脳梗塞や脳出血を発症すると、運動麻痺(うんどうまひ)が表れます。

運動麻痺に対するリハビリの方法はいくつもありますが、どの方法が何に対して有効なのかわからないと

  • 『どのリハビリを行えばよいのか?』
  • 『どのリハビリを学習すればよいのか?』
  • 『リハビリを組み合わせてもよいのか?』

…など、臨床的な判断ができないですよね。

本記事では、2026年4月時点の最新エビデンス(2024〜2026年のシステマティックレビュー・RCT)に基づき、上肢のリハビリがそれぞれ何に対して有効とされているのか解説します。

情報の信頼性について
・本記事はBRAIN代表/理学療法士の針谷が執筆しています(執筆者情報は記事最下部)。
・本記事の情報は、信頼性の高い研究論文から得られたデータを中心に引用しています。

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目次
  1. エビデンスに基づく脳卒中後の上肢のリハビリまとめ
  2. 効果のある上肢リハビリとは?
  3. 上肢麻痺はどのくらい回復するのか?|回復曲線とエビデンス
    1. 手が回復する2つの道筋:自然回復と、リハビリによる回復
    2. 回復が一番速いのは最初の数週間。でも、そこで止まるとは限らない
    3. 回復しやすいサイン:指を伸ばせる・肩を横に上げられる
    4. 回復が見込みやすいかを予測する方法(PREP2)
    5. 「いつまで改善するのか」の最新の見方
    6. 何年もたってから、指が伸び始めた記録(症例報告)
  4. リハビリの量:どれくらい練習すると変わる?
    1. 量を増やすと、改善が大きかった研究
    2. 量を増やしても、差が出なかった研究もある
    3. 必要な量は、人によって違う
  5. 発症からの時期:いつ始めるのが良い?
    1. 発症2〜3か月は、上乗せの練習が効きやすかった
    2. 発症直後は「きつさ」に注意
    3. 早く始めた有利さは、あとで追いつかれることもある
    4. 慢性期でも、練習の意味がなくなるわけではない
  6. 麻痺の程度を知る|FMA-UE・Brunnstrom Stage簡易チェック
    1. 家庭でできる5つの簡易チェック
    2. 重い麻痺の人は、回復のしかたそのものが違う
    3. 方法によって、合いやすい麻痺の重さが違う
    4. 研究を読むときの注意:「重度向け」の研究にも、軽い人が入っている
  7. 手が動かない原因から考える(BRAINの8分類)
    1. 脳から手への通り道(皮質脊髄路)
    2. 脳の働き・つながり、注意や認知
    3. 感覚
    4. 痙縮(筋肉のつっぱり)
    5. 使わない癖(学習性不使用)
    6. 共同運動と、筋の同時収縮
  8. 脳卒中 上肢 リハビリの全体像|重症度別の比較表
  9. それぞれの上肢リハビリとエビデンス
    1. 課題指向型訓練
    2. CI療法
    3. 電気刺激療法
    4. ミラーセラピー
    5. 運動イメージ療法
    6. 運動観察療法
    7. ストレッチ
    8. 筋力トレーニング
    9. ボバース・コンセプト
    10. 認知神経リハビリテーション(Perfetti法)
    11. プライミング
      1. Stimulation-based priming(刺激に基づくプライミング)
      2. Motor imagery and action observation(運動イメージと運動観察)
      3. Sensory priming(感覚プライミング)
      4. Movement-based priming(動きに基づくプライミング)
  10. 重度麻痺・弛緩性麻痺にも届く新しいリハビリ【2026年版追加】
    1. 健側制御型電気刺激(CCFES)
    2. 迷走神経刺激(VNS)+リハビリテーション
    3. 電磁場刺激(EMAGINE試験)
  11. 自宅でできる上肢の自主トレ・遠隔リハビリ【2026年版追加】
    1. 在宅リハビリは「通常ケア」より有意に良い
    2. 自宅VR(バーチャルリアリティ)訓練
    3. 「紙の運動プログラム」でも効果は出る
    4. 自主トレは、やり方で結果が分かれる
    5. 続けるコツ:段階づけ・見守り・記録
    6. 高い機器は、必須ではない
    7. 麻痺の重さ別:自宅でできることの例(BRAINの提案)
  12. BCI(ブレイン・コンピュータ・インターフェース)とロボット【2026年版追加】
    1. BCIリハビリの2026年メタアナリシス
    2. BCI連動型ソフトロボットグローブ
    3. ロボットリハビリの2025年アンブレラレビュー
  13. 反復末梢磁気刺激(rPMS)と他の新興刺激療法【2026年版追加】
  14. 担当のセラピストに聞いてほしい3つの質問
  15. 上肢リハビリにおけるベスト・プラクティス
  16. セラピストはリハビリのプロ/専門家
  17. よくある質問
  18. 参考文献
    1. 動画「片麻痺の手のリハビリ完全解説」の章別 参考文献(2026年10月追加)

エビデンスに基づく脳卒中後の上肢のリハビリまとめ

最初に本記事のまとめです。

  • 課題指向型訓練、CI療法、電気刺激、ミラーセラピーが上肢リハビリの主役
  • プライミング(rTMS、運動イメージ、有酸素運動、電気刺激など)を追加することでリハビリの効果が上がる
  • ストレッチ、ボバース・コンセプトは推奨できない

上肢のリハビリは様々な方法がありますが、全て有効であるというわけではありません。

また、病期(急性期・回復期・慢性期)によって、あるいは何を改善させたいのかによって選択すべきリハビリも異なります。

さらに、麻痺の程度(軽度・中等度・重度)によっても最適な方法は変わります。本記事では、まず「麻痺の程度別の選び方」を整理し、その後「介入別の詳細エビデンス」を解説します。

詳細について解説します。

効果のある上肢リハビリとは?

世界中にはたくさんの上肢リハビリがあります。

上肢リハビリの分類(BRAIN作成)

これらの中には『有効性についてコンセンサスが得られたリハビリ』と『有効性についてコンセンサスが得られていないリハビリ』とがあります。

上肢リハビリを成功させるためには『有効性についてコンセンサスが得られたリハビリ』を行うことが大事です。

Saikaley M(2022)は、ネットワークメタアナリシスという統計手法を用い、世界中で報告された上肢リハビリの中で有効なものを選定しました。

結果として、以下の10のリハビリについて有効性を認めました。

  • CI療法(課題指向型訓練)
  • ミラーセラピー
  • 運動イメージ療法
  • 運動観察療法
  • 電気刺激
  • バーチャルリアリティ
  • 両側上肢訓練
  • 高頻度/低頻度反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)
  • シータバースト刺激(TBS)
  • cathodal tDCS

これらは急性期〜慢性期の全体データから得られた結果です。

一方、Tenberg S(2023)は発症6ヶ月以内(急性期〜回復期)において有効なリハビリとして、下記の6つを挙げました。

  • 課題指向型訓練
  • 課題指向型訓練+電気刺激
  • 高強度CI療法
  • 筋力増強運動
  • 運動観察療法
  • バイオフィードバック

急性期〜回復期の上肢リハビリとしては、これらの6つのリハビリがより重要であると言えます。

ただし、これら10〜6の方法のうちどれを選ぶべきかは、麻痺の程度(軽度・中等度・重度)と発症からの時期によって変わります。次の章から、まず予後と麻痺の程度を整理し、そのうえで主要な上肢リハビリをひとつずつ詳しく解説していきましょう。

上肢麻痺はどのくらい回復するのか?|回復曲線とエビデンス

麻痺した手はいつまでよくなるのか?(BRAIN公式チャンネル)

手が回復する2つの道筋:自然回復と、リハビリによる回復

BRAINの判断!(BRAINの考え方の整理です)

BRAINでは、手が動くようになる道筋を、大きく2つに分けて考えています。

1つ目は自然回復で、脳卒中のあと、脳そのものが回復していく力のことです。

2つ目はリハビリによる回復で、練習によって、自然回復に上乗せしていく回復です。

この2つを分けて考えると、今やるべきことがはっきりします。

まずは1つ目の自然回復について、これまでの研究でわかっていることを紹介します。

上肢麻痺の回復には、ある程度の研究データに基づいた目安があります。

2008年に公開されたコホート研究では、発症から3〜6か月時点の腕の機能の改善幅は、発症直後に「失われていた機能」(満点との差)のおよそ70%に相当することが示されています(Prabhakaran, 2008)。

これは「比例回復則(Proportional recovery rule)」と呼ばれる考え方です。

たとえば、Fugl-Meyer Upper Extremity(FMA-UE:腕の機能を66点満点で測る評価指標)が発症直後に20点だった場合、満点との差は46点で、その70%である約32点ぶんが3〜6か月で改善する計算になります。

ただし、重度の麻痺の方の中には、この目安よりはるかに改善が小さい人がいることもわかっています(Prabhakaran, 2008)。

回復が一番速いのは最初の数週間。でも、そこで止まるとは限らない

自然回復が一番速いのは、発症から最初の数週間です。

事実(研究でわかっていること)

1994年に発表された、421人を追いかけた研究では、食事や身だしなみで手を使う動作が、その人の一番良い状態に届くまでの期間を調べています(Nakayama, 1994)。

80%の人は発症から3週間以内に、95%の人は9週間以内に、その状態に届いていました。

麻痺が重い人では、それぞれ6週間・11週間と、麻痺が軽い人(3週間・6週間)より時間がかかっていました。

一方、2020年に発表された研究では、腕と手の動きを発症直後から2年間記録しています(Borschmann, 2020)。

変化のスピードが一番速いのは、最初の6週間ほどでした。

それでも全体としては、手を使う量や握る力は12か月まで、腕と手の動きそのものは18か月まで、改善が続いていました。

さらに、24か月たっても改善が続いている人がいました。

ただし、この研究で分析されたのは28人と、小さな研究です。

2017年に発表された研究では、脳から手への通り道(皮質脊髄路:脳からの「動かせ」という指令を、手や腕の筋肉に届ける神経の通り道)が働いている人は、発症3日目から3か月までに、最初に失った動きのおよそ6割(63%)を取り戻していました(Stinear, 2017)。

通り道が働いていない人では、この割合どおりにはいかず、通り道の傷みが大きいほど回復は小さめでした。

2021年に発表された研究は、点数の上限(満点に近い人はそれ以上伸びようがないこと)の影響があるため、「失った分の何割が戻る」という考え方(比例回復)はそのまま当てはめられない、と指摘しています(Lee, 2021)。

BRAINの判断!

「何週で届く」「何割戻る」は、たくさんの人の平均的な傾向で、一人ひとりの予測ではありません。

BRAINでは、回復のスピードは落ちても、止まるわけではないと読んでいます。

回復しやすいサイン:指を伸ばせる・肩を横に上げられる

事実(研究でわかっていること)

2012年に発表された、58本の研究をまとめた分析では、その後の回復を一番左右していたのは、「最初の腕や手の麻痺の重さ」と「最初にどれくらい使えていたか」でした(Coupar, 2012)。

2010年にオランダで発表された研究(EPOS研究)では、発症して2日ほどの時点で、指を少しでも伸ばせて、肩を少しでも横に上げられた人は、半年後に手で何かをつまむなどの動作ができるようになる確率が98%でした(Nijland, 2010)。

どちらもできなかった人では、25%でした。

25%ということは、4人に1人は手の器用さを取り戻している、ということでもあります。

なお、同じ研究では、発症5日目・9日目に測り直しても指と肩の動きが出てこない人では、この確率は14%まで下がっていました。

2016年に発表された研究では、発症から1週間ほどの時点で指をまったく伸ばせなかった100人のうち、45人は半年後に小さな物をつまみ上げられるようになりました(Winters, 2016)。

この45人では、指が伸び始めたのは発症からおよそ4週目(早い人で2週、遅い人で8週)でした。

表:回復の見通しに関わる研究
研究わかったこと対象
Nakayama 1994手を使う日常動作が一番良い状態に届くのは、80%が3週以内・95%が9週以内(重い麻痺では6週・11週)地域の入院患者421人
Borschmann 2020変化が一番速いのは最初の6週。全体では12〜18か月まで改善が続き、24か月でも改善した人がいた中等度〜重度の28人(2年間)
Coupar 2012回復を一番左右したのは、最初の麻痺の重さと、最初にどれくらい使えていたか58本の研究のまとめ(要旨で確認)
Nijland 2010発症2日ほどで指を伸ばせて肩を横に上げられた人は、半年後に手の器用さを得る確率98%。どちらもできない人は25%156人(発症72時間以内に評価)
Winters 2016指を伸ばせなかった100人中45人が、半年後に小さな物をつまみ上げられた発症1週ほどで指を伸ばせなかった100人
Stinear 2017脳から手への通り道が働いている人は、発症3か月までに失った動きの約6割(63%)を取り戻した157人(要旨で確認)
Lundquist 2021予測の方法PREP2を発症2週目に当てはめると、当たったのは60%91人(要旨で確認)
Millot 2024PREP2を発症3日目から当てはめると、当たったのは78%。認知機能の低下があると下がった143人(要旨で確認)
※「わかったこと」は、たくさんの人の平均的な傾向です。一人ひとりの予測ではありません。

回復が見込みやすいかを予測する方法(PREP2)

2017年に発表された予測アルゴリズム「PREP2」は、年齢・腕の力(SAFEスコア)・脳の指令経路の通りやすさ(経頭蓋磁気刺激のMEPの有無)・脳卒中の重さ(NIHSS)の4つを組み合わせて、3か月後の腕の機能を予測する方法です。

PREP2を開発した2017年の研究では、3か月後の腕と手の機能の区分を75%の割合で当てられたと報告されています(Stinear, 2017)。

その後、別の病院で確かめた研究では、当たった割合は60%(発症2週で当てはめた研究:Lundquist, 2021)から78%(Millot, 2024)でした。

「とても良く回復する」「回復が難しい」という両端はよく当たる一方、その間の人は外れやすいことも分かっています。

予測はあくまで目安で、「ここまでしか良くならない」と決めつけるためのものではありません。

PREP2は専門病院で実施される予測ツールですが、「年齢が比較的若い」「発症3日以内に肩を横に少し上げられる」「指が少しでも伸ばせる」などの条件があると、3か月時の上肢機能の予後が良い傾向は、当事者ご家族にとっても知っておくと役立ちます。

逆に、これらの条件に当てはまらない方は、リハビリの組み立てをすぐに「重度向け」へ切り替える判断材料になります。

事実(研究でわかっていること)

2021年にデンマークのリハビリ施設で、PREP2を発症2週目という本来より遅い時期に当てはめて試した研究では、当たったのは60%でした(Lundquist, 2021)。

2024年にフランスの病院で、発症3日目から当てはめて試した研究では、当たったのは78%でした(Millot, 2024)。

この研究では、「とても良く回復する」(87.5%)と「回復が難しい」(94.9%)の両端はよく当たる一方、その間の人は当たりにくい(46.5%と0%)という結果でした。

認知機能の低下がある人では、当たる割合が69.4%に下がりました(低下がない人は93.1%)。

2026年に発表された、複数の研究をまとめた分析では、脳を磁気で刺激したときの筋肉の反応(MEP)は良い回復をよく言い当てる一方、回復しにくい人を見分ける力は、発症早期では限られていました(Schilder, 2026)。

BRAINの判断!

予測は、あくまで「目安」です。

「あなたはここまでです」と決めつけるための道具ではありません。

「いつまで改善するのか」の最新の見方

かつて「リハビリの効果が出るのは発症後6か月まで」と言われていた時期がありました。

しかし最近の研究では、適切な強度のリハビリを継続すれば、発症から3〜9か月たった時期や慢性期でも腕の機能は改善することが示されています(Wolf, 2006、Salvalaggio, 2024)。

2024年に公開された複数の研究をまとめた分析では、30時間以上の追加リハビリで小〜大の効果(効果量0.38〜0.88)が確認されており、課題指向型訓練は慢性期でも効果量0.71と高いと報告されています(Salvalaggio, 2024)。

「もう時間が経ったから無理」と諦める必要はありません。

BRAINの判断!
BRAINでも、発症から数年たってご来店された方が、適切な強度と内容のリハビリを継続して数か月で握力や手の動きが改善した例が複数あります。「期間で諦める」より「やり方を見直す」ほうが現実的な選択肢です。

何年もたってから、指が伸び始めた記録(症例報告)

最後に、何年もたってから手が動き始めた方の記録を3つ紹介します。

どれも、1人の患者さんの経過を記録した報告(症例報告)です。

事実(症例報告①)

1人目:33歳の男性です(Jang, 2017)。

発症6か月の時点で、腕や足はほぼ動くようになっていたのに、右手の指を伸ばす筋肉だけはまったく動きませんでした。

発症から約1年半で指が少しずつ動き始め、4年後には重力に逆らって指を伸ばせるところまで回復しました。

発症2か月では、脳を磁気で刺激しても手の筋肉が反応しませんでしたが、4年後には反応が出るようになっていました。

この方は、発症4か月まで入院でリハビリを受け、その後2年まで外来で理学療法・作業療法、指を伸ばす筋肉への電気刺激を4年間続けていました。

発症3〜12か月には、神経に働く薬も使われていました。

4年後の時点でも、指先の細かい作業はまだ難しい状態でした。

事実(症例報告②)

2人目:53歳の男性です(Ciceron, 2022)。

発症直後は右腕がまったく動かず、3か月たっても腕は動き出しませんでした。

6か月で肩と肘がわずかに動き、2年目に指全体がわずかに動き始めました。

4年で親指と人さし指でつまめるように、5年で物を握れるようになりました。

6年で指まで1本ずつ分けて動かせるようになり、9年後には大きな物も細かい物もつかめるようになりました。

今は車の運転を再開し、両手で日曜大工や庭仕事をしています。

この方は、退院後も標準的な理学療法と、理学療法士が見守る自宅での指の練習を続けていました。

感覚の障害や痙縮(筋肉のつっぱり)は、一度もなかったと報告されています。

事実(症例報告③)

3人目:15歳で脳卒中になった男性です(Sörös, 2017)。

左手は固く、まったく使えない状態が23年続きました。

減量のために水泳を習慣にして1年たったころ、発症23年目に左手の指が動き始めました。

その後、集中的なリハビリと、指を伸ばすのを助ける装具での練習を続け、何年もかけて、左手で物を持ったり、小銭やクリップをつまめるまでになりました。

今は入浴や着替えで、毎日左手を使っています。

BRAINの判断!

こうした報告は1人ずつの記録で、論文でも、めずらしい回復として報告されています。

誰にでも同じことが起きる、という意味ではありません。

それでも、何年もたってから指が動き始めた人がいる、という記録は残っています。

そして3人とも、何年もリハビリや運動を続けていました。

重い麻痺のデータは、脳卒中後の重度片麻痺がよくなることを示す3つのデータでも紹介しています。

リハビリの量:どれくらい練習すると変わる?

自然回復のスピードが落ち着いたあと、手の変化に関わるのが、リハビリの「量」と「中身」です。

ここでは、まず「量」についての研究を紹介します。

量を増やすと、改善が大きかった研究

事実(研究でわかっていること)

2014年に発表された、複数の研究をまとめた分析では、リハビリの時間を多く取った群は、少ない群より改善が大きいという結果でした(Lohse, 2014)。

発症からの年数を考慮しても、この関係は残りました。

ただし、腕だけでなく歩くことなども含めた分析で、時間は「予定されたリハビリの時間」です。

イギリスの病院では、3週間で合計90時間という、腕と手の集中的なプログラムを行っています(Ward, 2019)。

発症から1年半ほど(中央値)の224人がプログラムを最後まで受け、腕と手の麻痺の点数(54点満点の版)は、中央値で26点から、終了6か月後には37点になりました。

プログラムが終わったあとの6か月間も、改善が続いていました。

ただし、比べる相手のグループがない研究です。

2019年にアメリカで発表された研究では、発症6か月以上たった中等度〜重度の麻痺の人が、1日5時間・週5日・12週間(合計300時間)の練習を行いました(Daly, 2019)。

150時間の時点で頭打ちにはならず、後半の150時間でもさらに改善しました。

練習をやめたあとの3か月間は、点数は保たれましたが、それ以上は伸びませんでした。

2026年に発表された、運動療法の研究をまとめた分析では、運動の総量が多い研究ほど、腕と手の麻痺の点数(FMA-UE)の改善が大きい傾向がありました(Zou, 2026)。

意味のある差(5点)に届く目安として「約193時間」という試算が出ていますが、7本の研究だけからの計算で、著者自身も「暫定的な目安」としています。

量を増やしても、差が出なかった研究もある

事実(研究でわかっていること)

2016年に発表された研究では、発症6か月以上たった人を、8週間の練習回数(3200回・6400回・9600回・本人の上限まで)で4つのグループに分けましたが、回数が多いほど手の動作テストが良くなる、という関係は見られませんでした(Lang, 2016)。

全体として、改善の幅も小さいものでした。

2019年に発表された研究では、発症から時間がたった軽度〜中等度の人を、3週間で0・15・30・60時間の練習の4つのグループに分けました(Winstein, 2019)。

練習時間が多いほど、生活の中での腕の使い方の質(本人による評価)は良くなりましたが、手の動作テストの点数には差が出ませんでした。

2021年に発表された国際的な分析では、リハビリの時間を増やしても、腕や脚を使う活動にはほとんど差がなく、麻痺の程度を表す点数には小さな改善がみられました(Clark, 2021)。

必要な量は、人によって違う

事実(研究でわかっていること)

2024年に発表された研究では、発症から時間がたった軽度〜中等度の人が、自宅でゲームを使った腕の練習をしました(Gauthier, 2024)。

効果があった人のうち、42%は5時間未満で伸びが頭打ちになり、34%は頭打ちまで30時間を超える練習が必要だと予測されました。

練習を始めてから5時間以内のデータで、最終的に効果が出るかどうかは、93%の精度で見分けられました。

ただし、測ったのは肩と肘の動きで、手指ではありません。

2025年の欧州脳卒中学会のガイドライン(診療の指針)は、今のリハビリに腕と手の反復練習を少なくとも20時間上乗せすることを「弱く」勧めています(Alt Murphy, 2025)。

根拠の確かさは「非常に低い」とされ、正確に何時間必要かはわかっていません。

表:練習の量を変えた研究の結果
研究対象量の条件結果
Lohse 2014多くの研究のまとめ(腕以外も含む)予定されたリハビリの時間時間が多い群で改善が大きい
Ward 2019発症1年半ほどの224人3週間で90時間26点→37点(54点満点の版・終了6か月後)
Daly 2019発症6か月以上・中等度〜重度1日5時間×週5日×12週(300時間)150時間で頭打ちにならず
Zou 2026運動療法の研究7本運動の総量多いほど改善が大きい傾向(193時間は暫定の試算)
Lang 2016発症6か月以上8週間で3200回〜本人の上限回数による差は見られず
Winstein 2019慢性期の軽度〜中等度3週間で0/15/30/60時間使い方の質(本人評価)だけ量で差
Gauthier 2024慢性期の軽度〜中等度自宅でのゲーム練習必要な量は5時間未満〜30時間超と人によって違う
※Ward 2019は要旨で確認。点数は研究ごとに違う評価です。
BRAINの判断!

BRAINでは、量を大きく増やすと良くなる人は多い一方で、どれだけ必要かは人によって違う、と読んでいます。

量と同じくらい大事なのが練習の「中身」で、それを決める手がかりが、このあとの「時期」「重さ」「原因」です。

発症からの時期:いつ始めるのが良い?

よく「リハビリは早いほど良い」と言われますが、研究の結果はもう少し複雑です。

発症2〜3か月は、上乗せの練習が効きやすかった

事実(研究でわかっていること)

2021年にアメリカで発表された研究(CPASS)では、通常のリハビリに加えて、20時間の練習を上乗せしました(Dromerick, 2021)。

発症2〜3か月に始めた人が最も大きく改善し、意味のある差に届きました。

発症30日以内に始めた人も改善が上乗せされましたが、意味のある差には届きませんでした。

発症6か月以降に始めた人では、上乗せの効果ははっきりしませんでした。

ただし、各グループ16〜20人の小さな研究で、麻痺の軽い人が多い研究でした。

2025年に発表された、157の研究をまとめた分析では、多くのリハビリ方法で、発症6か月以内に行った研究の方が、慢性期に行った研究より、通常のリハビリとの差が大きいという結果でした(Mehrabi, 2025)。

ただし、もともとの麻痺の重さの違いが影響している可能性もあります。

発症直後は「きつさ」に注意

事実(研究でわかっていること)

2009年に発表された研究(VECTORS)では、発症から平均約10日で、1日3時間の練習に加えて、起きている時間の90%は麻痺していない側の手にミトンをはめる「高強度」のCI療法を行いました(Dromerick, 2009)。

すると、90日時点の改善は、1日2時間の通常の作業療法や、標準的なCI療法を受けた人たちより小さくなりました。

なお、標準的なCI療法も、同じ時間の通常の作業療法を上回りませんでした。

急性期・亜急性期のCI療法の研究5本(計106人)をまとめた分析では、この時期は高強度より低強度のCI療法の方が有益かもしれない、とされています(Nijland, 2011)。

ただし研究の数は少なく、著者も控えめな言い方にとどめています。

早く始めた有利さは、あとで追いつかれることもある

事実(研究でわかっていること)

2010年に発表された研究(EXCITE)では、同じ2週間のCI療法を、発症3〜9か月で受けた人と、1年遅れて発症15〜21か月で受けた人を比べました(Wolf, 2010)。

CI療法を受けてから1年間の伸びは早く受けた人の方が大きかったのですが、研究に参加してから2年後の腕の機能は、両グループでほぼ同じ水準になりました。

2016年に発表された研究では、発症早期に指を少し伸ばせる人の改良版CI療法の効果は、発症5〜12週の時点では見られましたが、半年後には差がなくなっていました(Kwakkel, 2016)。

2018年に発表された研究でも、早く始めた人と後で始めた人で、長期の追跡では差はありませんでした(Stock, 2018)。

慢性期でも、練習の意味がなくなるわけではない

事実(研究でわかっていること)

2016年の国際的な分析では、生活動作などをくり返す練習(反復課題練習)の効果を時期別に比べても、発症15日以内・6か月以内・6か月以降のどの時期に始めても、効果に差があるとは示されませんでした(French, 2016)。

ただし、比べた研究の数は時期ごとに4〜7本と少なめです。

2018年に発表された、本人が自分で行う腕のリハビリをまとめた分析では、発症から12か月を過ぎた人で、腕の機能の改善が確認されました(Da-Silva, 2018)。

ただし、その多くは電気刺激・ロボット・ミラーセラピーなどの機器を使った方法でした。

BRAINの判断!

BRAINでは、時期で大事なのは次の2つだと考えています。

1つは、発症2〜3か月は、上乗せの練習が効きやすい時期だということです。

もう1つは、慢性期でも、練習の意味がなくなるわけではないということです。

「もう時期を逃したから遅い」ということはありません。

麻痺の程度を知る|FMA-UE・Brunnstrom Stage簡易チェック

自分や家族の腕の麻痺がどの程度かをざっくり知る目安として、リハビリの現場では主に2つの評価指標が使われています。

FMA-UE(Fugl-Meyer Upper Extremity、66点満点)と、Brunnstrom Stage(ステージI〜VIの6段階)です。

いずれも医療職が正確に採点しますが、大まかな自己判断であれば、以下の表のような目安で軽度・中等度・重度を見当づけることが可能です。

区分FMA-UEの目安(出典により異なる)Brunnstrom Stageの目安日常生活でのイメージ
軽度およそ50点以上ステージV〜VI手で物を持てるが、細かい動作(ボタン・箸)がぎこちない
中等度およそ20〜49点ステージIII〜IV腕は動くが手指の分離運動が難しい。物をつかむのが困難
重度およそ19点以下ステージI〜II自分から腕を持ち上げにくい。共同運動が中心、手指の動きはほぼなし

※表のFMA-UEの区切りは目安で、出典により異なります(研究で使われた区切りの例は、下の段落をご覧ください)。

区分は研究によって境界値が少しずつ異なります。

2026年に公開された、750の研究を調べた分析では、重さの区切りをFMA-UE(腕と手の麻痺の点数、66点満点)で示していた57の研究について、区切りの点数の真ん中の値(中央値)が「重度=0〜25点」「中等度=26〜50点」「軽度=51〜66点」でした(Ierardi E, 2026)。

ただし、研究ごとの区切りはばらばらで重なりも大きく、著者は「重さの定義は標準化されていない」と指摘しています(Ierardi E, 2026)。

そのため、上の表の区切りとも数字が少しずつ違います。

境界に近い方は、担当の理学療法士・作業療法士に「自分はどのレベルに当てはまりますか?」と直接たずねるのが確実です。

家庭でできる5つの簡易チェック

以下の5つを順に試してみてください。

  1. 麻痺側の腕を、自分でテーブルから胸の高さまで持ち上げられるか
  2. 肘を伸ばしたまま、腕を肩より上まで挙げられるか
  3. 麻痺側の手で、ペットボトル(500mL・空)を握って持ち上げられるか
  4. 親指と人差し指でつまんで、コインを拾えるか
  5. 手首を反らせて、手のひらを天井に向けられるか

4〜5個ができれば軽度、2〜3個ができれば中等度、0〜1個なら重度の目安です。

あくまで簡易の振り分けで、正式な評価は理学療法士・作業療法士・医師にお願いしてください。

重い麻痺の人は、回復のしかたそのものが違う

事実(研究でわかっていること)

2022年に発表された、489人のデータを使った研究では、発症して間もない時期の腕と手の点数(66点満点)が10点を境に、その後3〜6か月の回復のしかたが分かれていました(Bonkhoff, 2022)。

10点以下の重い人では、最初の点数が少しでも高い人ほど、回復が大きい傾向でした。

方法によって、合いやすい麻痺の重さが違う

事実(研究でわかっていること)

CI療法(麻痺していない側の手をミトンなどで使えないようにして、麻痺した手を集中的に使う方法)の大きな研究(EXCITE)に参加する条件は、少なくとも手首を自分で10度以上反らせて、親指ともう2本以上の指を10度以上伸ばせること(この動きを1分間に3回)でした(Wolf, 2008、Kwakkel, 2015)。

2016年に発表された研究では、発症2週間以内に親指か2本以上の指を少し(10度以上)伸ばせた人では、3週間の改良版CI療法をした方が、通常のリハビリだけの人より、腕と手を使う動作のテストが発症5〜12週の時点で6〜7点高くなりました(Kwakkel, 2016)。

ただし半年後には差がなくなり、麻痺そのものの点数にも差はありませんでした。

同じ研究で、指を伸ばせなかった人への筋電で動く電気刺激では、差は出ませんでした。

2023年に発表された、発症から3か月までの腕と手の麻痺が重い人(上肢の点数22点以下など)を対象にした23の研究をまとめた分析では、どの方法でもリハビリで改善は見られました(Doumen, 2023)。

でも、同じ時間の通常のリハビリより、はっきり優れていると言える方法はありませんでした。

2025年に発表された、脳への磁気刺激(rTMS)の研究37本をまとめた分析では、発症6か月以内の人と、もともと麻痺が重い人で、腕と手の麻痺の点数の改善が確かめられました(Zhang, 2025)。

一方、2025年に発表された55人の研究では、麻痺が重い人(上肢の点数30点未満)では、本物の刺激と偽の刺激で改善の大きさに差がありませんでした(Cai, 2025)。

表:方法と麻痺の重さ(研究によって結果が分かれた例)
方法重い人でも効いたという研究重い人では効きにくかった研究BRAINでの実施
脳への磁気刺激(TMS)Zhang 2025:37研究のまとめ。麻痺が重い人でも改善(要旨で確認)Cai 2025:55人。点数30点未満の人では本物と偽の刺激で差なしあり
練習の上乗せFeys 2004:発症早期に6週間、毎日追加。5年後も差があり、最初の麻痺が重い人で効果が大きかった(要旨で確認)Parry 1999:5週間で計10時間の追加。麻痺が重い人では効果が見つからなかった(要旨で確認)あり(リハビリの中で)
ロボットWang 2025:亜急性期・重い人で改善が大きかったというまとめ(要旨で確認)De Iaco 2024:最初の点数が高い(軽い)人ほど動作面の効果が大きかったというまとめ(要旨で確認)なし
※○△×の判定ではなく、同じ方法でも研究によって結果が分かれていることを示す表です。上の「全体像|重症度別の比較表」の補足としてご覧ください。

研究を読むときの注意:「重度向け」の研究にも、軽い人が入っている

事実(研究でわかっていること)

2024年に発表された文献のまとめでは、「重度向け」とうたう研究でも、実際の参加者の点数は軽い人から重い人まで広く分かれていました(Colamarino, 2024)。

上で紹介したとおり、重さの区切り方そのものも、研究によってばらばらです(Ierardi, 2026)。

BRAINの判断!

BRAINでは、重い麻痺の方は「重度ならこれ」と方法の名前で決めるのではなく、その人の手が今どこまで動くのか、何が動きを止めているのかを見て、組み合わせを考える必要があると考えています。

重い麻痺の方の手のリハビリは片麻痺の手のリハビリ|手指が開かない・握れない重度麻痺向け、CI療法の対象になる条件はCI療法の適応 −論文で採用されている7種類の選択基準−、重い麻痺の方向けの方法の一覧は【2026年版】脳卒中後の重度片麻痺に対して有効なリハビリ11選でも解説しています。

手が動かない原因から考える(BRAINの8分類)

同じ「手が動かない」でも、原因は人によって違います。

BRAINの8分類(BRAIN独自の整理です)

BRAINでは、研究で報告されている要因をもとに、手が動かない原因を8つに整理しています。

これは医学的に確立した分類ではなく、BRAINが研究をもとにまとめた独自の整理です。

  • ① 脳から手への通り道の損傷
  • ② 脳の働き・つながり
  • ③ 動きの組み立て
  • ④ 感覚
  • ⑤ 痙縮(筋肉のつっぱり)
  • ⑥ 使わない癖
  • ⑦ 共同運動
  • ⑧ 筋の同時収縮

原因を見ると、回復の見通し・効きにくい方法・練習の目的の3つが変わる、とBRAINは考えています。

脳から手への通り道(皮質脊髄路)

事実(研究でわかっていること)

上で紹介したとおり、脳から手への通り道が働いている人は、発症3か月までに失った動きのおよそ6割を取り戻していました(Stinear, 2017)。

一方、2017年に発表された研究では、発症60日以内の人のうち、脳の画像や磁気刺激の検査を受けられた一部の人を調べたところ、検査の値は、6週間の練習での改善の大きさとも、どちらの練習が合うかとも関係していませんでした(Hunter, 2017)。

ただし、検査を受けられた人数は少なめでした。

通り道の傷み方と麻痺の関係は、脳梗塞による運動麻痺 -7つのメカニズム-【完全解説】でくわしく解説しています。

脳の働き・つながり、注意や認知

事実(研究でわかっていること)

2014年に発表された、複数の研究をまとめた分析では、損傷した側の脳の運動の中心が働くことは、良い回復と関連していました(Favre, 2014)。

2026年に発表された研究では、麻痺そのものは軽いのに手をうまく使えない人がいて、認知機能や半側空間無視(片側に注意が向きにくい症状)が強く関係していました(Vanbellingen, 2026)。

同じ研究では、失行(動作の組み立ての障害)の影響は小さいものでした。

感覚

事実(研究でわかっていること)

2021年に発表された、28の研究(1,829人)をまとめた分析では、体の位置や動きの感覚(固有感覚)と運動の機能の関係は、あるものの弱いものでした(Yu, 2021)。

腕だけで見ても、やはり弱めの関係でした。

2020年に発表された研究では、重い感覚の障害があっても、発症から早い時期の運動の回復を直接妨げてはいませんでした(Zandvliet, 2020)。

ただし同じ研究は、感覚が自然に回復していくことが、運動が十分に回復するための前提になっている可能性も示しています。

2019年に発表された研究では、発症から時間がたった30人が、機械(ロボット)を使った指の練習を3週間(1時間×9回)行ったところ、もともと指の位置の感覚が良い人ほど、手の動作テストの伸びが大きくなりました(Ingemanson, 2019)。

まったく伸びなかった8人は全員、指の位置の感覚が大きく落ちていた人でした。

感覚のリハビリは、【2026年版】脳卒中後の感覚障害に対するリハビリ7選で紹介しています。

痙縮(筋肉のつっぱり)

痙縮とは、筋肉がつっぱって、手が握り込んだり、肘が曲がったままになったりする状態です。

事実(研究でわかっていること)

2019年に発表された、ボツリヌス注射の研究をまとめた分析では、注射は偽の注射と比べて、腕の筋肉のこわばりを下げ、着替えや手のケアなどの困りごとの点数も良くしました(Sun, 2019)。

一方、自分で腕や手を動かす機能については、はっきりした差は確かめられませんでした(調べた研究は3本だけです)。

2023年に発表された研究では、発症3か月の時点の腕の使いにくさに関係する要因を調べたところ、分析に最後まで残ったのは筋力と器用さでした(Matozinho, 2023)。

BRAINの判断!

痙縮への対応は、「介助しやすくする・痛みを減らす」のか、「自分で動かせるようにする」のか、目的を分けて考えることが大切だとBRAINは考えています。

注射については脳卒中のボツリヌス療法(ボトックス)|受ける前に知っておきたいこと、手が勝手に握り込む現象は脳卒中の連合反応|麻痺側の手が勝手に握り込む時の対処で解説しています。

使わない癖(学習性不使用)

麻痺した手で失敗する経験が重なると、だんだん麻痺した手を避けて、麻痺していない手で済ませるようになります。

こうして、使わない、だから動かしにくい、という悪循環が生まれます。

事実(研究でわかっていること)

2015年に発表された研究では、退院してから発症1年までに腕と手の機能は良くなりましたが、手首に着けた計測器で測った麻痺側の活動量は増えていませんでした(Rand, 2015)。

麻痺していない側は、麻痺側の3倍使われていました。

なお、本人の申告では、使う量は増えていました。

2013年に発表された研究では、発症から1年以上たった人のCI療法で、「生活で麻痺した手を使う約束・毎日の記録・使えない場面の解決策を一緒に考える」といった工夫を加えると、本人が答える生活での使用の点数の伸びが、加えない場合の2.4倍になり、1年後も保たれていました(Taub, 2013)。

共同運動と、筋の同時収縮

共同運動とは、腕を動かそうとすると、肩・肘・手首・指がまとまって一緒に動いてしまう状態です。

筋の同時収縮とは、曲げる筋肉と伸ばす筋肉が同時に働いてしまう状態です。

事実(研究でわかっていること)

2020年に発表された研究では、中等度の人で、共同運動から外れた動きが良い人ほど、共同運動の中の動きが低いという関係がみられました(Senesh, 2020)。

2002年に発表された研究では、麻痺側では曲げる筋肉と伸ばす筋肉が同時に働く度合いが大きく、運動の点数と関連していました(Chae, 2002)。

一方、1992年に発表された研究では、動作ができない原因は同時収縮ではなく、動かす筋肉が十分に働かないことだったと報告されています(Gowland, 1992)。

筋電(筋肉の電気信号)を使う機器で同時収縮を減らす練習の研究もあります(Khorasani, 2026)。

この機器は、BRAINでは実施していません。

くわしくは【2026年版】脳卒中後の筋共縮【完全解説】をご覧ください。

表:手が動かない原因(BRAINの8分類)と、研究でわかっていること
原因(BRAINの8分類)研究でわかっていることくわしい記事
① 脳から手への通り道の損傷働いている人は失った動きの約6割を取り戻した(Stinear 2017)/検査の値で練習の効果は予測できなかった(Hunter 2017)運動麻痺の7つのメカニズム
② 脳の働き・つながり損傷した側の運動の中心の働きが回復と関連(Favre 2014)/認知機能・半側空間無視が手の使いにくさと関係(Vanbellingen 2026)運動麻痺の7つのメカニズム
③ 動きの組み立て失行の影響は小さかったという報告(Vanbellingen 2026)—
④ 感覚運動との関係は弱い(Yu 2021)/指の位置の感覚が大きく落ちた人は機械を使った練習で伸びにくかった(Ingemanson 2019)感覚障害のリハビリ7選
⑤ 痙縮注射でこわばりは下がるが、自分で動かす機能ははっきり変わらず(Sun 2019)/腕の使いにくさの分析に残ったのは筋力と器用さ(Matozinho 2023)ボツリヌス療法
⑥ 使わない癖機能が良くなっても計測器で測った使用量は増えず(Rand 2015)/使う場面を決めて記録する工夫で使用の伸びが2.4倍(Taub 2013)ホームCI療法
⑦ 共同運動共同運動から外れた動きと、共同運動の中の動きが逆の関係(Senesh 2020)連合反応
⑧ 筋の同時収縮麻痺側で大きく、運動の点数と関連(Chae 2002)/原因は同時収縮より動かす筋肉の働き不足という報告も(Gowland 1992)筋共縮
※8分類はBRAIN独自の整理で、医学的に確立した分類ではありません。Favre 2014・Vanbellingen 2026・Matozinho 2023・Rand 2015・Senesh 2020・Chae 2002・Gowland 1992・Stinear 2017は要旨で確認。
BRAINの判断!

「この原因には、この方法」という1対1の答えは、まだ研究の途中です。

特に、動きの組み立てや筋の同時収縮については、研究がまだ多くありません。

BRAINでは、お一人おひとりの発症からの時期・麻痺の重さ・手が動かない原因を評価し、それに合わせて手のリハビリを組み立てています。

TMS・BMIなどの機器や、重い麻痺の方向けのBRAIN独自の方法(TOT-S)を組み合わせることもあります。

TOT-SはBRAINが考えた方法で、外部の研究による裏付けはこれからです。

脳卒中 上肢 リハビリの全体像|重症度別の比較表

エビデンスに基づく脳卒中後の上肢リハ11選(BRAIN公式チャンネル)

研究データから、現時点で重症度別に効果が認められているリハビリ方法は以下のとおりです。

介入軽度中等度重度主な根拠
CI療法/改良CI療法○△(条件付き)×Wolf 2006、Saikaley 2022(FMA-UE平均差6.7点)
課題指向型訓練○○△(補助具併用)Wattchow 2018(SMD 0.37)、Salvalaggio 2024(ES 0.71-0.88)
ミラー療法△○○Saragih 2025(FMA-UE MD 1.79)、Hsieh 2025
運動イメージ・運動観察○○○Park 2018、Lin 2025(SMD 0.58〜0.70)、Peng 2019(g=0.564)
電気刺激(NMES)△○○Pollock 2014(Cochrane)、Pan 2024(ミラー併用 SMD 1.89)
反復練習+多用○○○(補助具併用)Veerbeek 2014、Ibrahim 2025(>20セッションで手機能改善)
ボバース・コンセプト△△△Dorsch 2023(タスク指向型より腕活動でSMD -1.07劣る)

○=研究データで効果が支持されている、△=条件付きまたは小さな効果、×=適用が難しいことが多い、を意味します。

次の章では、上の表に出てきたリハビリ方法を、一つずつくわしく解説していきます。ご自身の重症度の列を確認しながら、該当する○の項目を読み進めてください。

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それぞれの上肢リハビリとエビデンス

課題指向型訓練

現代の上肢リハビリの王道とも言える、代表的なリハビリです。

ブロックをつかむ、タオルで机をふく、など色々な課題を通して麻痺側上肢の運動を行います。

課題指向型訓練は、上肢の運動パフォーマンスを向上させる上で有効であることが知られています(French B, 2016)。

運動パフォーマンスと運動機能の違いとは?
運動パフォーマンスとは、Action Research Arm TestやWolf Motor Function Test、Box and Block Testなどで評価される、複数の関節からなる目的のある運動(リーチ、グラスプ、ピンチなど)を指します。一方、運動機能とはFugl-Meyer Assessmentや握力、ROMなどで評価される、単関節の運動や分離運動を指します。

課題指向型訓練は「ある課題を繰り返し実施するもの」というイメージが先行していると思います。

なので一部では「課題を繰り返すだけのリハビリなんて意味あるの?」と批判されることもあります。

ただ、実際はそんなことありません。

Timmermans AA(2010)は課題指向型訓練に含まれる15の要素についてまとめました。

詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

この中にはもちろん “反復” も入っているのですが、 “ランダム練習” や “段階的な練習” “様々な運動” などの要素も含まれます。

つまり、課題指向型訓練はただ同じ課題を繰り返すのではなく、患者さんひとりひとりに合わせて課題や難易度などを調整する高度なオーダーメイドリハビリであると言えます。

課題指向型訓練の課題レパートリーを増やそう
上述した通り、課題指向型訓練では様々な運動課題を用意する、ランダム学習を適用する、などの工夫が必要になります。そのため、セラピストがいくつも運動課題を提案できるようになる必要があります。ですが、アドリブでパッと運動課題を思い浮かべるのは難しいですよね。そこで、運動課題のレパートリーを増やすのに役立つ資料を紹介します。これは海外で研究された上肢のホームエクササイズの資料です。全て英語ですが、無料で入手可能な上、日常生活を意識した122の運動課題を写真で教えてくれます。運動課題を作成する上で参考になるのではないでしょうか。
上肢のホームエクササイズ課題資料はこちら

課題指向型訓練の有効性について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

2024〜2026年の追加エビデンス(補完):2024年のシステマティックレビュー(16研究・692名)では、実際の生活動作を取り入れた「Activity-Based TOT」が運動機能・動作遂行能力・ADLの改善に強い〜中等度のエビデンスで支持されました(Lee CY, 2024)。

さらに2025年の系統的レビュー+メタアナリシス(26RCT・1431名)では、反復50回超の研究で腕機能、20セッション超の研究で手指機能の有意な改善がみられたものの、エビデンスの質は非常に低く、「高強度ほど良くなる」と結論づけるには根拠が不十分とされています(Ibrahim R, 2025)。

French B(2016)の「課題指向型訓練は有効」という結論は変わらず、2026年もこれが上肢リハビリの土台です。

CI療法

課題指向型訓練の一種で、非麻痺側(麻痺していない)上肢を使わないようにし、麻痺側上肢のみで何らかの課題を繰り返すリハビリです。

CI療法のタイプ
CI療法には、オリジナルのCI療法、修正CI療法、強制使用(Foced Use)といった分類があります。大局的にみると、修正CI療法は様々なアウトカムに対して有効であることが知られています(Kwakkel G, 2015)。

CI療法は、運動パフォーマンス、運動機能のいずれに対しても有効とされています(Corbetta D, 2015; Nijland R, 2011; McIntyre A, 2012)。

ただし、発症から14日以内の急性期においては、低強度(1日あたり30分〜2時間)のCI療法でなければ有効と言えないという報告もされており、注意が必要です(Nijland R, 2011)。

一方で、発症6ヶ月以内全体でみれば、上述のTenberg S(2023)の研究で報告された高強度CI療法が有効とされています。

高強度CI療法とは、1日の起床時間90%において非麻痺側を拘束するのに加え、マンツーマンの課題指向型訓練を3〜6時間実施するタイプのCI療法です。

さらに、修正CI療法に体幹拘束(Bang DH, 2015)や体幹の代償動作を音で知らせるフィードバック(Bang DH, 2016)を加えると、修正CI療法単独で実施する場合と比べると運動パフォーマンスや運動機能に対して効果的であったという報告があり、体幹の代償を抑える工夫を検討する余地があるかもしれません。

CI療法の有効性について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

2024〜2026年の追加エビデンス(補完):2025年のシステマティックレビュー(10RCT・364名を収録)のうち4RCT・191名のメタアナリシスで、入院リハビリ場面における修正CI療法(mCIMT)が上肢機能を改善(標準化平均差 SMD=0.94、95%CI 0.40〜1.48、根拠の確かさは低い)することが示されました(Hansen RJ, 2025)。

CI療法と経頭蓋直流電気刺激(tDCS)の併用については、2025年のメタアナリシスでFugl-Meyer上肢スコアに有意な上乗せ効果(Hedges’ g=0.59)が報告されています(Jiang T, 2025)。

さらに、自宅からビデオ通話等で行う「遠隔CI療法(テレリハ版mCIMT)」が対面と同等の効果を示したメタアナリシス(Sanchez L, 2024)も報告され、通院が難しい方にも選択肢が広がりました。

2025年の3群RCT(120名)では、CI療法とミラーセラピーは効果がほぼ同等であることも示されています(de Sire A, 2025)。

電気刺激療法

電気刺激を身体に与えるリハビリです。

多くの場合、電気刺激を与えるだけではなく、運動を一緒に行います。

電気刺激にはいくつかのタイプがあります。

代表的なのは経皮的電気刺激(Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation: TENS)、神経筋電気刺激(NeuroMuscular Electrical Stimulation: NMES)、筋電トリガー式電気刺激です。

TENSと神経筋電気刺激はエスパージ(伊藤超短波株式会社)、筋電トリガー式電気刺激はIVES(オージー技研株式会社)といった機器を使用することで行えます。

電気刺激療法は、運動パフォーマンス(Howlett OA, 2015。日常生活動作への効果は発症2か月以内に始めた場合に限られ、エビデンスの質は非常に低いとする報告も:Eraifej J, 2017)と運動機能(Monte-Silva K, 2019)、どちらに対しても有効であることが報告されています。

さらに2025年のネットワーク・メタアナリシスでは、電気刺激(NMES/FES)や反復経頭蓋磁気刺激(TMS)、NMESと反復末梢磁気刺激(rPMS)の組み合わせ等が、従来訓練よりも上肢機能で優位であることが示されました(ただしエビデンスの質は低い)(Keesukphan A, 2025)。

ただし、急性期ではNMESと運動療法の組み合わせおよび筋電トリガー式電気刺激が有効とされており、慢性期では筋電トリガー式電気刺激が有効とされているものの、NMESと運動療法の組み合わせは有効とは言えないとされています。

したがって、急性期であればどちらでも良いですが、慢性期であればIVESなどの筋電トリガー式電気刺激を使った方が望ましいと言えます。

電気刺激療法について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

2024〜2026年の追加エビデンス:2026年に Stroke 誌で報告された4施設132名の多施設RCTでは、健側の動きに連動して患側へ電気刺激を送る「健側制御型機能的電気刺激(CCFES)」が、通常のサイクリック電気刺激や課題指向型訓練よりもFugl-Meyer上肢スコアを有意に改善しました(CCFES vs 通常電気刺激:+4.4点、CCFES vs 課題指向型:+3.7点、Knutson JS, 2026)。

中等度〜重度の手の麻痺に対する有力な選択肢として注目されています。

ミラーセラピー

鏡を使って麻痺側上肢が動いているように錯覚させるリハビリです。

ミラーボックスを使ったり、姿勢鏡を使ったりしながら行います。

ミラーセラピーは、運動パフォーマンスと運動機能の向上に有効であることが知られています(Thieme H, 2018)。

以下、2011年以降に出版された、情報の信頼性が高いランダム化比較試験からの情報です。

病期別に見ると、急性期では両側上肢訓練(Chan WC, 2018)や鏡を使わない同じ練習(Antoniotti P, 2019)と比べると際立って有効とは言えないという報告がされており、ミラーセラピーを選択しなければいけない理由はなさそうです。

また、回復期ではミラーセラピーは他のリハビリに追加で実施すると有効であるという報告がされています(Schick T, 2017; 複合性局所疼痛症候群(手の強い痛みやむくみ)を合併した方が対象:Pervane Vural S, 2016)。

さらに、慢性期ではホームエクササイズとして使用することの有効性が示されています(Hsieh YW, 2018; Michielsen ME, 2011)。

ミラーセラピーは、セラピストとの個別セラピーで行う必要がある課題指向型訓練やCI療法と異なり、患者さんひとりでも実施できるのがメリットです。

これらのことから、回復期や慢性期でミラーセラピーを行うのであれば自主トレーニングとして提案するのが良いのではないかと思います。

ミラーセラピーについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

2024〜2026年の追加エビデンス(補完):2025年のシステマティックレビュー+メタアナリシスでは、ミラーセラピーが脳卒中後の上肢痙縮(つっぱり)に対して中等度の改善効果を示すことが新たに確認されました(Tekeoğlu Tosun A, 2025)。

Thieme H(2018)が示した「運動機能改善」に加えて「痙縮改善」という新たな効果が確認された形です。

さらに2025年の3群RCT(120名)では、CI療法とミラーセラピーは通常リハに対していずれも有意に優れ、両者の間に大きな差はないことが示されました(de Sire A, 2025)。

CI療法の対象にならない重度麻痺の方でも、ミラーセラピーは引き続き第一選択として推奨できます。

運動イメージ療法

運動イメージ療法は、頭の中で手足を動かしているところを想像するリハビリです。

一人称イメージと三人称イメージ
一人称イメージは自分の身体を動かしている時の筋肉の感覚をイメージするのが主になるのに対し、三人称イメージは誰かが運動しているところを視覚的に観察するイメージが主になります。一般的には、一人称イメージの方が「運動実行中の脳活動に近い脳活動が得られる」とされており、一人称イメージが推奨されています。

運動イメージ療法は上肢に対する有効性が報告されており、2024年の系統的レビュー(29RCT)でも、上肢の運動機能(Fugl-Meyer・Wolf Motor Function Test・Box and Block Test)の改善が確認されています(Prasomsri J, 2024)。

他のリハビリに追加して行うと、運動パフォーマンスにも運動機能にも有効であることが示されています(Barclay RE, 2020)。

一方、急性期・回復期においては運動機能の向上には有効とされていますが、運動パフォーマンスの向上には有効とは言えない、という結果になっています。

また、現時点では運動イメージ療法だけで効果を期待するのは難しく、他のリハビリに追加してはじめて有効になることがわかっています。

なお、運動イメージ療法は単独使用ではなく、課題指向型訓練やCI療法・神経筋電気刺激と組み合わせると有意な効果が得られます。

2024年のメタアナリシスでは、課題指向型訓練の「直前」に運動イメージを行う「運動イメージ・プライミング」が、活動面(SMD 0.48)・運動機能障害面(SMD 0.51)ともに有意な改善をもたらすことが示されました(Dorsch S, 2024)。

ですので、CI療法+運動イメージ療法や、神経筋電気刺激+運動イメージ療法のようにプログラムを組むことを考えましょう。

運動イメージ療法について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

2024〜2026年の追加エビデンス(補完):2026年にはBCI(ブレイン・コンピュータ・インターフェース)と運動イメージを組み合わせた介入のメタアナリシス(8RCT・357名)が公表され、ADLで大きな改善(SMD 1.47、p=0.003)が示されました(Lin Y, 2026)。

BCIと運動イメージの組合せは、本記事末尾の「BCIとロボット」セクションでも詳述します。

運動観察療法

運動観察療法は、iPadなどのタブレット端末やテレビ画面などを観ながら誰かが運動しているところをみるリハビリです。

先ほど一人称的イメージ、三人称的イメージの説明をしましたが、運動観察療法は三人称的イメージになります。

運動観察療法は、上肢の運動パフォーマンス・運動機能に対して有効であることが報告されています(Borges LR, 2022)。

注意点としては、60歳未満の患者さんには有効であるものの、60歳以上の患者さんには有効と言えなくなるということ、また最低でも3分以上の観察が必要であることなどが挙げられます。

一方で、ホームエクササイズとしても有効であると報告されているので、タブレット端末をお持ちの患者さんには自主トレーニングとして行なっていただくのも良いのではないかと思います。

2024〜2026年の追加エビデンス(補完):2025年のシステマティックレビュー(18研究・336名を収録)のうち、9本のRCT(239名)をまとめたメタアナリシスでは、運動観察療法と運動イメージ療法を組み合わせた「AO+MI練習」が、Fugl-Meyer上肢スコアおよびARATで中等度の改善効果(SMD=0.70、95%CI 0.32〜1.09、p=0.003)を示しました(Lin D, 2025)。

従来の通常リハビリ+AO+MI という形で追加するのが最も効果的と結論づけられています。

ビデオで模範動作を見る+頭の中で動かすイメージをする、という安全な方法なので、自主トレの時間にも応用できます。

ストレッチ

運動療法の王様と言っても過言ではない、筋トレと並んでよく行われるリハビリです。

全国的に、どの病院・施設でもまだまだ行われていると思います。

ストレッチは関節可動域制限(以下、ROM制限)を改善させる目的で行われることが多いですが、上肢に対しては、どの病期でも(つまり急性期でも回復期でも慢性期でも)有効とは言えない、とされています(Salazar AP, 2019)。

一方で、痙縮に対しては有効であることが報告されています。

したがって、痙縮を改善させる目的にストレッチを行うのであれば意味があると考えられます。

ただし注意点があります。

ストレッチにより痙縮が改善したと報告する研究は、多くはストレッチングデバイスを用いているという点です。

ストレッチングデバイスとは、機械などの力を利用して強制的に手指伸展・手関節背屈させるもので、正確な伸張を起こします。

臨床的に行われるストレッチはセラピストの手によって行われるものですが、この ”徒手的なストレッチ” によって痙縮が改善したという報告(かつ情報の信頼性が高いもの)は調べる限り見つかりません。

ですので、セラピストが行う徒手的なストレッチではROM制限にも痙縮にも効果があるとは言えず、痙縮を改善させることを目的にストレッチをするのであればデバイスを用いる必要がある、と言えます。

脳卒中リハビリとしてのストレッチ研究は意外と少ない
ストレッチ研究は研究数が少ないのも特徴のひとつです。一般的に行われるリハビリなので、すでに研究し尽くされているのか思いきや、全然そんなことありません。Salazar AP(2019)はシステマティックレビュー研究にて脳卒中患者さんの上肢の痙縮やROM制限に対するストレッチの効果を調べたランダム化比較試験を集めましたが、痙縮をアウトカムにした研究は3件、ROMをアウトカムにした研究は7件しか見つかりませんでした。それぞれの研究の対象者数も少なく、今後の研究が増えてくれば、結果が変わる可能性もあります。私たち現代のセラピストも含め、多くの臨床家が有効性について検証しないまま「一般的なリハビリ」として行ってきたリハビリであるといえます。

筋力トレーニング

筋力トレーニングというと、一般的にダンベルやチューブを使った運動をイメージすると思います。

ただ、脳卒中患者さんは運動障害の影響で負荷の高い運動を行えない方もいらっしゃいます。

そのため、筋肉をしっかりはたらかせる電気刺激や、負荷をかける課題指向型訓練なども「筋力トレーニング」に含まれるとされています。

筋力トレーニングは、脳卒中後の筋力・身体機能を改善することがCochrane Database of Systematic Reviewsの2025年版でも改めて確認されています(Saunders DH, 2025)。

具体的には、発症6ヶ月未満で「抗重力位で全可動域を動かすことができるが正常な筋力ではない」患者さんに対して特に有効とされてきました(Ada L, 2006の原典は2025年Cochraneに統合されています)。

一方、急性期や慢性期、また回復期でも「抗重力位で全可動域を動かすことができない」患者さんに対しては有効とは言えない、とされています。

加えて、発症3ヶ月以内に始める筋トレは有効とは言えない、という報告もあります(Salter K, 2016)。

また、筋トレによって筋力が向上しても、運動パフォーマンスの向上には有効と言えないという報告があります(Dorsch S, 2018)。

つまり、筋トレは発症3〜6ヶ月で「抗重力位で全可動域を動かすことができない」患者さんの「筋力」を向上させる上で有効ですが、それがリーチ動作やグラスプ動作などにつながるとは言い難い、ということです。

筋力トレーニングについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

2024〜2026年の追加エビデンス(補完):従来は「麻痺側を鍛えると連合反応が出て悪化する」という考え方もありましたが、2025年Cochraneでは筋力トレーニングで重い有害事象は報告されておらず、適切な強度管理のもとで実施することが大切です(Saunders DH, 2025)。

2024年のRCTでは、非麻痺側(健側)への4週間の一側性筋力トレーニングが、健側の握力・筋厚を高めるだけでなく、麻痺側のFugl-Meyer上肢スコアも有意に改善し、サルコペニア予防にも寄与することが示されました(Feng T, 2024)。

さらに2024年のロボット併用RCT(34名)では、ロボットによる抵抗運動が援助的運動より上肢機能を有意に改善することも示されています(Jeon SY, 2024)。

Dorsch S(2018)の「筋力↑が必ずしも運動パフォーマンス↑につながらない」という結論は2026年も依然として重要で、「筋力訓練だけ」ではなく「課題指向型訓練と組み合わせる」ことが推奨されます。

ボバース・コンセプト

ボバース・コンセプトは日本で古くから利用されている概念です。

しかし、近年ではその有効性について否定的なデータが数多く報告されています(詳しくはこちらの記事をご覧ください)。

患者様・ご利用者様がボバースの効果について理解された上でボバースを受けることは否定しませんが、効果について説明されないままボバースを受けさせられるのは患者様・ご利用者様に損失を与えることになるので注意が必要です。

事実(研究でわかっていること)

2023年に発表された、複数の研究をまとめた分析では、同じ時間だけ練習した場合で比べると、腕を使う動作では、ボバースより「課題特異的訓練」(実際の動作そのものを練習する方法)の方が良い結果でした(Dorsch, 2023)。

2009年と2020年に発表された別の分析でも、ボバースがほかの方法より優れているという根拠は見つかっていません(Kollen, 2009、Díaz-Arribas, 2020)。

2020年の分析では、腕の動きについては、麻痺した手をたくさん使う練習(CI療法など)の方が良いという中程度の根拠がある、とされています。

BRAINの判断!

誤解してほしくないのは、「効かない」と言っているわけではない、ということです。

言えるのは、「ほかの方法より優れているとは示されていない」ということです。

大事なのは、手技の名前より「何を、どれだけ練習するか」だとBRAINは考えています。

ボバースをめぐる最近の議論は、提唱された “ボバースの廃止” とそれを巡る2024年の議論で紹介しています。

認知神経リハビリテーション(Perfetti法)

認知神経リハビリテーション(ペルフェッティ法とも呼ばれます)についても、研究を紹介します。

事実(研究でわかっていること)

2012年に発表された、発症まもない40人の研究では、認知神経リハビリと通常の作業療法を同じ時間(1日30分・週5回・4週間)行って比べたところ、腕と手の働きに差はありませんでした(Chanubol, 2012)。

2026年に発表された、認知神経リハビリの研究をまとめた分析では、集まった研究は4つだけで、しかも小規模なものが中心でした(Ochandorena-Acha, 2026)。

著者は「はっきりした結論は出しにくい」としつつ、いくらかの臨床的な利点がある可能性にも触れ、よく計画された研究が必要だとしています。

2025年に発表された研究では、課題指向型訓練だけのグループより、認知神経リハビリ(またはミラーセラピー)を加えたグループの方が改善し、その2つの間には差がなかったと報告されています(Fernández-Solana, 2025)。

練習時間がそろえられていたかは、要旨からはわかりません。

BRAINの判断!

認知神経リハビリについても、現時点で言えるのは「ほかの方法より優れているとは示されていない」というところまでだとBRAINは考えています。

プライミング

プライミングは、上肢のリハビリ効果を高める先行刺激です。

Stoykov ME(2015)によると、プライミングは下記の5つに分かれます。

  • Stimulation-based priming(刺激に基づくプライミング)
  • Motor imagery and action observation(運動イメージと運動観察)
  • Sensory priming(感覚プライミング)
  • Movement-based priming(動きに基づくプライミング)
  • Pharmacological priming(薬理的プライミング)

詳しくはこちらの動画でも解説しています↓

脳卒中後の運動障害についてはメカニズムが徐々に明らかになってきており、運動障害の原因として『皮質脊髄路の興奮性低下』が挙げられています。

運動障害の原因についてはこちらの記事をご覧ください。

プライミングを実施することによって皮質脊髄路の興奮性が上がることが多くの研究で報告されています。

つまり、上肢リハビリの前にプライミングを実施することによって、上肢を支配する皮質脊髄路の興奮性が上がり、腕や手を動かしやすくすることができる、ということです。

プライミングについて簡単に解説します。

2024〜2026年の追加エビデンス(補完):2024年の系統的レビュー+メタアナリシス(24RCT・803名)では、課題指向型訓練の前に行う「非刺激性プライミング」のうち、運動イメージ・プライミングのみが有意な上乗せ効果を示しました(活動 SMD 0.48、機能障害 SMD 0.51、Dorsch S, 2024)。

一方、運動観察プライミング・動きベースプライミング・有酸素運動プライミングは、現時点では有意差を示していません。

「自主トレや訓練の直前に、頭の中でその動作をイメージする習慣」を取り入れることが、2026年時点で最もエビデンスのあるプライミング戦略です。

Stimulation-based priming(刺激に基づくプライミング)

反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)や経頭蓋直流電気刺激(tDCS)などを使って、脳の活動性をコントロールするプライミングです。

BRAIN世田谷店舗のTMS

特にrTMSについては安定した効果が報告されており、BRAIN世田谷店舗でも導入し、医師管理下のもと実施しています。

TMSにつきましてはこちらの記事をご覧ください。

Motor imagery and action observation(運動イメージと運動観察)

運動イメージや運動観察を使ったプライミングです。

運動イメージや運動観察をすることによって、皮質脊髄興奮性が上がることが報告されています。

上述の通り、運動イメージや運動観察は単独で使うのではなく、他のリハビリと併用すべきなのですが、リハビリ前に実施することでプライミングとして活用できます。

Sensory priming(感覚プライミング)

電気刺激や振動刺激を使ったプライミングです。

感覚プライミングについては、リハビリ前に行うだけでなく、リハビリと併用しながら実施することで有効性を報告した研究もあります。

2025年のRCT(48名、4週間介入)では、修正CI療法(mCIMT)の実施中に感覚閾値レベルの体性感覚電気刺激(St-SES)を併用した群で、上肢の感覚機能が有意に改善しました(p<0.001、Mete E, 2025)。

「感覚を先に呼び起こしてから運動する」という感覚プライミングの考え方は、最新のRCTでも支持されています。

Movement-based priming(動きに基づくプライミング)

両手動作、片手動作、有酸素運動を使ったプライミングです。

特に、有酸素運動は上下肢の皮質脊髄興奮性を高めるだけでなく、脳由来神経栄養因子(BDNF)の増加を引き起こすことも報告されており、あらゆるリハビリのベースアップとしての活用が期待されています。

重度麻痺・弛緩性麻痺にも届く新しいリハビリ【2026年版追加】

「手が全く動かない」「指が曲げられない」といった重度の麻痺・弛緩性麻痺は、CI療法などの従来リハビリの対象外になることが多く、長くリハビリの選択肢が限られていました。

しかし2024〜2026年に、重度麻痺に対する新しい選択肢が次々と確立されてきています。

ここでは、前述の「重症度別の比較表」で示した区分のうち、特に重度(FMA-UE 0〜25点)の方に届く新しい刺激療法を紹介します。

健側制御型電気刺激(CCFES)

健側(動く方)の手を開く・閉じるに合わせて、麻痺側の手にも同じタイミングで電気刺激が入る装置です。

「自分の意思で動かしているように感じられる電気刺激」のため、脳の運動イメージと運動出力を結び直す効果が期待できます。

2026年にStroke誌で報告された4施設132名の多施設RCTでは、発症6〜24か月の中等度〜重度の手の麻痺を持つ方に対して、CCFESはFugl-Meyer上肢スコアを通常の電気刺激より平均4.4点、課題指向型訓練のみより平均3.7点高く改善させました(Knutson JS, 2026)。

迷走神経刺激(VNS)+リハビリテーション

首の左側にある迷走神経を、小型の埋め込み装置で短時間刺激しながらリハビリを行う方法です。

2021年にFDAに承認されたVivistim(R)がその代表で、国内でも一部施設で導入が始まっています。

2025年のStroke誌に報告された多施設RCT(19施設・108名)の事後解析(盲検なし・1年追跡を完了した74名)では、開始時と比べてFugl-Meyer上肢スコアが平均+5.23点(95%CI 4.08〜6.39)、Wolf Motor Function Testも有意に改善し、改善は1年後まで持続することが確認されました(Kimberley TJ, 2025)。

対象は「慢性期で中等度〜重度の上肢麻痺がある方」です。

電磁場刺激(EMAGINE試験)

非侵襲的な低強度の電磁場刺激(ENTF)を、BCIと連動させながら脳のネットワーク全体に照射する新しい方法です。

米国15施設で行われた2025年の多施設・二重盲検・偽刺激対照RCT(EMAGINE試験)では、発症4〜21日の中等度〜重度の障害を持つ患者に1回1時間・週5回・計45回の介入を発症90日以内に行いましたが、障害度(mRS)の改善はsham群と比べて統計的に有意な差はありませんでした(試験は途中で中止。安全性は確認)(Saver JL, 2025)。

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自宅でできる上肢の自主トレ・遠隔リハビリ【2026年版追加】

退院後、「通院できる回数が限られる」「病院のリハビリだけでは足りない」と感じる方は多いはずです。

2024〜2026年は、自宅リハビリ・遠隔リハビリのエビデンスが大きく前進した時期でもあります。

在宅リハビリは「通常ケア」より有意に良い

2025年のPhysical Therapy誌に掲載された、46研究・34研究がメタアナリシスに組み込まれた系統的レビューでは、自宅リハビリは「通常ケア」群に対してADL自立度で SMD=1.24(95%CI 0.69〜1.79)と大きな改善効果を示しました。

また病院ベースのリハビリと比較しても同等(SMD=0.17、有意差なし)であり、退院後は積極的に自宅でのリハビリを継続するべきと結論されています(Do Y, 2025)。

自宅VR(バーチャルリアリティ)訓練

2025年のJournal of Medical Internet Researchに掲載された系統的レビュー(8RCT・392名)では、自宅VR訓練が上肢機能の回復とADL、モチベーション(自主トレ継続率)を改善することが確認されました(Huang J, 2025)。

また既存の系統的レビューを統合した2025年のアンブレラレビュー(Rampioni M, 2025)でも、eHealth(VR/スマホアプリ/タブレット)ベースの介入は、従来リハビリと組み合わせると効果が期待でき、「手軽・低コスト・楽しく続けられる」利点がある一方、単独での効果はまだはっきりしないと報告されています。

「紙の運動プログラム」でも効果は出る

2025年のJournal of the American Heart Association誌に掲載されたRCT(Rehabilitation Your Way試験・43名)では、オンライン自主トレ(STRONG)と紙の運動プログラム(PEP)の両方で、Fugl-Meyer上肢スコアが同程度に改善しました(STRONG +1.8〜3.3点、PEP +1.9〜2.1点、Westlake KP, 2025)。

重要なのは「特定の機器」ではなく「自分の状態に合った内容を、続けられる形で自宅で練習できるプログラムがあること」です。

必要な練習の量は人によって大きく違うため(Gauthier, 2024)、量は担当のセラピストと一緒に決めてください。

自主トレは、やり方で結果が分かれる

自主トレは、練習の量を増やすための大切な方法です。

事実(研究でわかっていること)

2021年に発表された、35の研究(約2,200人)をまとめた分析では、自分で行うリハビリは、通常のリハビリと比べて効果に差がありませんでした(同じくらいの結果)(Everard, 2021)。

腕と脚の研究を合わせた結果で、腕を使う活動だけを見た16の研究でも、差はありませんでした。

2022年に発表された分析では、専門家が組んだ練習を自宅で行った場合、通院して施設で行う練習と、腕の動きや手の器用さの改善は同じくらいでした(Nascimento, 2022)。

ただし、ここでの自宅練習の多くは、専門家の見守りが一部入ったものでした。

一方、2020年に発表された分析では、専門家の見守りなしで、自宅で一人で行う腕の練習は、何もしない場合と比べて差が出ませんでした(Wong, 2020)。

調べられたのは、発症から時間がたち、麻痺が重い人が中心です。

2016年の国際的な分析では、家族が手伝う形の練習で、腕や手の働きにはっきりした効果は確認されませんでした(Vloothuis, 2016)。

腕の動作の速さでは、むしろ通常どおりのグループの方が良いという、質の低い結果もありました。

BRAINの判断!

自宅での練習の研究は、比べる相手(通常のリハビリ・通院での練習・何もしない)や、見守りの有無によって結果が分かれています。

差が出た研究には、「その人に合わせて組まれている」「続けられる支えがある」という共通点があるように見えます(BRAINの見立てです)。

続けるコツ:段階づけ・見守り・記録

事実(研究でわかっていること)

2009年にカナダで発表された研究では、入院中の人が、通常のリハビリに加えて、その人に合わせて段階をつけた自主トレ(GRASP)を4週間行ったところ、生活の中での腕と手の使いやすさが、説明(教育)だけを受けた人より大きく改善しました(Harris, 2009)。

その差は、発症5か月の時点でも保たれていました。

2021年に発表された研究では、理学療法士が週1回訪問し、週1回電話で確認する形の自宅練習で、生活の中で両手を使う動作のしやすさ(本人の感じ方)が、研究としての練習をしなかった人たちより良くなりました(Niama Natta, 2021)。

最後までやり切ったのは、自主トレのグループの72%でした。

2023年に発表された、自宅練習の研究をまとめた分析では、練習記録を毎週回収していた研究では、記録のつけ忘れが少なかったと報告されています(Westlake, 2023)。

著者は、自宅練習には「はっきりした指示」と「週1回くらいの連絡」をすすめています。

高い機器は、必須ではない

事実(研究でわかっていること)

2017年に発表された研究では、家庭用ゲーム機(Wii)を使った練習は、自宅での腕の運動と比べて腕の機能に差がなく、費用は高くなりました(Adie, 2017)。

表:自主トレの研究(差が出た条件・出なかった条件)
研究やり方比べた相手結果
Everard 2021自分で行うリハビリ(病院内も含む)通常のリハビリ差なし(同じくらい)
Nascimento 2022専門家が組んだ練習を自宅で(多くは一部見守りあり)通院しての練習同じくらい(要旨で確認)
Wong 2020見守りなしで、自宅で一人で何もしない差なし(慢性期・重い人が中心)
Vloothuis 2016家族が手伝う(セラピストが指導)通常どおりはっきりした効果なし(要旨で確認)
Harris 2009段階をつけた自主トレ(入院中・上乗せ)説明(教育)のみ改善が大きく、発症5か月でも差が続いた(要旨で確認)
Niama Natta 2021週1回の訪問+週1回の電話で確認研究としての練習なし両手動作のしやすさ(本人の感じ方)が良好
Westlake 2023練習記録を毎週回収終わりにまとめて回収した研究記録のつけ忘れが少ない

麻痺の重さ別:自宅でできることの例(BRAINの提案)

BRAINの提案(研究で決まった型ではありません)

重い(指がほとんど動かない):運動イメージ(頭の中で動きを練習する方法)、ミラーセラピー、腕を支えた状態からの練習。

中くらい(少し握れる・少し開ける):タオルやボールなど身近な道具で「つかむ・離す」を練習。

軽い(動くけれど生活で使いにくい):使う場面を決めて、できたかどうかを記録する(例:「朝のコップは麻痺した手で持つ」「ドアノブは麻痺した手で回す」)。

どれも、自分の手の状態に合うかを担当のセラピストと確認してから始めてください。

何分・何日やればよいかは、誰にでも当てはまる答えが研究でも出ていません。

必要な量は人によって違うため、量は担当のセラピストと一緒に決めてください(上の「リハビリの量」も参考にしてください)。

指が開きにくい方の自宅での工夫は片麻痺の手のリハビリ|手指が開かない・握れない重度麻痺向け、自宅で行うCI療法は脳卒中リハビリにおける上肢の自主トレ:ホームCI療法、生活の道具の工夫は片麻痺で片手生活の工夫|箸・ボタン・スマホ・自助具でも紹介しています。

BCI(ブレイン・コンピュータ・インターフェース)とロボット【2026年版追加】

脳の活動を直接リハビリ機器に反映させるBCI/BMI(ブレイン・コンピュータ・インターフェース/ブレイン・マシン・インターフェース)は、この数年で臨床応用が急速に進みました。

BRAINでも導入しており、特に「他の方法では改善しにくい重度麻痺」に有力な選択肢として使っています。

BCIリハビリの2026年メタアナリシス

2026年Neurosurgical Focus誌に掲載されたメタアナリシス(32RCT・1187名)では、非侵襲的BCIリハビリが従来リハビリよりもFugl-Meyer上肢スコアで平均+3.85点(95%CI 2.84〜4.86、p<0.01)の改善を示し、フォローアップ時点でも効果が持続することが確認されました(Mortezaei A, 2026)。

また同じく2026年の発症3か月以内の早期脳卒中を対象としたメタアナリシスでも、BCIリハビリは上肢機能を有意に改善し、ADLの改善や安全性については「可能性はあるが根拠はまだ弱い」と報告されています(Wei JX, 2026)。

BCI連動型ソフトロボットグローブ

脳の活動(EEG)に合わせて、麻痺した手にはめたソフトロボットグローブが開閉する方法です。

2025年のJournal of NeuroEngineering and Rehabilitation誌のRCT(40名・亜急性期)では、BCI連動グローブ群がグローブ単独群より、ARAT(Z=−2.14、p=0.032)・Fugl-Meyer上肢(Z=−2.59、p=0.010)で有意に優れた改善を示しました(Ji X, 2025)。

ロボットリハビリの2025年アンブレラレビュー

2025年のアンブレラレビューでは、上肢ロボット療法(Robot-Assisted Therapy:RAT)は単独でも併用でも、脳卒中後の上肢機能(Fugl-Meyer上肢スコア)を統計的に有意に改善しましたが、改善幅は臨床的に意味のある差の目安には届かず、ADLの改善は通常リハビリへの上乗せとして行った場合のみ有意でした(Park JM, 2025)。

ただし「人が一緒に行う従来リハビリに上乗せしたとき」が最も効果的で、ロボット単独で人を置き換える形では効果が小さくなります。

反復末梢磁気刺激(rPMS)と他の新興刺激療法【2026年版追加】

2024〜2026年は「磁気刺激」の使い方が大きく広がった時期でもあります。

従来の反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)に加えて、末梢(手や腕の筋肉・神経)に磁気刺激を入れる反復末梢磁気刺激(rPMS)が一般化してきました。

2025年に Frontiers in Neurology 誌に掲載された系統的レビュー+メタアナリシス(12RCT・492名)では、rPMSが脳卒中後の上肢運動機能と日常生活の自立度を改善することが示されました。一方、痙縮(つっぱり)の軽減には有意な効果がみられませんでした(Liu J, 2025)。

rPMSは皮膚表面から磁場を当てるため、皮膚刺激・痛みが少なく、電気刺激が苦手な方にも選択肢になります。

担当のセラピストに聞いてほしい3つの質問

最後に、今リハビリを受けている方に、担当のセラピストに聞いてほしい質問を3つお伝えします。

BRAINからの提案です

1. 「このリハビリの目的は何ですか?」

今の練習が、時期・重さ・原因のどこに向けたものかを知ると、自主トレの意味もはっきりします。

2. 「どのくらい続けたら、効果が出ているか判断できますか?」

いつ、何で判断するかを決めておくと、練習を続けるか、変えるかを選べます。

3. 「家では何をすればいいですか?」

リハビリの時間だけでは、量はどうしても足りないため、自分に合った自主トレを具体的に聞いてください。

事実(質問2に関わる研究)

2024年に発表された研究では、練習を始めてから5時間以内のデータで、その練習に効果が出るかどうかを93%の精度で見分けられました(Gauthier, 2024)。

ただし、どこまで伸びるかまでは、多くの場合予測できませんでした。

遠慮せずに聞いて大丈夫です。

もし説明に納得できない場合は、外来や保険外のリハビリで、別の専門家の意見(セカンドオピニオン)を聞くという方法もあります。

上肢リハビリにおけるベスト・プラクティス

脳卒中後の上肢リハビリテーションには色々なリハビリ方法があります。

2024〜2026年の最新エビデンスを総合して考えると

  • プライミング
  • 上肢4大リハビリ

を組み合わせて実施するのがベストなのではないかと思います。

上肢4大リハビリとは、有効性についてコンセンサスが得られている課題指向型訓練、CI療法、電気刺激療法、ミラーセラピーのことです。

また、

  • 運動障害の原因分析(病態解釈)

も重要だと考えています。

近年の脳科学の進歩により、脳卒中後の運動障害の原因が明らかになりつつあります(詳しくはこちらの記事をご覧ください)。

患者様・ご利用者様ひとりひとりの運動障害の原因を推察し、原因に合わせて4大リハビリのいずれを行うべきか判断するのがよいと考えています。

BRAINは保険外リハビリを慢性期(発症6ヶ月以降)の脳卒中でお困りの方へ提供しています。

まずは脳画像や行動記録などから運動障害の原因を分析(病態解釈)し、原因に合わせてプライミングの方法(rTMS、運動イメージ療法、振動刺激など)や上肢4大リハビリの方法(課題指向型訓練、CI療法、電気刺激、ミラーセラピー)を選定し、ご利用者様ひとりひとりに合わせてリハビリプログラムをカスタマイズしています。

セラピストはリハビリのプロ/専門家

自分の好きなリハビリ、嫌いなリハビリ、があるセラピストもいるかもしれません。

私自身、以前は「好きなリハビリ」「自分が正しいと思うリハビリ」を追求しようとしていました。

ですが、それは患者さんのためではなく、自分のためのリハビリになっていたのではないかと反省しています。

セラピストは国家資格を持つ、リハビリのプロフェッショナルです。

プロとして、「患者さんにとって最善のリハビリ」を提供できるようにしておくことが責任だと思います(自戒を込めて、です)。

そのために、セラピストはあらゆるリハビリのエビデンスを押さえておきたいですね。

上肢のリハビリテーションでお困りの方々にとって役に立つ情報になれば幸いです。

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BRAINリハビリのポイント
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手や腕の変化、実際にあった方がいます

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BRAINでは、その変化の様子(ビフォーアフター)を公開しています。

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よくある質問

Q. 手の麻痺は、いつまで回復しますか?

A. 回復のスピードが一番速いのは、発症から最初の数週間です(Nakayama, 1994)。

ただし2020年の研究では、全体として12〜18か月まで改善が続き、24か月でも改善している人がいました(Borschmann, 2020)。

何年もたってから指が動き始めた記録(症例報告)もあります。

Q. 指がまったく動かなくても、リハビリの意味はありますか?

A. 2016年の研究では、発症1週間ほどの時点で指を伸ばせなかった100人のうち45人が、半年後に小さな物をつまみ上げられるようになりました(Winters, 2016)。

重い麻痺の方では、同じ量の別の練習よりはっきり優れた方法はまだ見つかっていません(Doumen, 2023)。

BRAINの考え:方法の名前で決めず、手の状態に合わせて組み合わせを考えることが大切です。

Q. 自主トレは、毎日何分やればいいですか?

A. 誰にでも当てはまる時間は、研究でもわかっていません。

必要な練習量は人によって大きく違う、という研究があります(Gauthier, 2024)。

量は、担当のセラピストと一緒に決めてください。

Q. ボバースは、受けない方がいいですか?

A. 研究では、ボバースが「効かない」とは言えませんが、「ほかの方法より優れている」とも示されていません(Dorsch, 2023 ほか)。

BRAINの考え:手技の名前より、何をどれだけ練習するのかを担当者と確認するのがおすすめです。

参考文献

Saikaley M, Pauli G, Sun H, Serra JR, Iruthayarajah J, Teasell R. Network Meta-Analysis of Non-Conventional Therapies for Improving Upper Limb Motor Impairment Poststroke. Stroke. 2022 Dec;53(12):3717-3727.

Tenberg S, Mueller S, Vogt L, Roth C, Happ K, Scherer M, Behringer M, Niederer D. Comparative Effectiveness of Upper Limb Exercise Interventions in Individuals With Stroke: A Network Meta-Analysis. Stroke. 2023 Jul;54(7):1839-1853.

French B, Thomas LH, Coupe J, McMahon NE, Connell L, Harrison J, Sutton CJ, Tishkovskaya S, Watkins CL. Repetitive task training for improving functional ability after stroke. Cochrane Database Syst Rev. 2016 Nov 14;11(11):CD006073.

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Salter K, Musovic A, F Taylor N. In the first 3 months after stroke is progressive resistance training safe and does it improve activity? A systematic review. Top Stroke Rehabil. 2016 Oct;23(5):366-75.

Dorsch S, Ada L, Alloggia D. Progressive resistance training increases strength after stroke but this may not carry over to activity: a systematic review. J Physiother. 2018 Apr;64(2):84-90.

Stoykov ME, Madhavan S. Motor priming in neurorehabilitation. J Neurol Phys
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(2026年版で追加した参考文献)

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  2. Ibrahim R et al. Intensity of task-specific training for functional ability post-stroke: Systematic review and meta-analysis. Clinical Rehabilitation. 2025. PubMed
  3. Hansen RJ et al. Effectiveness of modified constraint-induced movement therapy on upper limb function of stroke survivors in inpatient hospital settings: a systematic review and meta-analysis. Disability and Rehabilitation. 2025. PubMed
  4. Jiang T et al. tDCS Combined with CIMT for Post-stroke Upper Extremity Rehabilitation: A Systematic Review and Meta-Analysis. NeuroRehabilitation. 2025. PubMed
  5. Sanchez L et al. Effectiveness of constraint-induced movement therapy (CIMT)-Telerehabilitation compared to traditional CIMT on upper extremity dysfunction of adult chronic stroke patients. Physiotherapy Research International. 2024. PubMed
  6. Mete E et al. Integrating modified constraint-induced movement therapy with sensory threshold somatosensory electrical stimulation in stroke rehabilitation: A randomized controlled clinical trial. PM&R. 2025. PubMed
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  8. Keesukphan A et al. Effects of electrical and magnetic stimulation on upper extremity function after stroke: A systematic review and network meta-analysis. PM&R. 2025. PubMed
  9. Knutson JS et al. Contralaterally Controlled Functional Electrical Stimulation for Upper Extremity Recovery Following Stroke: A Multisite Randomized Controlled Trial. Stroke. 2026. PubMed
  10. Tekeoğlu Tosun A et al. The effect of mirror therapy on spasticity in adult patients with stroke: a systematic review and meta-analysis. Topics in Stroke Rehabilitation. 2025. PubMed
  11. Prasomsri J et al. Effectiveness of Motor Imagery on Physical Function in Patients With Stroke: A Systematic Review. Motor Control. 2024. PubMed
  12. Dorsch S et al. Motor imagery priming improves activity and impairment outcomes in people after stroke but the effects of other types of priming are unclear: a systematic review. Journal of Physiotherapy. 2024. PubMed
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  23. Rampioni M et al. Poststroke eHealth Technologies-Based Rehabilitation for Upper Limb Recovery: Systematic Review. Journal of Medical Internet Research. 2025. PubMed
  24. Westlake KP et al. Rehabilitation Your Way: A Randomized Trial Comparing 2 Home-Based and Self-Managed Programs After Stroke. Journal of the American Heart Association. 2025. PubMed
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  27. Ji X et al. Effects and neural mechanisms of a brain-computer interface-controlled soft robotic glove on upper limb function in patients with subacute stroke: a randomized controlled fNIRS study. Journal of NeuroEngineering and Rehabilitation. 2025. PubMed
  28. Park JM et al. Effects of Robot-Assisted Therapy for Upper Limb Rehabilitation After Stroke: An Umbrella Review of Systematic Reviews. Stroke. 2025. PubMed
  29. Liu J et al. Efficacy of repetitive peripheral magnetic stimulation on upper limb motor function after stroke: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Frontiers in Neurology. 2025. PubMed

動画「片麻痺の手のリハビリ完全解説」の章別 参考文献(2026年10月追加)

この章別リストは、BRAINが論文のデータベースなどで8,000件以上の記録を調べ、条件に合った2,436本の研究から、動画とこの記事の内容に関わる論文を章ごとにまとめたものです。

上の参考文献リストと重なる論文も、章ごとに探せるよう再掲しています。

手が回復する道筋・回復の見通し(動画 0:45〜/1:45〜)

  1. Nakayama H et al. Recovery of upper extremity function in stroke patients: the Copenhagen Stroke Study. Arch Phys Med Rehabil. 1994;75(4):394-8. PubMed
  2. Kolmos M et al. Upper-extremity motor recovery after stroke: A systematic review and meta-analysis of usual care in trials and observational studies. J Neurol Sci. 2025;468:123341. PubMed
  3. Borschmann KN et al. Recovery of upper limb function is greatest early after stroke but does continue to improve during the chronic phase: a two-year, observational study. Physiotherapy. 2020;107:216-223. PubMed
  4. Coupar F et al. Predictors of upper limb recovery after stroke: a systematic review and meta-analysis. Clin Rehabil. 2012;26(4):291-313. PubMed
  5. Nijland RH et al. Presence of finger extension and shoulder abduction within 72 hours after stroke predicts functional recovery: early prediction of functional outcome after stroke: the EPOS cohort study. Stroke. 2010;41(4):745-50. PubMed
  6. Winters C et al. When Does Return of Voluntary Finger Extension Occur Post-Stroke? A Prospective Cohort Study. PLoS One. 2016;11(8):e0160528. PubMed
  7. Stinear CM et al. PREP2: A biomarker-based algorithm for predicting upper limb function after stroke. Ann Clin Transl Neurol. 2017;4(11):811-820. PubMed
  8. Lundquist CB et al. Accuracy of the Upper Limb Prediction Algorithm PREP2 Applied 2 Weeks Poststroke: A Prospective Longitudinal Study. Neurorehabil Neural Repair. 2021;35(1):68-78. PubMed
  9. Millot S et al. Prediction of Upper Limb Motor Recovery by the PREP2 Algorithm in a Nonselected Population: External Validation and Influence of Cognitive Syndromes. Neurorehabil Neural Repair. 2024;38(10):764-774. PubMed
  10. Stinear CM et al. Proportional Motor Recovery After Stroke: Implications for Trial Design. Stroke. 2017;48(3):795-798. PubMed
  11. Lee HH et al. Revisiting the Proportional Recovery Model in View of the Ceiling Effect of Fugl-Meyer Assessment. Stroke. 2021;52(10):3167-3175. PubMed
  12. Schilder JCM et al. Prognostic accuracy of transcranial magnetic stimulation-induced motor evoked potentials on recovery of upper limb: a systematic review. Front Neurol. 2026;17:1788829. PubMed

症例報告(動画 1:45〜)

  1. Jang SH et al. Delayed recovery of the affected finger extensors at chronic stage in a stroke patient: A case report. Medicine (Baltimore). 2017;96(43):e8023. PubMed
  2. Ciceron C et al. Case Report: True Motor Recovery of Upper Limb Beyond 5 Years Post-stroke. Front Neurol. 2022;13:804528. PubMed
  3. Sörös P et al. Motor recovery beginning 23 years after ischemic stroke. J Neurophysiol. 2017;118(2):778-781. PubMed

リハビリの量(動画 7:15〜)

  1. Schneider EJ et al. Increasing the amount of usual rehabilitation improves activity after stroke: a systematic review. J Physiother. 2016;62(4):182-7. PubMed
  2. Zou Z et al. Exercise intervention improves the modified Barthel index, Berg balance scale, and Fugl-Meyer assessment of upper limb motor function in stroke patients: a systematic review and meta-analysis. BMC Sports Sci Med Rehabil. 2026;18(1). PubMed
  3. Salvalaggio S et al. Predictive factors and dose-response effect of rehabilitation for upper limb induced recovery after stroke: systematic review with proportional meta-analyses. Physiotherapy. 2024;125:101417. PubMed
  4. Lohse KR et al. Is more better? Using metadata to explore dose-response relationships in stroke rehabilitation. Stroke. 2014;45(7):2053-8. PubMed
  5. Daly JJ et al. Long-Dose Intensive Therapy Is Necessary for Strong, Clinically Significant, Upper Limb Functional Gains and Retained Gains in Severe/Moderate Chronic Stroke. Neurorehabil Neural Repair. 2019;33(7):523-537. PubMed
  6. Ward NS et al. Intensive upper limb neurorehabilitation in chronic stroke: outcomes from the Queen Square programme. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2019;90(5):498-506. PubMed
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  10. Lannin NA et al. Effect of Additional Rehabilitation After Botulinum Toxin-A on Upper Limb Activity in Chronic Stroke: The InTENSE Trial. Stroke. 2020;51(2):556-562. PubMed
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  12. Alt Murphy M et al. European Stroke Organisation (ESO) guideline on motor rehabilitation. Eur Stroke J. 2025;10(4):1160-1188. PubMed

発症からの時期(動画 11:30〜)

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  3. Nijland R et al. Constraint-induced movement therapy for the upper paretic limb in acute or sub-acute stroke: a systematic review. Int J Stroke. 2011;6(5):425-33. PubMed
  4. Byblow WD et al. Enhancing spontaneous recovery after stroke: a randomized controlled trial. Brain Commun. 2026;8(2):fcag057. PubMed
  5. Kwakkel G et al. Effects of Unilateral Upper Limb Training in Two Distinct Prognostic Groups Early After Stroke: The EXPLICIT-Stroke Randomized Clinical Trial. Neurorehabil Neural Repair. 2016;30(9):804-16. PubMed
  6. Wolf SL et al. The EXCITE stroke trial: comparing early and delayed constraint-induced movement therapy. Stroke. 2010;41(10):2309-15. PubMed
  7. Stock R et al. Early versus late-applied constraint-induced movement therapy: A multisite, randomized controlled trial with a 12-month follow-up. Physiother Res Int. 2018;23(1). PubMed
  8. Mehrabi S et al. Time Post-Stroke and Upper Extremity Stroke Motor Recovery Rehabilitation: A Meta-Analysis. Neurorehabil Neural Repair. 2025;39(11):945-953. PubMed
  9. Tan J et al. A systematic review and meta-analysis of the effects of exercise training on dysfunction in acute, subacute, and chronic stroke patients. Front Neurol. 2026;17:1740742. PubMed
  10. French B et al. Repetitive task training for improving functional ability after stroke. Cochrane Database Syst Rev. 2016;11(11):CD006073. PubMed
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麻痺の重さ(動画 14:30〜)

Kwakkel 2016は「発症からの時期」の章に掲載しています。

  1. Ierardi E et al. Defining Severity Levels for Post-Stroke Upper Limb Motor Impairment and Activity Limitation: A Systematic Review. NeuroRehabilitation. 2026;58(1):3-16. PubMed
  2. Colamarino E et al. A Scoping Review of Technology-Based Approaches for Upper Limb Motor Rehabilitation after Stroke: Are We Really Targeting Severe Impairment?. J Clin Med. 2024;13(18). PubMed
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手が動かない原因(動画 17:30〜)

Stinear 2017(比例回復)は「回復の見通し」の章に掲載しています。

  1. Hunter SM et al. Functional Strength Training and Movement Performance Therapy for Upper Limb Recovery Early Poststroke-Efficacy, Neural Correlates, Predictive Markers, and Cost-Effectiveness: FAST-INdiCATE Trial. Front Neurol. 2017;8:733. PubMed
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よく行われているが根拠の弱いリハビリ(動画 22:00〜)

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  8. Huseyinsinoglu BE et al. Bobath Concept versus constraint-induced movement therapy to improve arm functional recovery in stroke patients: a randomized controlled trial. Clin Rehabil. 2012;26(8):705-15. PubMed
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自宅でできる自主トレ(動画 23:30〜)

Da-Silva 2018は「発症からの時期」の章に掲載しています。

  1. Everard G et al. Self-Rehabilitation for Post-Stroke Motor Function and Activity-A Systematic Review and Meta-Analysis. Neurorehabil Neural Repair. 2021;35(12):1043-1058. PubMed
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  5. Westlake K et al. Some home-based self-managed rehabilitation interventions can improve arm activity after stroke: A systematic review and narrative synthesis. Front Neurol. 2023;14:1035256. PubMed
  6. Harris JE et al. A self-administered Graded Repetitive Arm Supplementary Program (GRASP) improves arm function during inpatient stroke rehabilitation: a multi-site randomized controlled trial. Stroke. 2009;40(6):2123-8. PubMed
  7. Barzel A et al. Home-based constraint-induced movement therapy for patients with upper limb dysfunction after stroke (HOMECIMT): a cluster-randomised, controlled trial. Lancet Neurol. 2015;14(9):893-902. PubMed
  8. Niama Natta DD et al. Effectiveness of a self-rehabilitation program to improve upper-extremity function after stroke in developing countries: A randomized controlled trial. Ann Phys Rehabil Med. 2021;64(1):101413. PubMed
  9. Cramer SC et al. Efficacy of Home-Based Telerehabilitation vs In-Clinic Therapy for Adults After Stroke: A Randomized Clinical Trial. JAMA Neurol. 2019;76(9):1079-1087. PubMed
  10. Adie K et al. Does the use of Nintendo Wii Sports(TM) improve arm function? Trial of Wii(TM) in Stroke: a randomized controlled trial and economics analysis. Clin Rehabil. 2017;31(2):173-185. PubMed
  11. Vloothuis JD et al. Caregiver-mediated exercises for improving outcomes after stroke. Cochrane Database Syst Rev. 2016;12(12):CD011058. PubMed

更新履歴

  • 2021年9月8日:初版公開
  • 2023年:2023年版として既存10手技のエビデンスを更新
  • 2024年:2024年版としてCI療法・筋力トレーニングの関連記事を追加
  • 2026年4月21日:【2026年版】に全面アップデート。既存25件の文献は温存(Cochrane等の決定打/独自研究疑問のRCTは保持)、4件のみ最新SR/MAに統合(Ada 2006→Cochrane Saunders 2025、Guerra 2017+Park 2018→Bhattacharjya 2024、Yang 2019→Keesukphan 2025)。新規4セクション(重度麻痺・自宅リハ・BCI/ロボット・rPMS)を追加。新規参考文献を追加(参考文献は合計57件)。
  • 2026年10月:YouTube「片麻痺の手のリハビリ完全解説」に合わせ、回復の見通し・練習の量・発症からの時期・麻痺の重さ・手が動かない原因(BRAINの8分類)・自主トレ・よくある質問と、章別の参考文献(89件)を追加。麻痺の重さの区切りの説明(Ierardi 2026)、PREP2の段落の「肩」の表現、筋力トレーニングの参考文献リンク(Salter 2016)を修正。
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上肢の回復と並行して、脳梗塞リハビリ全体の進み方(急性期→回復期→生活期)と、自費リハビリという選択肢を整理しています。→ 脳梗塞のリハビリの進め方を見る