
片麻痺患者さんの屋外歩行は、室内で歩けるようになった次のステップで、横断歩道・坂道・段差という3つの壁が立ちはだかる場面です。
家の中なら歩けるのに、外に出ると怖くて足がすくむ――。
そう感じる方はとても多く、屋外歩行ができるかどうかは、歩く速さで一定の目安が示されています(Schmid, 2007)。
この記事では、屋外歩行に必要な歩く速さの目安、横断歩道・坂道・段差をどう攻略するか、そして外で転びにくくする練習方法を、脳卒中専門リハビリ施設BRAINの代表で理学療法士の針谷が、臨床経験と研究論文に基づいて解説します。
・本記事の情報は、信頼性の高い研究論文から得られたデータを中心に引用しています。
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・顔のゆがみ(片側が下がる)
・片腕の脱力(腕が上がらない)
・言葉のもつれ(ろれつが回らない)
また、屋外歩行の練習中に以下のことが起きた場合は、無理をせず一度かかりつけ医にご相談ください。
・転倒して頭や腰を強く打った
・以前より明らかに歩きにくくなった、つまずく回数が増えた
・歩いている途中で急にしびれや力が抜ける感覚が出た
片麻痺 屋外歩行とは|室内歩行との違いを整理する
片麻痺の屋外歩行とは、家の中だけでなく、外の道路や商業施設、公園などで歩いて移動できる状態を指します。
英語では「community ambulation(コミュニティアンビュレーション)」と呼ばれ、研究の世界でも独立した課題として扱われています。
大切なのは、室内で歩けることと、外で歩けることはまったく別の能力だということです(Bansal, 2026)。
なぜ室内では歩けても外では歩けないのか
家の中の床は、平らで段差が少なく、明るく、距離も短いです。
一方、屋外には、横断歩道・坂道・段差・砂利道・人混みなど、室内にはない要素がたくさんあります。
2026年に公開された日本の研究では、凸凹した路面を歩くとき、片麻痺の方は健康な方に比べて歩行の安定性が大きく低下すると報告されています(Inui, 2026)。
同じグループは、凸凹した路面を歩き続けるうちに、歩幅や体の揺れが時間とともに変化することも報告しています(Inui, 2026)。
つまり、外を歩くのは室内よりも疲れやすく、距離が伸びるほど転びやすくなるということです。
屋外歩行に影響する要素は身体機能だけではない
屋外歩行ができるかどうかは、足の力やバランスだけでは決まりません。
2026年に公開された複数の研究をまとめた分析では、歩行能力・自信・気持ち・周囲の環境という4つの要素が屋外歩行に関わると整理されています(Bansal, 2026)。
具体的には、歩く速さ・バランス・持久力に加えて、「外で転ぶのが怖い」という不安や、住んでいる地域の歩道環境も大きく影響します。
屋外歩行に必要な「歩く速さ」の目安
屋外歩行ができるかどうかを判断するとき、もっとも目安になるのが「歩く速さ」です。
研究の世界では、歩く速さによって生活範囲が分類されています。
2007年に公開された研究では、脳卒中後の歩く速さが、0.4 m/s未満は家の中、0.4〜0.8 m/sは家のまわり、0.8 m/s以上は屋外での歩行が目安と報告されました(Schmid, 2007)。
2008年に公開された別の研究でも、自分の足で歩いた速さによる分類は、左右のバランスや推進力などの実際の歩行の質ともよく一致していたことがわかっています(Bowden, 2008)。
歩く速さの3つの目安と、生活でできること
| 歩く速さ | 生活範囲の目安 | 生活でできること |
|---|---|---|
| 0.4 m/s未満 | 家の中の歩行が中心 | 家の中の移動、ベッドからトイレへの行き来など |
| 0.4〜0.8 m/s | 家のまわりの歩行 | 玄関先や家の前の道、近所の散歩など |
| 0.8 m/s以上 | 屋外歩行が可能 | 買い物、通院、横断歩道を渡るなど |
とくに大切なのが「0.8 m/s」というラインです。
この速さを超えると、日常生活で歩いて移動する自由度が大きく広がることが知られています(Schmid, 2007)。
自分の歩く速さを知る方法(10メートル歩行テスト)
自分の歩く速さは、10メートルの距離を歩いて時間をはかれば計算できます。
計算式はシンプルです。
- 10 ÷ 歩くのにかかった秒数 = 歩く速さ(m/s)
- 例:10メートルを15秒で歩いた場合 → 10 ÷ 15 = 0.67 m/s
- 例:10メートルを12秒で歩いた場合 → 10 ÷ 12 = 0.83 m/s
家の廊下や近所の歩道など、平らで安全な場所で測ってください。
はかるときは、「いつも歩いている速さ」で歩いていただく方法が一般的です。
どれくらい速くなれば「変わった」と言えるか
歩く速さは、少し変わっただけでも生活が変わります。
2010年に公開された研究では、脳卒中の発症から60日以内の方で、歩く速さが0.16 m/s速くなると、生活の自立度に意味のある変化が起こると報告されました(Tilson, 2010)。
0.16 m/sというのは、10メートルを15秒で歩いていた方が12秒で歩けるようになる、それくらいの変化です。
「数秒の差」と感じるかもしれませんが、その数秒で歩ける範囲が変わります。
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横断歩道の攻略法|青信号で渡りきるには
横断歩道は、屋外歩行のなかでももっとも緊張する場面のひとつです。
青信号の点滅がはじまると、焦って早歩きになり、転倒や転倒しかけ(ヒヤッとする経験)につながりやすくなります。
日本の横断歩道が想定している歩行速度
日本の信号機の青時間は、警察庁の基準で「歩行速度1.0 m/sで渡りきれる時間」を目安に設定されています(警察庁 信号灯器の設置基準)。
つまり、青信号のあいだに余裕をもって渡るには、おおよそ1.0 m/s以上の歩く速さが必要です。
これは、屋外歩行の目安(0.8 m/s)よりさらに少し速い水準です。
0.8 m/sでは「屋外には出られるけれど、横断歩道は信号が短いと焦る」状態と覚えてください。
横断歩道を渡るときの3つのコツ
横断歩道を安全に渡るために、BRAINでは以下の3つをお伝えしています。
- 青に変わってから渡り始める:青の点滅が始まってから渡りはじめると、途中で赤になります。完全に青に変わったタイミングで渡りはじめてください。
- 渡る方向の歩行者用信号を必ず確認する:車両用の信号ではなく、歩行者用の信号で判断します。
- 信号が長い横断歩道を選ぶ:同じ道でも、交差点によって青の長さは違います。慣れるまでは余裕のある横断歩道を選んでください。
もし青のうちに渡りきれないと感じたら、無理に走らず、中央分離帯で一度止まる選択肢も覚えておくと安心です。
「歩きながら考える」のがむずかしい理由
横断歩道では、歩くだけでなく、信号・車・周りの人を同時に意識する必要があります。
2026年に公開された研究では、脳卒中の方は歩きながら別のことを考える「ながら歩き」になると、歩く速さや安定性が落ちやすいことが報告されています(Lai, 2026)。
この研究では、4週間にわたって週3回、歩きながら考える練習をした方が、ながら歩きの能力が改善したと報告されています。
つまり、屋外歩行を意識した練習では、歩くこと自体だけでなく、歩きながら判断する練習も必要です。
坂道の攻略法|上り坂と下り坂で意識することは違う
坂道は、平らな道よりも筋肉と心肺の負担が大きい場面です。
とくに、上り坂と下り坂では体の使い方も注意点もまったく違います。
上り坂|ふくらはぎと前ももの力が必要
上り坂では、体を前に押し出す力と、膝が崩れないように支える力が必要です。
麻痺側の足は、ふくらはぎの力(けり出す力)と前もも(太ももの前側)の力が落ちやすいので、上り坂は息が切れやすくなります。
BRAINでも、上り坂で「足が出にくい」「太ももが疲れる」と感じる方には、平らな道での歩く速さを上げる練習を優先しています。
歩く速さが上がると、坂道での余裕が生まれます。
下り坂|実は上りより転びやすい
意外かもしれませんが、下り坂のほうが転倒しやすいことが知られています。
下り坂では、体重を支えながら一歩ずつブレーキをかける動きが必要です。
麻痺側の膝が「カクッ」と折れてしまうと、勢いがついて止まれなくなります。
下り坂を歩くときは、歩幅を小さく、ゆっくり、視線を少し前に向けるのが基本です。
傾斜のきつい坂道を下るときは、横向きにカニ歩きをするのもひとつの方法です。
階段はどうすればいいか
階段の上り下りは、坂道よりさらに難易度が高い動作です。
2025年に公開された複数の研究をまとめた分析では、麻痺側の足の運動を取り入れた練習で、階段の上り下りの能力が改善すると報告されました(Nascimento, 2025)。
具体的には、椅子からの立ち上がり練習や、麻痺側の足のスクワット練習などが効果があったと報告されています。
階段を上るときは、麻痺がない側の足から先に出す「2足1段」の方法が基本です。
下りるときは、麻痺がある側の足から先に下ろします。
「上りは健側から、下りは麻痺側から」と覚えてください。
段差の攻略法|歩道の境目・敷石・砂利道
段差は、たった数センチでもつまずきの原因になります。
外には、歩道と車道の境目、点字ブロック、マンホール、敷石のすき間、砂利道など、さまざまな段差や凸凹があります。
凸凹した路面では「距離が長くなるほど」転びやすい
2026年に公開された日本の研究では、片麻痺の方が凸凹した路面を歩くと、距離が伸びるほど歩く速さが落ち、体の揺れが大きくなる傾向が確認されました(Inui, 2026)。
この研究では、19名の片麻痺の方が10メートルの凸凹路面を往復で4周しました。
後半になるほど、歩幅が小さくなり、体の左右の揺れが大きくなることがわかりました。
つまり、凸凹道は「歩きはじめは大丈夫でも、終盤に転びやすくなる」ということです。
長い距離の凸凹道を歩くときは、途中で休憩を入れることが転倒予防につながります。
段差につまずかないために意識すること
段差につまずく原因の多くは、麻痺がある側のつま先が上がりにくいことです。
歩いているとき、足はとても低い位置を通過します。
つま先と地面のすき間は、健康な方でも1〜2 cmほどしかありません。
麻痺がある側は、数ミリ単位の段差でもつまずきの原因になります。
つま先を意識して上げるよりも、歩幅を少し小さくし、つま先が引っかからないルートを選んでいただくほうが現実的です。
段差を越えるときは、健康な側の足から先に上がる方法が安全です。
逆に下りるときは、麻痺がある側の足から先に下ろします。
補助具(杖・装具)を上手に使う
段差や凸凹道では、杖や下肢装具(足にはめる補助具)が大きな助けになります。
「家の中では杖を使っていないから、外でも使いたくない」と感じる方もいらっしゃいます。
しかし、屋外と室内では難易度が違うので、屋外だけ杖を使うのは合理的な選択です。
杖を卒業するタイミングについて詳しくは杖を卒業するタイミング|「いつまで必要?」の判断基準と練習メニューで解説しています。
屋外で転ばないために|転倒予防の最新エビデンス
屋外歩行の最大の不安は、「転んだらどうしよう」ということだと思います。
転倒予防は、屋外歩行に挑戦するうえで欠かせないテーマです。
在宅での転倒予防プログラムの効果
2026年に公開された大規模な研究では、在宅での転倒予防プログラムが、脳卒中の方の転倒率を下げると報告されました(Clemson, 2026)。
この研究では、退院後の脳卒中の方を対象に、ご自宅での運動・家の中の危険箇所の見直し・本人の目標設定を組み合わせた6か月間のプログラムが行われました。
とくに、習慣として続けられる動作練習と、家の中の段差や敷物などの環境整備の組み合わせが効果的だったとされています。
屋外歩行を増やす取り組みの効果
2025年に公開された研究では、屋外で歩く習慣を増やす45日間のプログラムで、歩く距離と歩行速度が改善したと報告されました(Nayak, 2025)。
この研究はインドの地域社会で行われ、生活のなかで歩く機会を意識的に増やすことの大切さが示されました。
つまり、屋外歩行は「リハビリのなかでだけ練習するもの」ではなく、生活のなかで少しずつ機会を増やしていくことが改善につながります。
バランス能力が屋外歩行に直結する
2018年に公開された研究では、入院リハビリ開始時のバランス能力(BBS)が、退院時に屋外歩行ができるかどうかを予測すると報告されました(Louie, 2018)。
この研究では、BBS(バランススケール)という、座る・立つ・歩くなどのバランスを評価するテストの点数が高い方ほど、退院時に屋外歩行レベルに到達しやすかったことがわかりました。
つまり、屋外歩行を目指すなら、歩く練習だけでなくバランス練習も同じくらい重要です。
「外に出るのが怖い」気持ちとどう向き合うか
屋外歩行には、身体機能だけでなく気持ちの問題も大きく関わります。
2023年に公開された研究では、脳卒中の方は複雑な環境を歩くとき、無意識のうちに体が緊張モード(交感神経が活発になる状態)になることが報告されました(Bansal, 2023)。
この緊張モードは、心拍数や発汗の変化として体に現れます。
つまり、「外で歩くと疲れる」というのは気持ちの問題だけでなく、体が実際に余計なエネルギーを使っているということです。
屋外歩行を再開する手順
「外を歩くのが怖い」という方には、いきなり遠出するのではなく、段階的に挑戦する方法をおすすめします。
- 玄関から門までの数メートルを家族と一緒に歩く
- 家のまわりを1周する(信号や横断歩道のない道)
- 近所のコンビニや公園まで歩く
- 横断歩道を1回渡って戻ってくる
- 少し離れたお店や駅まで歩く
大切なのは、「1段階上がるたびに成功体験を積み重ねる」ことです。
家族の付き添い方
家族が付き添うときは、麻痺がある側の少し後ろに立つのが基本です。
万一バランスを崩したときに、麻痺側に倒れこむことが多いためです。
腕を引っ張ったり、肩を抱えたりすると、かえって本人のバランスを崩してしまうので避けてください。
「いつでも支えられる距離」にいるだけで十分です。
屋外歩行の力を伸ばすために|自宅でできる練習
屋外歩行のレベルアップに向けて、ご自宅でできる練習をご紹介します。
研究では、長期的なリハビリでも歩行能力は改善することがわかっています。
2026年に公開された日本の症例報告では、脳卒中の発症から24か月間継続的にリハビリを受けたことで、歩行のばらつき(変動性)が安定してきたと報告されています(Kikkawa, 2026)。
歩く速さを上げる練習
歩く速さを上げるには、いつもより少し速く歩く時間をつくることが効果的です。
- 家の中の廊下で「いつもよりちょっと速く」5メートル歩く(往復5回)
- 歩数を数えながら歩く:「いち・に・いち・に」とリズムを声に出すと歩幅が安定します
- BGMに合わせて歩く:テンポの良い音楽は自然に歩く速さを上げます
くれぐれも転倒には注意して、手すりや家具のある場所で行ってください。
バランスを鍛える練習
屋外では、人をよけたり、急に方向を変えたりする場面があります。
こうした場面に備えるためのバランス練習をご紹介します。
- つかまり立ちで片足立ち:麻痺がない側で20〜30秒、慣れたら麻痺側でも
- その場で360度ゆっくり回転:方向転換の練習。手すりにつかまりながら
- マーカーをまたぐ:床にタオルや紙を置いて、またぎながら歩く(段差通過の練習)
「ながら歩き」の練習
横断歩道や買い物では、歩きながら別のことを考える「ながら歩き」が必要です。
ご自宅でできる簡単な練習をご紹介します。
- 歩きながら100から3ずつ引き算:100、97、94…と声に出しながら歩く
- 歩きながら買い物リストを思い出す:「卵、牛乳、パン…」と口に出す
- 歩きながらしりとり:家族と一緒にゲーム感覚で
転びそうな時は、すぐに別のことを考えるのをやめて歩くことに集中してください。
歩行スピードや歩行の改善には、ふくらはぎを中心とした下肢の筋力も大切です。自宅でできる歩行リハビリのメニューは脳卒中の自宅リハビリ|自分でできる練習と安全チェックリストでも詳しく解説しています。
また、麻痺側の足を振り出すような歩き方(ぶん回し歩行)が気になる方はぶん回し歩行の原因と改善もあわせてご覧ください。
屋外歩行が一気に楽になる小さな工夫
靴選びは想像以上に大切
屋外歩行では、靴の選び方が安全性を大きく左右します。
- かかとがしっかり包まれる形(脱げにくい)
- 底が薄すぎず、滑りにくいもの
- つま先がほどよく反り上がっている(つまずきにくい)
- マジックテープなど着脱しやすい留め具
サンダルやスリッパでの外出は、つまずきや脱げの原因になるので避けてください。
外出時の持ちもの
- 携帯電話(万一の連絡用に)
- 身分証・お薬手帳(万一の救急対応で重要)
- 水分(夏は500 mlを目安に)
- 小さな腰掛けにもなる折りたたみ椅子(長距離歩く時の休憩用)
ショルダーバッグやリュックは両手があくのでおすすめです。
天気・季節の工夫
雨の日・雪の日は転倒のリスクが上がります。
慣れるまでは、晴れた日の昼間に練習するのが安全です。
夏は熱中症、冬は転倒や血圧の上昇に注意が必要です。詳しくは夏の脳梗塞リスク|脱水と水分補給のポイントと冬の脳卒中リスク|寒暖差・ヒートショックの防ぎ方もご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 屋外歩行は発症から何か月後に始めるべきですか?
明確に「何か月後から」という基準はありません。
大切なのは、室内歩行が安定し、歩く速さの目安(0.8 m/s前後)に近づいてきたかどうかです。
発症から1年以上経った方でも、継続的なリハビリで歩行は改善すると報告されています(Kikkawa, 2026)。
発症から時間が経った方も、あきらめずに練習を続けてください。発症1年以降の練習方針は発症1年以降のリハビリ|維持期・生活期でも改善は続くのかで詳しく解説しています。
Q. 横断歩道を渡りきれないとき、どうすればいいですか?
無理に走らず、中央分離帯がある場合は一度立ち止まることが最優先です。
中央分離帯がない場合は、車に手のひらを向けて「気づいてもらう」サインを出してください。
慣れるまでは、信号の長い大きな交差点を選ぶことが安全です。
Q. 雨や雪の日も練習したほうがいいですか?
慣れるまでは、晴れた日の昼間に練習することをおすすめします。
雨や雪の日は路面がすべりやすく、転倒の危険が大きく増します。
慣れてきたら、雨の日の外出方法(雨具・滑りにくい靴・短時間で済ませる工夫)を少しずつ覚えていく方法が安全です。
Q. 屋外歩行を始めたら何分くらい歩けばいいですか?
最初は5〜10分程度から始めて、無理のない範囲で徐々に伸ばしてください。
2025年に公開された研究では、45日間にわたって屋外で歩く習慣を意識的に増やしたところ、歩行距離と歩く速さが改善したと報告されています(Nayak, 2025)。
毎日少しずつでも、継続することが大切です。
Q. 一人で外出しても大丈夫ですか?
歩く速さが0.8 m/s以上で、バランスにも自信があるなら、近所への一人外出は十分可能です。
ただし、最初は家族にルートと帰宅予定時刻を伝えてから出かけることを習慣にしてください。
携帯電話は必ず持参し、何かあったらすぐ連絡できる状態にしておくと安心です。
まとめ
- 屋外歩行ができるかどうかは、歩く速さ0.8 m/sがひとつの目安になる
- 横断歩道は1.0 m/s以上が必要。信号が短いと感じたら無理せず中央分離帯で止まる
- 坂道は上りより下りが転びやすい。歩幅を小さく、ゆっくりがコツ
- 階段は「上りは健側から、下りは麻痺側から」が基本
- 凸凹道は距離が伸びるほど転びやすい。途中で休憩を入れる
- 外で歩く練習は段階的に。家のまわり→近所→横断歩道→駅へと範囲を広げる
- バランス練習と「ながら歩き」の練習も、屋外歩行に直結する
次にやるべきこと:まずは家の廊下で10メートル歩いて、歩く速さを測ってください。今の自分の位置がわかると、目標が見えてきます。
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参考文献
- Schmid A, et al. Improvements in speed-based gait classifications are meaningful. Stroke. 2007;38(7):2096-2100. PMID: 17510461
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- Tilson JK, et al. Meaningful gait speed improvement during the first 60 days poststroke: minimal clinically important difference. Phys Ther. 2010;90(2):196-208. PMID: 20022995
- Louie DR, Eng JJ. Berg Balance Scale score at admission can predict walking suitable for community ambulation at discharge from inpatient stroke rehabilitation. J Rehabil Med. 2018;50(1):37-44. PMID: 29068037
- Bansal K, et al. Sympathetic nervous system responses during complex walking tasks and community ambulation post-stroke. Sci Rep. 2023;13(1):20068. PMID: 37974001
- Bansal K, et al. Key Influencers of Community Ambulation Post-Stroke: Insights from a Mapping Review. Neurorehabil Neural Repair. 2026. PMID: 42169486
- Nayak P, et al. Effectiveness of a comprehensive physical activity promotion program on physical activity levels, mobility and quality of life in community-dwelling stroke survivors. Disabil Rehabil. 2025;47(19):5089-5100. PMID: 39945290
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- Clemson L, et al. Home based, tailored intervention to reduce rate of falls after stroke (FAST): randomised trial. BMJ. 2026;392:e085519. PMID: 41876122
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最終更新:2026年5月

