を直接むしばみます。
2026年に公開された複数の研究をまとめた分析では、脳卒中後の痛みと抑うつ・不眠は同じ脳の仕組みでつながっていると報告されています(Jin, 2026)。
2025年に公開された片麻痺肩痛のある方を対象にした研究でも、痛みのある方は痛みのない方に比べて睡眠の質・気分・生活の質が低下していることが報告されています(Khatooni, 2025)。
痛みのケアは「がまんしないこと」が回復への近道です。
「痛みが出にくいリハビリ」に変える4つのコツ
痛みが出やすい方でも、進め方の工夫で「続けられるリハビリ」に変えられます。
コツ① 「痛くない範囲」から始める
関節を動かす範囲・力の強さ・回数は、「痛みが出ない一歩手前」をスタート地点にするのが基本です。
そこから1〜2週ごとに少しずつ範囲や強度を広げていきます。
2024年に肩の腱の痛みを対象に公開された研究では、痛みのある範囲まで動かしても、痛みのない範囲だけで動かしても、半年後の改善には大きな差がなかったことが示されました(Cavaggion, 2024)。これは脳卒中ではなく整形外科領域の肩の研究ですが、「痛みを我慢して動かさないと治らない」という考えが必ずしも当てはまらないことを示しています。
コツ② 痛みが強いときは「課題」を変える
同じ動きを無理して続けるよりも、違う角度・違う姿勢・違う道具で同じ目的を達成できないか考えるのがコツです。
- 肩を上げる練習で痛い → 寝た姿勢で行う/タオルを使って補助する
- 立位の練習で腰が痛い → 椅子に手をつく/壁にもたれる
- 足首のストレッチで激痛 → 痛みの少ない座位ストレッチに変える
- 歩行練習でふくらはぎが痛い → 距離を短くする/装具を見直す
2025年に公開された研究では、課題を工夫した運動療法(拘束誘導運動療法)が肩の痛みを軽減し、機能を改善したことが報告されています(Sefastsson, 2025)。
コツ③ ストレッチは「ゆっくり長め」が基本
痙縮(筋肉のこわばり)がある方は、勢いをつけて引っ張ると、かえって筋肉が反射的に縮んで痛みを引き起こします。
合言葉は「20〜30秒・痛気持ちいい手前で止める」です。
呼吸を止めずに行うこと、伸ばす方向に体重をかけすぎないことも大切です。
コツ④ 痛い肩には「亜脱臼を防ぐ工夫」を組み合わせる
肩の痛みが強い方は、肩の関節がズレた状態(亜脱臼)になっている場合があります。
2025年に公開された研究では、電気刺激療法・サポート(腕の支持具)・運動療法など複数の介入が、肩の亜脱臼の改善に役立つと報告されています(Park, 2025)。
座っているときに腕を膝の上に置く、立つときにアームスリングを使う、寝るときに腕を支えるクッションを置くなど、「重力で肩が下に引っ張られないようにする」工夫を日常に取り入れます。
セラピストへの痛みの伝え方|3つのポイント
痛みは目に見えません。
セラピストが正しく対応するためには、本人が言葉で伝えてくれることが何よりの情報源になります。
ポイント① いつ・どこが・どんな痛みかを伝える
- いつ:動かしたとき/じっとしているとき/朝起きたとき/夜寝るとき
- どこ:肩の前/肩の後ろ/二の腕/手のひら/ふくらはぎ/腰
- どんな:ズキッ/ジンジン/ピリピリ/ズーン/焼ける感じ/電気が走る感じ
痛みの「種類」がわかると、神経の痛みか・筋肉の痛みか・関節の痛みかが見分けやすくなります。
ポイント② 数字(NRS)で表す
「ちょっと痛い」「けっこう痛い」は人によって基準が違います。
「10点満点で今は何点くらいですか?」と聞かれたら、迷わず答えてみてください。
数字にすることで、前回との比較・治療効果の判定・記録の精度が一気に上がります。
ポイント③ 「言いにくい」と思ったらメモで渡す
口頭で伝えるのが難しい方は、事前にメモを書いて手渡すのも有効です。
- 今日の痛みの場所(人体図に○で印)
- NRSの数字(前回・今日)
- どんなときに痛むか(動作・時間帯)
- 気になっている動作(やってみたい動作)
「失礼かな」と思う必要はありません。
セラピストにとって、痛みの情報は最も価値の高い情報のひとつです。
薬・装具・物理療法など医療的な選択肢
運動療法だけで痛みが取りきれないときは、薬・装具・物理療法など医療的な手段を組み合わせるのが基本です。
痛みの種類に合わせた選択肢
| 痛みの種類 | 主な医療的選択肢 |
|---|---|
| 関節・筋肉の痛み | 湿布・痛み止め内服薬・関節内注射・物理療法(温熱・電気・超音波) |
| 痙縮による痛み | ボツリヌス療法・抗痙縮薬(内服)・装具・電気刺激療法 |
| 中枢性の神経痛 | 神経痛用の内服薬・神経刺激療法(経頭蓋磁気刺激など)・心理的アプローチ |
| 肩の亜脱臼に伴う痛み | アームスリング・電気刺激療法・運動療法・テーピング |
| 肩手症候群(CRPS) | 理学療法(温度刺激・運動)・痛み止め・ステロイド注射・専門外来の受診 |
2026年に公開された脳卒中後の手の痛み(肩手症候群)への研究をまとめた分析では、理学療法による運動と物理療法の組み合わせが症状改善に役立つと報告されています(Tian, 2026)。
2026年に公開された痙縮を対象にした研究では、ボツリヌス療法を早めに導入することで、その後の上肢の痛みを防げる可能性が示されました(Lindsay, 2026)。
「痛みは運動だけで治す」ではなく、「医療・装具・運動を組み合わせて減らす」のが、最も実用的なアプローチです。
自宅でできる痛みのセルフケア
リハビリの時間以外でできる、痛みを和らげる工夫もあります。
温める/冷やすの使い分け
- 温める:慢性的なこわばり・筋肉の痛み・冷えで悪化する痛みに向く
- 冷やす:運動直後の腫れ・熱感・ズキズキする急な痛みに向く
- 使い分けに迷う場合:「気持ちいい方」を選ぶ
姿勢・ポジショニングを整える
- イスに座るときは、まひ側の腕をクッションに乗せる
- 寝るときは、まひ側の肩の下にタオルを敷いて沈み込みを防ぐ
- 歩くときに腕がブラブラする方はアームスリングを使う
- 長時間同じ姿勢を避け、1〜2時間に1回は姿勢を変える
睡眠・気分を整える
痛みと睡眠・気分は、お互いに影響し合います。
- 就寝前1時間は強い光・スマホ画面を避ける
- 日中に短時間でよいので外の光を浴びる
- 「痛い」「眠れない」が2週間以上続いたら主治医に伝える
- 不安・気分の落ち込みも合わせて伝える(痛みと一緒に治療する場合があるため)
脳卒中後の疲労感への対処法は脳卒中の疲労|疲れやすさの原因と対処法でも詳しく解説しています。
受診・相談の目安
以下のような場合は、リハビリをいったん止めて、かかりつけ医や主治医に相談することをおすすめします。
- 安静にしていても痛みが続き、2週間以上良くならない
- 夜間痛で眠れず、鎮痛薬を飲んでも軽くならない
- 手や足が腫れ、赤み・熱感・色の変化が出てきた
- 触れただけでも飛び上がるほどの激痛が起こる
- 新しいしびれや脱力が出てきた
- 転倒のあと、急に痛みが出て動かしにくくなった
相談先としては、次のような窓口があります。
- 脳神経内科・かかりつけ医:神経痛・痺れ・新しい症状の評価
- 整形外科:関節・腱・筋肉の痛みの画像評価
- ペインクリニック:慢性の痛みの専門外来。神経ブロック等の治療
- リハビリテーション科:理学療法士・作業療法士による評価と治療
退院後の生活全体の整え方は退院後の脳卒中リハビリ完全ガイドでも解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 痛いと言うとリハビリの内容を減らされそうで怖いです
「言うと甘く見られる」「やる気がないと思われる」と心配する方がよくいらっしゃいます。
しかし、痛みを伝えても、リハビリ自体を「中止」にされることはほとんどありません。
セラピストが行うのは、「同じ目的を、痛みが出にくい別の方法に変える」ことです。
むしろ、痛みを我慢して続けた結果として、組織を壊して長く休まざるをえなくなるほうがリハビリ全体の遅れにつながります。
Q. 鎮痛薬を飲みながらリハビリしてもいいですか?
主治医から処方された痛み止めは、使ったほうがリハビリの質が上がる場合があります。
痛みのせいで動かせない・睡眠が取れない状態でリハビリを続けるよりも、薬で痛みを抑えてしっかり動かせるほうが回復に有利です。
市販薬を自己判断で飲み続けている場合は、種類と量を主治医に伝えてください。
Q. ストレッチで痛みが出ます。やめたほうがよいですか?
「痛気持ちいい手前」で止めるのが基本です。
勢いをつけて引っ張る・反動を使うストレッチは、痙縮のある方では筋肉が反射的に縮んでかえって痛みを引き起こします。
ゆっくり20〜30秒・呼吸を止めず・痛みが出ない範囲に切り替えてみてください。
それでも痛い場合は、ストレッチの方向・角度・補助のしかたを変える必要があります。担当のセラピストに必ず相談してください。
Q. リハビリの翌日に体がだるく痛みます。続けても大丈夫?
運動の翌日に筋肉痛のようなだるさが出るのは珍しいことではありません。
「2〜3日でおさまる」「日に日に軽くなる」のであれば、運動量に体が慣れている過程と考えてよいでしょう。
逆に、「4日以上続く」「日に日に強くなる」「痛みで眠れない」場合は、運動量・内容が体に合っていない可能性があります。
担当のセラピストに正直に伝えて、強度の調整をお願いしてください。
Q. 痛みが治らないのは脳卒中の後遺症ですか?
すべての痛みが脳卒中の直接の後遺症というわけではありません。
動かさないでいる時間が長くなることで、肩・腰・足などに二次的な筋肉・関節の痛みが出ることが多くあります。
また、もともと持っていた整形外科的な痛み(変形性関節症など)が、片方ばかり使うことで悪化する場合もあります。
痛みの原因を「脳卒中だから仕方ない」と決めつけず、主治医・リハビリ専門職に相談して原因を整理することが大切です。
まとめ
- 脳卒中経験者のおよそ50%が慢性的な痛みを抱えており、リハビリ中の痛みは珍しくない
- 痛みには「続けてよい痛み」と「止めるべき痛み」があり、安静時痛・夜間痛・腫れ・電気が走る痛みは止めるサイン
- NRS(0〜10の数字)で5を超えたら立ち止まり、6以上が続くなら内容を変更する
- 脳卒中後の痛みは「肩の痛み」「中枢性の神経痛」「痙縮による痛み」「筋骨格痛」の4タイプ
- 我慢し続けると動きが小さくなる・神経が過敏になる・気分や睡眠が落ちる悪循環に入る
- 「痛くない範囲で始める/課題を変える/ゆっくり長めにストレッチ/亜脱臼を防ぐ工夫」が4つのコツ
- セラピストには「いつ・どこが・どんな痛みか+NRSの数字」をセットで伝える
- 運動だけで取れない痛みは、薬・装具・物理療法を組み合わせて医療的に減らす
次にやるべきこと:今日のリハビリで感じた痛みを、NRSの数字と痛む場所のメモにして、次回のリハビリの最初にセラピストへ手渡してみてください。
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参考文献
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最終更新:2026年5月

