「文献検索のときに、関連する論文を“芋づる式”に見つけたい…」

PubMedで1本の良い論文を見つけたあと、その論文の引用元・引用先をたどって関連研究を網羅したい場面は多いはずです。

けれど、PubMedの「Similar articles」だけでは関連の広がりが見えにくく、引用元(References)と引用先(Cited by)を1本ずつクリックして辿るのは現実的ではありません。

そこで活用したいのが、論文同士の引用ネットワークをビジュアル化できるAIツール「ResearchRabbit(リサーチラビット)」です。

この記事では、ResearchRabbitの基本操作・3ステップでの実践フロー・他のAIツールとの使い分け・限界までを、PT・OT・STが今日から使える形で解説します。

情報の信頼性について
・本記事はBRAIN代表/理学療法士の針谷が執筆しています(執筆者情報は記事最下部)。
・本記事はResearchRabbitの公式仕様および、AIによる文献検索・引用ネットワーク解析の精度を検証した査読論文のデータを基に解説しています。

本記事の結論

  • ResearchRabbitは無料で使える「論文の引用ネットワーク可視化AI」。シードペーパー1本から関連論文を芋づる式に発見できる
  • 3ステップ(①シード登録 → ②Similar/Earlier/Later Worksで探索 → ③コレクション保存・グラフ可視化)で運用できる
  • PubMedの「網羅検索」を置き換えるツールではなく、PubMedで見つけた良い論文の“周辺”を厚くするための補助ツールとして使うのが正解

以下、詳しく解説していきます。

ResearchRabbitとは?引用ネットワークで文献を芋づる式に探すAIツール

ResearchRabbit(リサーチラビット)は、論文同士の引用関係を可視化するAI文献検索ツールです。

2025年のStanford School of Medicine Lane Medical Libraryの事例報告でも、ResearchRabbit・Connected Papers・Litmapsといった「引用ネットワーク可視化ツール」が、生成AI時代の文献発見ワークフローに組み込まれつつあると紹介されています(Huddleston & Cuddy, 2025)

また、2026年にAntioxidants & Redox Signalingで発表された生物医学AIツールの包括レビューでも、引用ネットワーク可視化はLLMベースのテキスト要約とは別系統の文献発見手段として位置づけられています(Sen, 2026)

セラピストの文献検索ワークフローで、ResearchRabbitが特に役立つのは以下の3つの場面です。

  • シードペーパーから類似論文を広げる:1本の良い論文を起点に「Similar Works(類似研究)」で関連論文を一気に拾う
  • 研究の系譜をたどる:「Earlier Works(引用元)」「Later Works(引用先)」で先行研究と後続研究を時系列で把握する
  • 研究領域の全体像を俯瞰する:論文同士のつながりをネットワーク図で可視化し、自分の臨床疑問がどの研究群に属するかを掴む

そして、ResearchRabbitの大きなメリットは「完全無料で使える」ことです。

メールアドレスを登録すれば、追加課金なしで、Similar/Earlier/Later Works、ネットワークグラフ可視化、コレクション管理、Zoteroとの連携などの主要機能をすべて使えます(2026年5月時点)。

※ ResearchRabbitに投入する「最初の1本(シードペーパー)」をPubMedで効率的に探す方法は別記事「PubMedの使い方|PT・OTのための完全ガイド」で解説しています。

ResearchRabbitの使い方|3ステップで関連論文を可視化する

ResearchRabbitの基本操作は、シンプルな3ステップに集約できます。

ResearchRabbitの3ステップ|シードペーパー登録、Similar/Earlier/Later Works探索、コレクション保存・グラフ可視化

STEP1:アカウント登録とシードペーパーの投入

ResearchRabbitの公式サイト(https://www.researchrabbit.ai/)にアクセスし、「Get Started for Free」のボタンを押します。

メールアドレスとパスワードを入力すれば、無料アカウントの登録は完了です。

ログイン後、左上の「+ Collection」を押して新しいコレクション(研究テーマごとのフォルダ)を作成します。例:「脳卒中後上肢機能」「歩行リハビリ」など、臨床疑問ごとに分けるのがおすすめです。

次に、コレクション内に「シードペーパー(出発点の論文)」を1〜数本追加します。

追加方法は3通りあります。

  • ① タイトルで検索:論文タイトルや著者名で直接検索する
  • ② DOI/PubMed IDで指定:PubMedで見つけた論文のPMIDをコピペすれば一発で追加できる
  • ③ Zotero/.bibファイルからインポート:すでに集めた論文を一括登録できる

PubMedで見つけた「これは良い」と思える1本を、最初のシードペーパーに据えるのが基本ワークフローです。

STEP2:Similar / Earlier / Later Works で関連論文を探索する

シードペーパーを登録すると、画面左側に「Similar Works」「These Authors」「Earlier Works」「Later Works」といった探索メニューが表示されます。

それぞれの意味は以下のとおりです。

  • Similar Works:シードペーパーと内容・テーマが類似する論文(共引用ネットワークから抽出)
  • These Authors:シードペーパーの著者が他に書いた論文
  • Earlier Works:シードペーパーが参考文献として引用している論文(先行研究)
  • Later Works:シードペーパーを引用している論文(後続研究)

「Earlier Works」をクリックすると、シードペーパーの参考文献リストに載っている論文が一覧表示されます。先行研究の系譜を遡るのに使います。

逆に「Later Works」を見ると、そのシードペーパーを引用した新しい論文が並びます。シードペーパーが2020年の論文でも、2025年に出た最新の関連研究まで一気にたどれるのが大きな利点です。

関心のある論文が見つかったら、星マークやチェックボックスを押して同じコレクションに追加します。

これを2〜3周繰り返すと、20〜50本程度の関連論文が手元に集まります。

STEP3:コレクション保存とネットワークグラフでの可視化

関連論文を一定数集めたら、画面上部の「Network」タブを押すと、ネットワークグラフが表示されます。

各論文が「点(ノード)」、引用関係が「線(エッジ)」として描かれ、論文同士のつながりが直感的に見えるようになります。

ネットワーク図で確認できるのは、以下のような情報です。

  • クラスター構造:研究領域がいくつのサブグループに分かれているか
  • ハブ論文:多くの論文から引用されている「中心的な論文」(読み逃せない)
  • 孤立ノード:他の論文とのつながりが薄い、特殊な研究

2021年にPLoS Oneで発表された電子タバコ政策推奨の研究では、citation network analysis(引用ネットワーク解析)が政策推奨の根拠となるエビデンスの偏りや知識の断片化を可視化するのに有効だったと報告されています(Smith et al, 2021)

つまり、「個別の論文を読む」前に「研究領域全体の地図を描く」段階で、ResearchRabbitのネットワーク機能は強力に効きます。

集めた論文は、コレクションごとに自動保存されます。Zoteroにエクスポートしたり、共同研究者と共有することも可能です。

このResearchRabbit 3ステップは、書籍『文献検索の超基本』第9章でも詳しく解説しています(記事末尾の書籍CTAを参照)。

ResearchRabbitと他のAI文献検索ツールの使い分け

「Elicit、NotebookLM、Consensus、Semantic Scholar、Perplexityもあるけど、ResearchRabbitはどこで使えばいいの?」と疑問に思う方も多いはずです。

2025年のJMIR AIでMelianteらが発表した、緑内障SRにおけるAIツール(ResearchRabbit・Connected Papers含む)vs PRISMA法の比較研究では、AIツールはPRISMAを完全に置き換えるものではなく、各工程の補助として使うべきと結論づけられています(Meliante et al, 2025)

セラピストが使い分ける際の目安は以下のとおりです。

  • ResearchRabbit:手元に良い論文が1本ある状態で、関連論文の引用ネットワークを広げたいとき
  • Elicit:PICOから関連論文を一気に拾い、要旨を一覧化したいとき
  • NotebookLM:手元のPDFを深く読み込み、1次・2次スクリーニングを進めたいとき
  • Consensus:Yes/No型の臨床疑問に対して「賛成・反対」の論文比率を知りたいとき
  • Semantic Scholar:TLDR要約と引用グラフを両方使いたいとき(ResearchRabbitと近い領域)
  • Perplexity:出典付きの自然言語回答で、臨床疑問にざっと答えを得たいとき

つまり、文献検索ワークフローの「最初の1本を見つける:PubMed+Elicit」「周辺を広げる:ResearchRabbit/Semantic Scholar」「深く読む:NotebookLM」と役割を分担すると、効率が一気に上がります。

2025年に整形外科レジデント視点でまとめられたレビューでも、Consensus・SciSpace・ChatGPT・GPT-4などのAIツールを「目的別に使い分けることが研究ワークフロー効率化の鍵」とされています(Perez & Garcia, 2025)

ResearchRabbitを使うときの3つの注意点

ResearchRabbitは便利なツールですが、必ず守るべき注意点があります。

注意点①:網羅検索の代替にはならない

ResearchRabbitは「シードペーパーの近傍を広げる」ためのツールであって、PubMedの網羅検索の代わりにはなりません。

2025年にResearch Synthesis Methodsで発表された生成AIによる文献検索のSR(19研究)では、生成AIによる文献検索段階で中央値91%の論文を取り逃したと報告されています(Clark et al, 2025)

この研究で評価された対象はChatGPT・GPT-4等のLLM系ツールが中心ですが、ResearchRabbit のような引用ネットワーク系ツールも「シードペーパーから引かれる範囲内」しか拾えないという同種の構造的限界があります。

つまり、シードペーパーが偏っていれば、得られる関連論文も偏ります。研究の出発点は必ずPubMedの検索式ベースの網羅検索で確保してください。

注意点②:論文の質はResearchRabbit単独で判断しない

ResearchRabbitが表示する「Similar Works」「Later Works」は、論文の質や研究デザインを評価して並べているわけではありません。

引用関係(共引用・直接引用)が近いだけで、たとえばRCTと症例報告が同じネットワーク上に並ぶことがあります。

2025年のJ Am Med Inform AssocのCochrane SR検証では、6つのLLMアンサンブルを使ったAI-人間協働で作業量を37.55〜99.11%削減できたと報告されています(Sanghera et al, 2025)

同様に、ResearchRabbitで集めた論文も、最終的な研究デザイン評価・採否判定はセラピスト自身が行うのが大原則です。

注意点③:本文情報・PMIDは必ず原文と突合する

ResearchRabbit自体は論文タイトル・著者・抄録を Semantic ScholarのAPI経由で取得しているため、メタデータの捏造リスクは低い設計です。

ただし、検索段階で表示される情報だけで論文を採用判定すると見落としが起きます。

2024年のJ Med Internet ResでMatsuiらが発表した3層スクリーニング戦略のRCTでは、GPT-3.5/4を使った3段階のスクリーニングで感度0.962、特異度0.996を達成したと報告されています(Matsui et al, 2024)

つまり、AIツールで集めた論文も、「複数段階のスクリーニング+原文確認」を経て初めて臨床判断に使えるレベルになります。

BRAINの臨床現場でのResearchRabbit活用事例

BRAIN(株式会社BRAINが運営する脳卒中専門リハビリ施設)でも、セラピスト全員がResearchRabbitを文献検索ワークフローに組み込んでいます。

具体的には、以下の3つの場面で使い分けています。

  • 新規介入手法のリサーチ:BMI・TMS・TOT-S等の新しい介入を導入するとき、代表的なRCT1本をシードに、Earlier/Later Worksで研究の系譜全体を把握する
  • SDM(Shared Decision Making)資料作成:患者さんに提示する選択肢のエビデンスを揃えるとき、関連RCTを引用ネットワークから漏れなく集める
  • 抄読会のテーマ拡張:今週読む論文の周辺研究を事前にResearchRabbitで確認し、論点を立体的に準備する

BRAINでは、新規介入手法を採用するときの「先行研究の漏れチェック」にResearchRabbitを必ず使っています。

PubMedで網羅検索したつもりでも、検索式に含まれない用語で発表された関連研究はどうしても拾いきれません。ResearchRabbitの引用ネットワーク機能は、その「検索式の隙間」を埋める用途で特に効きます。

よくある質問(FAQ)

Q1:ResearchRabbitは完全無料で使えますか?

はい、メールアドレスを登録すれば無料で使えます(2026年5月時点)。

Similar/Earlier/Later Works、ネットワークグラフ可視化、コレクション管理、Zoteroとの連携などの主要機能は、追加課金なしで利用可能です。

Q2:日本語論文も検索できますか?

ResearchRabbitは Semantic Scholar / OpenAlex のデータベースを基盤にしているため、英語論文が中心です。

日本語の医学雑誌(例:『理学療法学』『作業療法』等)の論文は、ほぼ収録されていません。日本語文献は別途、医中誌Web・J-STAGE等で検索する必要があります。

Q3:シードペーパーは何本くらい登録するのがいいですか?

最初は1〜3本でOKです。

シードが多すぎると関連論文の幅が広がりすぎてノイズが増えるので、まずは「これは確実に良い」と判断できる代表的なRCT・SR・メタ解析を1本選び、そこから広げていくのが効率的です。

Q4:ResearchRabbitとSemantic Scholarはどう違いますか?

両者ともSemantic ScholarのAcademic Graphをデータ基盤にしている点は共通です。

違いは、ResearchRabbitが「コレクション管理+ネットワークグラフ可視化」に特化しているのに対し、Semantic Scholarは「TLDR要約+検索エンジン」寄りという点です。

論文の周辺マップを描きたいときはResearchRabbit、論文の要約をパッと確認したいときはSemantic Scholarと使い分けると無駄がありません。

Q5:ResearchRabbitの出力をそのまま信じていいですか?

原則として、出力は「関連論文候補」と捉え、最終判断は人間が行ってください。

2025年のValue Healthで発表されたヘルスリサーチSRにおける生成AIのSRでも、AIツールはSRの各工程を支援するが、エビデンス採用判定は研究者が責任を持つべきと結論づけられています(Rashid et al, 2025)

重要な研究デザイン評価・データ抽出は必ず原文に戻って確認しましょう。

本記事のまとめ

  • ResearchRabbitはメールアドレスだけで無料で使える、論文の引用ネットワーク可視化に特化したAIツール
  • 3ステップ(①シード登録 → ②Similar/Earlier/Later Worksで探索 → ③コレクション保存・グラフ可視化)で関連論文を芋づる式に集められる
  • Elicit・NotebookLM・Consensus・Semantic Scholar・Perplexityと使い分けることで、文献検索ワークフロー全体の効率が一気に上がる
  • 「網羅検索の代替にしない」「論文の質はAI単独で判断しない」「原文と必ず突合する」の3点は必ず守る

本記事の内容が、文献検索で関連論文を漏らさず集めたいセラピストの役に立てましたら幸いです。

参考文献

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Meliante LA, Coco G, Rabiolo A, De Cillà S, Manni G. Evaluation of AI Tools Versus the PRISMA Method for Literature Search, Data Extraction, and Study Composition in Glaucoma Systematic Reviews: Content Analysis. JMIR AI. 2025. PMID: 40911843

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